風邪とジンジャークッキー
こんにちは。
早坂さくらです。
絶賛風邪ひき中です。
外で寝たのが悪かったか…
100キロの巨体をなんとか動かしておかゆを食べるものの、体が辛い……
体感で200キロくらいある。
コンコン
「はぁい……」
お兄ちゃんかな?
両親が海外に住んでいて二人暮らしのため、心配した兄が今日は午前中はお休みをとって看病してくれていた。
「早坂さん、桃を持ってきたよ。」
「って会長⁉︎⁉︎え、なんで⁉︎」
なんでここに?学校は?ていうかなんで家の中に?
「お兄さんの誠司さんにご挨拶してお見舞いに来たって説明したら入れてくれたよ。最近知ったんだけど、実は誠司さん、うちの父の秘書なんだよね。今日妹さんが熱を出して看病するっていうから、早坂さんのこと心配になって来てしまったんだ」
兄ーーー!!!!
その辺の悪ガキや不審者を悉く成敗してきたうちの最強セコムが!
一番やばいやつを入れやがった!
「ヴッ、コホコホッ!うぅ……怒る元気もない…」
「連れてきた医師によるとちょっとした風邪だそうだから、食べてお薬を飲めば治るよ。はい、桃をお食べ?」
私がさっき寝ている間にあの医師軍団が来てたの?
「……ありがとうございます。」
もういいや、大人しく食べよう。
なんだか会長もいつもの押せ押せな感じじゃなくて純粋に心配してくれてる感じだし。
薬の効果かすぐに眠くなってしまう。
枕元にいた会長の袖を掴み、「かいちょ…ねます……おやすみ……さい…」そう言って眠りに落ちた。
すぅすぅ寝息を立て始めたさくらを見てホッと息を吐く。
「僕も一応男なんだけど…体調不良で警戒しろと言っても無理な話か。…おやすみ、お姫さま」
額にふれるだけのキスを落とし、そっと部屋を後にした。
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完全回復!
いやー体が軽い!
実際には100キロあるけど!!
あ、そうだ。
昼休みに様子を見に来た会長に、渡すものがあったんだ。
「会長、これ。先日のお礼です。甘さ控えめですから。目の前で寝こけてすいません。美味しい桃をありがとうございました。」
誰であれ、やってもらったことへの義理はかかさないのが心情だ。
キョトンとする会長に、昨日作った今日のおやつのクッキーをおすそ分けする。
甘い物はたくさん食べないと言ってたからジンジャークッキーにした。
なにも言わない会長を不審に思いちらりと見ると、
花がほころぶように
とはこのことか。
それくらい綺麗に笑った。
たかがクッキー渡しただけでそんなに喜ばれるとは……逆に申し訳ないなぁ。
次に機会があればもっとちゃんとしたものをあげよう。
密かにそう思いながら食べたジンジャークッキーは口の中でほろほろ崩れていった。