転生四日目―ーーーー危機
俺たちは早速、演習室に移り模擬戦の準備へと移る。
「大丈夫ですか、柳楽くん?」
心配そうに聞いてきたのは詩音さんだ。
そういえば、彼女とは昨日からの付き合いだった。なので、補欠対官位所持者との対決になろうなら心配もするだろうな。
「あー、大丈夫だと思いますよ、多分」
俺は軽くウォーミングアップをしながら彼女に応える。
「…だといいのですが」
尚も心配そうな彼女だが、
「あらら、大丈夫よ詩音ちゃん。あたしの見る目に間違いはないって~」
糸目の端をきらん、と輝かせて自信満々の千里さん。この人の妙な自信満々はどこから湧いてくるんだろうか?
まあ、他の女子四人ーーこの話を聞いて加わってきたのどかを加えたーーーはこのあと何処でお茶しようかと雑談に花を咲かせてるし。
俺の勝利を確信していると思ってくれているなら何なんだが、もうちょっと興味を持ってくれてもいいんじゃないかな?
そう思っていると三山の方も準備が整ったようだ。
俺と三山は部屋の中央にある開始線を挟んで対峙する。
「それじゃ、始めますか?」
と何気ない感じで声をかけると、
「ちょっといいかな?」
以外にもソフトな感じで三山が言ってくる。
彼は少しもったいぶって、
「やっぱり、単純な能力のぶつけ合いや、殴り合いじゃ品がないと思うんだ」
はぁ、と俺が答えると、
「そこで、こういうのはどうだろう?」
彼は手にしていらケースを開き、あるものを取り出す。
「…これは?」
俺の怪訝そうな声を、彼は軽い調子でいなし、
「やだなぁ、これは見ての通りの拳銃型アーティファクトだよ」
はははっ、と如何にも人好きしそうな笑顔を振りまく三山に対し、俺の顔面は思わず笑顔が引きつった。
「これを使って先に三発相手に打ち込んだほうが勝ち。もちろん、殺傷力の高い能力はNG。これなら怪我もしないし安全だろ?」
にこっとさわやかに笑う彼に対し、俺は背中で冷や汗の大瀑布を形成した。
まずい。非常に、まずい。
「これでいいですか、紫原書記?」
審判役に選ばれた詩音にーーーこれは三山からの指名で、比較的公平な審議を行うものとしての指名だろうーーー対して了解を取る。
「---当方としては適当と判断しますが、柳楽くんは?」
「大丈夫、問題ない」
後ろから無責任に了解しないでくれませんか、会長?
俺の意思など何処へやら、この条件を承諾してしまう形になる。
やばい、ひじょーーーーにやばい。
「それでは、両者、位置に立って」
詩音の声に従い、俺と三山は定められ位置につく。
ルールは簡単。先ほど言った通り、早打ちの要領で先に相手に三発当てた方が勝利。
あまりにも明確でわかりやすいルールだが、俺にとっては非常に、拙い。
「位置についてーーー」
なぜ俺が補欠なのか、
「始め!!」
それは、俺が通常のアーティファクトの扱いが非常に不得意だからだーーーー