素敵女子
「はぁ?女子力をアップするには?」
「そう…もはやデブじゃない私に顔以外の取り柄なし!」
「なんかすごいセリフだね、いろんな意味で」
早速相談したけど、ミカの呆れ顔が辛い。
「でもそんなん会長は気にしないんじゃない?」
「私が気にする!激しく!じゃないとバッシング受けそうで怖いってのもぶっちゃけある!!」
それよりも早く好きとか言ってあげたほうがいいんじゃないのーというミカの言葉はさくらの耳には届かず。
「はぁ…会長への気持ちに気付いたのはいいけど…そういえば恋愛偏差値低いもんね、さくら」
「そう…むしろ男なんて女子の関係性をぶち壊すモンスターくらいにしか思ってなかったから」
「ええー…。まぁ好きなひとのために女子力高めたいって気持ちはわかるけどね。私よりも同じ"男子"にアドバイスもらったほうが早いんじゃない?」
お兄ちゃんは年上だからアドバイスもらうにもなんか違うしなぁ。
話が聞けそうな同世代、高校男子………
目が合う。
いたわ、(距離的に)近くに。
「ちょ、いま目合ったでしょうが!なぜ逃げる島田⁉︎」
「目があったからだよ!なんか面倒なことに巻き込もうとしてんだろ!!ていうか、ポッキーで人を指すな!!」
むっ島田のくせに鋭いな。島田のくせに。
ガッシリ肩を掴んで笑みを向けたら、顔を青くしやがった。エンジェルスマイルだぞ?
「あんたの性別が男だと見込んで頼みがある」
「そこはシンプルに男と見込んで、でいいだろうよ。間違いなく男だわこんちくしょう」
私はポッキーの残りをそっと島田に手渡した。
ギャラはこれで。
そこから、隙を見つけては嫌がる島田に聞き込みをして女子力アップを目指し始めたのだった。
「ぬぅぅ」
結構なページ数が埋まった「男子的に女子力高いまとめメモ」を見て唸る。
「順調?さくら」
「いや……島田に言われた女子力高めの行動をとってはみたんだけど」
そう、実行できるものはしてみた。
その① 上目遣い
「会長」
「うん?」
じぃっ
じぃぃ………っ
「鬼瓦※にしたいくらい可愛い顔してどうしたの?」
「そんな酷いですか⁉︎」
『上目遣い…厄除けレベル』
※和式建築物の棟の端などに設置される板状の瓦の総称。厄除けと装飾を目的とした役瓦の一つ。
その② 袖をキュッと握る
「会長」
「うん?」
キュッ
ブチッッ
あ、やべ!ボタン引きちぎった!!
「さくらさん、僕のボタンが欲しいならいくらでもあげるよ」
「いや、いらなーーーー」
ブチブチブチィッ!
「脱ぐなぁぁ!!!」
『袖をキュッと握る…変質者に注意』
その③ 料理
ふふ…
料理はアレだけどお菓子なら自分が食べるために作るし、前にジンジャークッキーあげたことあるし、これならいける!
美味しそうに焼きあがった〜味はどうかな。
「んん!うまっ!もう一個味見を!!」
そして
皿の上には何も無くなった。あれっ?行方不明?
妖怪の仕業かな〜?
「あれ、さくら全部一人で食べちゃったの?」
「………………お兄ちゃん、妖怪のせいなのよ」
『料理…妖怪が出る』
聞いてたミカが白い目でこちらを見る。
「やる気あんの?さくら」
「うっ」
「しかもちょっぴりリバウンドしてる場合じゃないよ?さくら」
「はぅっ!」
さくら は 50の ダメージを うけた !!
素敵女子への道のりは、遠い………
島田が不憫(笑)