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妊婦にそれはヤバそうだ

誤字脱字…以下略。

 ヘスさんにスープをよそってもらい、ゴクゴク飲んでます。

 スープはコンソメ風味で、具はジャガイモと玉ねぎのみですが、素朴な味わいで美味しいです。


 私が遠慮なくスープを飲んでいるのを見て、ヘスさんはなんだか嬉しそうです。


「いやぁ…良いねぇ…美味しそうに飲んでくれて」


「美味しそうにって…実際、美味しいですよ?」


 社交辞令ではありませんが、美味しいと言うと、益々嬉しそうに破顔するヘスさん。

 う~ん…可愛らしいな。元々タレ目で柔和な顔立ちのせいか、男性に対して失礼だが、お母さんと言ってしまいそうだ。

 いや、理恵だった頃を入れると、私の方こそお母さん…悪くするとお婆ちゃん世代なのだが。


「フフ…嬉しいな…。よし、奮発してあげる」


 そう言うと、ヘスさんは袋の中から何かの肉の塊を取り出すとナイフで数枚スライスし、焚き火で炙った物を私にくれる。


「クルルカの肉だよ。保存もきくし、火で炙るだけで脂が熱で溶けてジューシーになるんだ」


 確かにパッと見は美味しそうなんですが、ちょっと今の私には匂いがキツい…。

 普通だったら食欲をそそる匂いなんでしょうが、うっぷ……妊婦にこの匂いは駄目みたい。ヘスさんには謝ろう。


「……っ……ヘスさん…申し訳ないのだけど、私には……このお肉たべれません……」


 半泣きで謝れば、ヘスさんは驚いた様に慌て始めた。


「そっ…そうだよね…。スープを美味しそう食べてくれたからって、魔術師の方にこんな肉を奮発とか称してあげて……僕の方こそゴメンね……」


 うぎゃっ!ヘスさんが勘違いしちゃってる…。違うんですっ!肉の善し悪しじゃなくて、ただの妊婦のつわりですからっ!!匂いがヤバいだけですからっ!!

 ヘスさんの悲しげな表情に、言わなくてもいい事までつい口にしてしまう。


「いっ!いえ……肉の事では無いんです!ただ単に私が妊娠してるから、匂いがちょっと駄目ってだけで………。ヘスさんの気持ちが嬉しく無い訳じゃないんですっ!!!」


「へっ?……に…妊娠……って……ええええ~?」


 私の突然の告白に、ヘスさんはすっとんきょうな叫び声を上げながらも、視線は私のお腹に向かいました。そこであれっ?て表情をする。


 ですよね。パッと見では私のお腹はまだペッタンコですからね。

 でも間違いは無いんですよ。体温も高いし、つわりはあるし、心当たりもあるし……。


「嘘じゃ無いですよ?」


 私は戸惑っているヘスさんに向かって、お腹を撫でながらニコリと微笑んだ。


「いや…不躾に見てごめんね。驚いたけど、嘘をついてはいないと思うし、つく必要性も無いしね」


 本当に良い人だ。出会ったばかりですが、この人の

 爪の垢を煎じてノエルのクソ野郎に飲ませて殺りたい…おっと!あげたい気分です。


「でも……そうだとすると、今回の泉に落ちたのは大丈夫なのかい?その…初期って、大切なんじゃ……」


「ああ、大丈夫ですよ。お腹が痛いとかも無いので、問題ないかと思います」


私が平然としながら答えると、ヘスさんは驚いた様だ。


「君は凄いね…。そんなに若いのに凄く落ち着いているし。あっ!もしかして種族が人間じゃないのかな?」


「いえ…人間ですよ?18歳ですし」


 精神年齢は18歳+40歳の58歳ですがね。


「えっ?同い年ですか……。僕も18歳です。それにしても……15歳位だと思ってました…ご免なさい」


「ええっ?それは流石に無理があるんじゃ……」


 15歳って、そんな若く見られるのか?まあヘスさんは嘘やゴマをする人じゃ無さそうだから、普通受け取っていいのかな?


「あっ!でも、魔術師の人って確か皆若く見えるって聞いた事があったけど、本当なんだね!」


「何ですかそれ?初耳ですが………」


「初耳なの?体内魔力が一般の人より沢山あるから、歳を取るのが普通の人よりも緩やかだって噂だけど…違うのかい?」


「さぁ?どうなんでしょうね?聞いた事はありませんが……」


 本当に初耳だ。魔力量が群を抜いていた王子とかを思い出しても、別に年相応だと思うし。

 全然分からない。

 ので、その話はパスで。


 私が別の話をしようとすると、ヘスさんの背後から2つの黒い影がっ!

 すわっ!亡霊か獣かと身構えると、その2つの黒い影はお互い言い合いをしている様子であった。

 しばらくすると、会話が聞こえてくる。


「ったくよ~殴ったって変わんなねぇからなっ!酒樽3つだぜ?」


「ちょっと!何で2つ増えてんのよ?最初の約束では1つだけだったでしょ?」


「はあっ?俺は1つだけなんて言ってねぇ~し!ああ、お前はワンホールって言ってたがなっ!」


「きぃ~!!何ですって?私はワンホールと言ったのですから、その対価のお酒も1つに決まってるでしょ?バカなの?あら、バカだったわね?」


「あん?負けたくせに良くいうな、負けたくせに」


「きぃ~~~~!!悔しいっ!次は負けないわ!」


 現れたのはアーウィンさんとミランダさんのお二人でした。

 どうやら今の今まで喧嘩していたらしく、二人ともボロボロでした。




 二人の話を聞いてみると、最初は舌戦のみだったのが、段々ヒートアップしてきて、最終的には殴り合いの喧嘩に発展したそうです。ワイルドですね。


 ヘスさんいわく、この二人はこれが日常茶飯事だそうなので、気にする必要は無いとのことでした。


 話をここまでして、アーウィンさんとミランダさんは、二人同時に同じことを私に聞いて来ました。


「「それでお前は(貴女は)誰だ?(ですか?)」」



 って、二人とも聞くの遅くね???






ヘスは皆のオカンやな。

今更思ったが、ラズリエラと理恵合わせて58歳か……。若い相手との恋愛はキツそうですな。

目線が孫を見てる感じに陥りそう。子供も産まれるし。

ま…まぁ、ジャンルはファンタジーですし。ハッハッハッ………ハァ~。

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