突然の求婚
サクッとはじめます
「早坂さくらさん、僕と結婚してください」
金髪碧眼物語から飛び出してきたかのような男が目の前に跪いて私の手をとっている。
ちょっと待てなんでこうなった。
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「おはよ〜もぐもぐ」
「おっはよーさくら…って、登校しながらうまか棒3本食いとか⁉︎朝ごはん食べてないの〜?」
「みか、愚問だよ。朝はカツ丼食べた!」
「…おかわりしたんでしょ」
「二回ね」
「ゲッ!三杯も食べたの⁉︎」
喋りながら手持ちの袋に入っているうまか棒の封を開け、齧り付く。
どすん!
座った椅子がミシミシいう。
うるさい椅子だな。
あ〜眠たい
欠伸して伸びをすると、お腹の辺りのボタンが弾けた。
「いってぇ!おい早坂!!デブなのはいいけどコッチまで被害出すのはやめろよ!」
ボタンが眉間にクリティカルヒットしてしまった男子生徒・島田啓介が涙目になりながら抗議してくる。
「女子にデブとは失礼な!」
「100人中100人がそう言うわバカたれ!面と向かって言うだけ有難いと思え!」
そう言いながら丁寧にボタンを手渡してくれる。よく見ると精悍な顔立ちをしたイケメンで、いい奴だ。
まぁ私の場合、影で言われるまでも無いくらい見ての通りなんだけどね。
早坂さくら。
サラサラキューティクルバッチリな髪が自慢の、この春高校に入学した一年生。
ぱっちりお目目につやつやの唇、桃色の頬。
が、見事に肉の壁に隠れている。
体重100キロ超え。
別名「早坂親分」とは私のことだ。
ザワッ
ボタンをポケットにしまい、チョコレート菓子の箱に手を伸ばしたところで、教室がざわめいた。
というか黄色い声が上がっている。
なんだ?
ざわめきの中颯爽と現れた王子様のような男子生徒は、見覚えがあった。
確か生徒会長の2年…
思い出すより先に、彼が目の前にやって来る方が早かった。
て、え?私に何か?食べ過ぎで生徒に悪影響とかって怒られる?
「…ようやく見つけた。」
そして冒頭へ戻る。
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