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カップケーキと煮干し


「早坂、昨日祖母がひったくりから助けられたって聞いた。サンキューな。これ、礼。」


休み時間に席まで来た島田にお礼を言われ、カップケーキをもらった。


祖母…?

昨日の?


「え、あの人、島田のお婆ちゃんだったの⁉︎」


ガタタッと音を立てて体を驚きに揺らす。


動きに反応して椅子がミシミシ言っているが気にしない。

この椅子は二代目だ。1代目は入学式の日に壊れたので頑丈な椅子を手配してくれた。



「そう、昨日黒塗りの車で帰ってきたと思ったらひったくりにあった、助けてくれた女の子にお礼したい、ってうるさいし。特徴聞いたらかなりふくよかな女の子だっていうからお前しかいないと思って」


「なんか失礼じゃない⁉︎」


片手でしっかりカップケーキをもらいつつ頬をつねったところで、背後からただならぬ気配。



刺客⁉︎と焦って振り返ると奴がいた。


「あ、会長。おはようございます」


「…おはよう……ずいぶん早坂さんと仲がいいんだね、島田くん。君に昼休みに仕事を死ぬほど任せたいから生徒会室に来るように」


絶対零度の笑みでそう告げて立ち去る会長。


「え…俺なんかした?」




南無三。


傍観者達は心の中で合掌した。





昼休み。


慌てて教室を出て行く島田を尻目に、のんびりと裏庭へ向かう。


ミカは委員会の用とかで今日は別なので、人が少ない場所でいつもの重箱を広げてランチすることにしたのだ。


教室で他の友達と食べてもいいけど、どうせ食べるのに夢中でそこまで会話しないし、一人だと気が楽。

これは昔の経験が影響してるのかもしれない…



とにかく、ひとりランチタイムを満喫していたらガサガサ、と茂みからネコが飛び出してきた。


「お?」


子猫だ。どっかから逃げ出してきたのかな?


「可愛いなぁ。にゃーにゃー」


空になったお弁当箱を片付けて寝っ転がりながら猫を愛でる。

側から見たらトドと猫。


「にゃー?」


ふふん、小首を傾げて可愛いやつめ。


「にゃあ、煮干したべるにゃ?」


カリカリと煮干しを食べる子猫を撫でながら日向で寝そべっていると、なんだかうとうとしてきた。


眠っちゃだめ、眠っちゃだめ……眠………



はっ!!


危ない寝るとこだったよ!


なんか寒くなって来たし教室に戻…って「ぎゃあ⁉︎」



子猫を抱っこした会長がこちらを覗き込んでいた。


「やぁ、早坂さん。こんなところで寝てたら風邪をひくよ?というかもう昼休み終わってしまったよ?」



ゲッ⁉︎本当だ!ミカから携帯に『また倒れてない?大丈夫?』って連絡来てるし!!


ヤバイ!


「失礼しますー!」


どすどすと地面を踏み鳴らし、その場を後にする。


ていうか会長は授業平気なのかな?

まぁ会長だしいいのか?


ていうかホント冷えるなぁ。

読んでくださりありがとうございます

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