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ナイトかストーカーか


「なんでいるんですか」


? をつけ忘れるくらいつっけんどんな言い方をしたのは許してほしい。


求婚を拒否して保健室から逃亡して帰ろうとした矢先、校門で黒塗りの車で待ち伏せされたら苦い顔にもなってしまうさ。


ミカは残念ながらラブラブの彼氏とデートだと帰ってしまい、今は1人。味方どころかこの時間帯は人影すら皆無。


「倒れたばかりだろう?送っていこうと思って。さ、乗って」


「お気持ちだけで結構です!」


差し伸べられた手を無視してそのまま歩き出す。


「歩く方が好みなら徒歩で送るよ。」


「いらないって言ってるじゃないですか!会長もお忙しいでしょうし、私のことはお気になさらず早くお引き取りください」


マジで帰れ。1人でな!


ドスドスと早歩きする私に、足音もなく颯爽と歩いて付いてくる王子会長。


「心配だから、一緒にいるのが嫌なら邪魔にならないよう見守ってるよ。」


にっこり。


もうそれストーカーじゃん!


どうしてくれようかと振り返った時、後ろから悲鳴が届く。


「どろぼーーーー!」


こちらに向かって走ってくる男の手には、女性物のハンドバッグ。

ちらりと見やると、お婆さんが地面にへたり込んでいた。



仕方ない人もいるもんだ。


「早坂さん、危ないから下がっ…」


「ッせぇぇぇーい!」


向かってくる男の前に立ちはだかり、勢いを利用してそのまま背負い投げで吹っ飛ばす。


地面に強く当てたりはしてないから怪我はしてないはず。


「会長、この人よろしくお願いします。」


唖然とする黒塗りの車の運転手に会長の付き人らしき人を気にもとめずそうとだけ言って腕を掴んでいた男を放り投げ、お婆さんに駆け寄る。


「大丈夫ですか?これ、荷物です」


「あぁ…あ、ありがとう。孫からの大事なプレゼントが入っていたの。本当にありがとう…」


「なら取り戻せて良かった。気をつけて下さいね」


涙を流して鞄を抱き締めるお婆さんの背中を落ち着くまでさすった。


「早坂さん、警察へは明日でもいいそうだから、その方をご自宅までお送りするよ。」


その方がいいだろう、歩いて帰るのも怖いだろうし。


「はい、お願いします。」


付き人らしき人におばあさんを任せ、黒塗りの車を一緒に見送る。



ん?一緒に見送る??



「って会長は行かないんですか⁉︎」


「あの方、少しここから離れたところにお住まいのようだからね。僕は歩いて帰った方が早いよ。それに女の子1人で夜道を歩くのはあぶないよ?」


さっきの一本背負い見てなかったんだろうか。


「君は強いかもしれないけど、君のことを好きなナイトにも役目を譲って欲しいな。」


ぞぞぞ


よくそんな台詞つらつら出てくるな。

意外に乙女ゲームとかやってる人ですか?

現実に自分にやられると気持ち悪いな。



「はぁ………もう、勝手にして下さい。」



会長は家の最寄りのスーパーまで付いてきたけど、そこで兄と待ち合わせているというと大人しく退散した。



…明日は校門までお兄ちゃんに来てもらうか?

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