ダイエット
すこーしシリアス入ってきます
夏休み開始!
夏休み前からお菓子も我慢して運動して、少しずつダイエットを進めてきたけど、ここからはミカとの遊びの予定を返上してお兄ちゃん特製ダイエットレシピで頑張るぞ!!
ピンポーン♪
ん?郵便かな??
「ハァイ。…って会長。」
しまった確認しないで扉開けちゃったよ。
「確認してから扉を開けないとダメだよ?今誠司さんも家にいないんだから」
何故知っている。
兄か。兄なのか。
私の情報だだ漏れ危険。
「食を節制してると聞いたけど…大丈夫かい?」
「はぁ、お陰様で…」
「なんだか少し頬がほっそりしてしまったんじゃないかな?無理はしないようにね」
労わりの視線と共につつ、と頬を撫でられ、慌てて後ろに退いて構える。
「な、なんの御用で⁉︎」
「あぁ…カロリーが低いものならと思って、ゼリーを持ってきたから良ければ誠司さんと食べてね」
それだけ言って笑顔で手を振る会長を見送る。
「あ、ありがとう、ございます……?」
ダイエットを応援してくれるの?
デブ専のあなたを遠ざけるために痩せようとしてるのに?
胸の奥がチクリとした気がするけど、お腹が空いているせいかな、有り難くこれを食べてから今日のメニューをこなそう。
く…結構キツイ……どころじゃない………
早朝の走り込みに続けてブー◯キャンプみたいのやったと思えば、ライ◯ップばりの筋トレ(監視付き)、ストレッチに加圧トレーニング…etc
久々にお兄ちゃんに頼ったせいか、やたらと張り切ってたけど、これは……気合入りすぎだよ!
鬼ぃちゃん降臨。
でも最初の一週間で面白いくらいに体重が落ちた。
2週間目からは減る率が下がったけど、このままいけば、いい感じにダイエットうまくいくかも!!地獄の扱きに耐えただけある!
……と思ったら「たっだいまーん♪」
玄関から破滅の足音が………
「お母さんお父さん、お帰り」
「ただいまぁかわいこちゃぁぁん☆美味しいものいーっぱい買ってきたぞ!」
私が太った一因にこの両親の猫っ可愛がりがある。
お兄ちゃんも可愛がりっぷりは凄いけど、私が望めばこうして本気でダイエットに協力してくれる。
うーん、美味しい物…………
海産物ならいいか!
『全部ダメにするとストレスも溜まっちゃうし、いいんじゃない?』
速攻で送ったメールで鬼ぃちゃんから許可も出たし、今夜はいっぱい食べるぞー♪
その夜。
ぐるきゅぅうぅう
「………う〜〜、あぁゔェップ!ふぇ…グorz」
激しいゲ◯とゲ◯(乙女的自主規制)で、救急病院に運び込まれた私。
食あたり だった。
結構重症でしばらく入院することになった。
苦しみ抜き食べ物も食べられず、奇しくも不健康なダイエットになってしまった。
だいぶ、痩せたなぁ…
しみじみ窓に映る自分を眺める。
「さくらさん…!」
入院して数日後、会長が病室にやってきた。
「大丈夫かい⁉︎食あたりって聞い、た、けど…」
私を見て足を止める。
「会長?」
なんだか顔が青い。
「あ、あぁ。これ、お見舞い…食べ物はダメだろうから気晴らしになるものを」
明らかに私と目を合わせない。
手だけ伸ばしてこちらに袋を押しつける。
「あの、会長、どうかしましたか?」
「……っ!」
覗き込むとようやくこちらを見る。
けれど、いままでの慈しむような暖かい眼差しではなく。
暗く 冷たい 目。
「あ、いや…そろそろお暇するよ。お大事に。」
逃げるように病室から飛び出していった。
あれは…何?
デブというほどでもなくなった私に単純に興味がなくなったどころか、嫌なものでも見たような。
嫌われた………かな。
「いやいや、嫌われるためにやってるんだから大成功じゃん!」
ガバッと動いたことで会長が持ってきてくれた袋からばさりと落ちてしまう。
中にはお菓子作りの本や、動物もののDVD、不器用な折られ方の千羽鶴が出てきた。
きっと、一所懸命に何がいいか考えてくれたんだろう
「下手くそな鶴……」
意外に不器用なのかな。
なんでかじんわりと涙がにじんだ。