転生四日目ーーー再戦
「はっはっは!!覚悟はいいか、ぼろ雑巾くん!!」
演習室に戻ると、彼が威勢よく言ってきた。立ち直りが本当に早いなこの人。
見ると、生徒会室に戻ったはずの面々もちゃんといる。おそらく、彼が声をかけに行ったんだろうが、どんな風に言ってここに来てもらったのか気になるところではある。
「さて、今度こそほえ面かかせてやる。覚悟しろ!!」
びしっと人差し指で俺をさし恰好を付けたつもりかもしれないが、ギャラリーからの白い目、というか興味なさそうだぞ、みんな?
「それではルールは先ほどと同じでよろしいですか?」
この場の雰囲気にも動じない詩音さん。さすがに冷静沈着な人だ。
俺はいいですよ、と答えると、彼女はもう一度繰り返し、
「本当に、よろしいですか?」
と念を押すように聞いてくる。
彼女も俺のことを一応は心配してくれているらしい。先ほどの敗北を見て、また続けざまの再戦。二の舞になりそうなことを心配してのことなんだろうけど、
「大丈夫ですよ」
と改めて、俺は言う。
それを見て千里さんが、
「大丈夫よ~。彼ならぁ、ちゃんとできるってぇ」
と何故か押す、無責任な太鼓判。
「そういって、先ほどはあっさりと敗北されたのですが」
意外に辛辣だなこの人。
「だぁいじょうぶ、今度こそちゃんとやってくれるってぇ」
詩音さんの言葉にも動じず、今度は糸目のまま俺にウインクを飛ばしてくる千里さん。どうやってやってるんだ?
「さあ、時間も惜しい。さっさと始めようか!!」
この雰囲気完全アウェーの中、完全に気にせずに堂々と言ってくる三山さん。実は中々大物なのかもしれない。
「ところで三山先輩」
俺は一つだけ確認しておきたいことがあり、彼に質問する。
「このアーティファクト、もし壊れるようなことになっても」
とそこまで言ったとき、彼は勢いよく笑い、
「はははははははは!!そんなことあるはずがない!!!」
「いや、ですね」
「このようなオモチャ、何個つぶれても痛くない!!なんなら、それごと貴様にくれてやろうか?」
いちいち嫌味ないい方だが、要するに壊しても構わないということだ。
彼の了承も得たことだし、今度はグリップの感触を確かめ、照準をちゃんと調節する。
「---それではよろしいですか?」
再び準備を促す審判の声に俺は軽く頷く。
「それではーーー」
俺と三山、二人の間合いが再び緊迫し、
「始め!!」
刹那の勝負の幕が切って落とされた。