転生五日目ーーー放課後活動に苦戦
「ここも駄目か…」
俺は思わず嘆息した。
俺の生徒会における肩書は総務。つまり何でもやる雑務係のようなものなのだが、年がら年中立て込んでいるわけではない。現在絶賛暇を持て余し中なのである。そのため、「クラブの一つにでも入ってくること」と会長から指令を受けたのだが、どうにもうまくいかない。
能力系の部活はいくつもあるが、片っ端から入部を断られまくり、気づけば最後の一個。
「しょげていても、始まりません!さあ、最後まで頑張っていきましょう!!」
のどかもそう励ましてくれるが、正直腰は重い。
なんとかなるかな、と思いながら最後の部へと向かった。
結果、ダメでした。
全滅である。
「ははっ…」
笑い声すら出てこねえ。
まさかここまで全力で拒否られるとは。
「…ふぅ」
まあ、原因はわかってはいる。それは俺のアーティファクト操作能力の低さだ。
部においてあるものはすべて規格品。なのでどうしても極小出力で壊さないようにとしていると、見るも無残な結果に。
「どうしたものか…」
ぽつりとついて出た弱音。
「じゃあ、お「なら、あたしの家ならどうです!?」
三山先輩が言うのを遮ってのどかが声を張り上げるようにして提案。
「え、のどかの家ってなんか道場とか教室とかやってるのか?」
と疑問を口にすると、彼女はいたずらっぽく笑う。
「それは着いてからのお楽しみですっ」
都心から少しだけ離れた郊外。敷地の広さを例えるのに平米では足りない単位の広さがそこにはあった。
「着きましたよ、壮太さんっ」
声を弾ませながら迎えのリムジンから降り、俺の手を引くのどか。
「はっ、大したもんじゃねーな」
それについてきた三山先輩が毒づきながら後に続く。
「それじゃ、着替えてきますので、それまでロビーでお寛ぎくださいね」
というと、彼女は正しくといった感じの邸宅の奥へと消えていく。
俺と先輩はこれまた屋敷の使用人、メイドのお姉さんに促されてソファーに腰を鎮める。
「しかし、広いもんですねー」
部屋の広さに加え、調度品からガラスの一枚に至るまで気品にあふれている。それに感心していると、
「そうでもないだろ」
今度は比較的冷静な口調の先輩。
「伊野財閥っていえばちょっとは名が知れた奴らだ。この程度どうってことないだろ」
しれっとした口調だが、本当に大したことないと思っている余裕が含まれている。そういや、この人も上位官位者の家だもんな。
「おまたせしましたっ」
そこには淡いピンクを基調とした、動きやすいように体にフィットしたスポーツウェアに身を包んだのどか。
彼女の案内で普段彼女が使っているという施設に案内されたのだが、そこは広さでは学校のものに劣るものの機材の面でははるかに上回っている。
感心してあたりを見回していると、
「あの、クラブの代わりにあ「まあ、そこそこの設備だが、俺の家には敵わないな」
「そうなんですか?」
「ああ、明日にでも見に来いよ」
と、いきなりお誘いを受けてしまった。
その奥ではのどかがむっとした顔をしていたのはなんでだろう。
とりあえずクラブに入るのは難しそうだが、放課後の活動には困らなくなりそうだな。
そんなことがあった、その日の夜、凶報が飛び込むことになろうとはこの時は考えてなかった…