うっかりって、日本人の特有技か何かですかね?
誤字脱字…以下略。
夜明けまで北の町、フローズンバイパーに向けて飛んでいた私であったが、流石に眠いし、そろそろこの格好で空を飛んでいると誰かに見付かってしまうだろう。
魔術師のローブは夜の闇には溶け込みやすいが、明るいと目立つし。
私は上空から確認した泉に向かって、箒の高度をゆっくりと下げていった。
木々の間から人が居ないのを確認すると、箒から降りて地面に着地した。
「ふぅ…。眠い。でも防御壁を展開してから寝ないと流石に不安だわ。インビジブルシールド」
そう呟くと、私の周りに薄い膜のような防御壁が現れる。これで外からは中にいる私の姿は見えないし、私より魔力が多い魔術師にしか感知される心配は無い。
こんな普通の森の中に居るのは、野生の獣位だろうから安心ね……。
私はそのまま魔法のカバンを枕にローブを着たまま力尽きるように眠ってしまったのであった。
その近くの繁みが不自然にガサガサ揺れていたのに、睡魔で朦朧としていた私は気づかなかったのだった。
***
「アーウィン~?貴方…何も持って無い様だけれど、水はどうしたのかしら?汲みに行ってって言ったわよね?」
「まあまあ、ミランダ…落ち着いて。アーウィンにも何か事情があったんだよ、きっと……」
「だけどヘス…。水は大切ですわよ?」
「まぁまぁ。勿論僕だって大事だと思うけど…ね。そんなに眉間に皺を寄せると。ミランダの綺麗な顔が台無しだよ?」
豪奢な金色の縦ロールヘアーを、怒りでプルプル震わせたミランダと呼ばれた女性に、ヘスと呼ばれたタレ目の柔和な口調の青年が落ち着かせている。
「いや…見間違い…う~ん」
アーウィンと呼ばれた背中に大剣の背負った青年が言いづらそうに、何やらモゴモゴ言っている。
「ちょっと!言いたいことがあるなら、はっきり言いなさいな!聞いてさしあげるから、ほら早く!」
口ごもるアーウィンに、落ち着くかと思われたミランダがアーウィンを見据え、怒りながら急かすとアーウィンは不承不承目の前で起こった出来事を二人に話して聞かせた。
「えっとなぁ~。俺は水を汲むため泉に行こうとしたら、空に大きな黒い塊を見付たんだよ…」
「で?」
「その黒い塊がゆっくり泉の方に降りて行ったんで、追いかけた。水も汲みに行くところだったから、調度よかったしな」
「で?」
「どうやらその塊は、魔術師だったみたいでな…」
「は?はあっ?ま…魔術師って、あれでしょう?王宮のお抱え魔法使いの総称でしょう?エリート中のエリートですわね?そんな人物がなぜこんな辺鄙な場所に現れるのかしら?見間違いじゃない?」
「俺もそう思った。でもよ、その魔術師…空から降りてきて座ったと思ったら、俺の目の前で突然消えたんだ……。そんな凄い魔法は初めて見たんだぜ」
「初めて見たのだから、アーウィンの見間違いとかじゃないのかしら?」
「僕もミランダの言う通り、アーウィンの見間違いだと思うけれど……。だって普通は王都にしか居ないでしょう?魔術師なんて。それか、かなり力のある魔法使いだったとか……」
一般的に出回っている魔力を扱う職業は魔法使いという。しかし魔力が高い者達は総じて魔術師と呼ばれていて、シェルパーティクル王国では王宮のお抱えになったり、王族や貴族の身辺を警護したり、王都で魔力の研究者になったりと、様々な上級職に就いている存在であった。
アーウィン達駆け出し冒険者にとっては、雲の上の存在であり、現在このパーティのメンバーには魔法使いすら居ないのであった。
「じゃっ…じゃあ、今から見に行って見ようぜ!魔術師の消えた場所に目印に、木の枝を突き刺してきたんだ!」
絶対に見に行きたいと言い張るアーウィンに、ミランダはニタリと人の悪い笑みを顔に張り付かせながら、こう言ってやった。
「ふうん。じゃあ賭ける?何もなかったらフローズンバイパーの商店街の蜂蜜ケーキを私にワンホール奢りなさいよ?」
「へっ!望むところだ!俺が勝ったら酒を買うからな!大樽で!」
アーウィンとミランダはバチバチと火花を散らし、睨みあいながら泉の方に向かって歩いて行ってしまったのであった。
「はあ~……こうなった二人は止められないんだよなぁ…やれやれ」
二人の間に挟まれて、常識人で争いが嫌いなヘスは大きなため息をつきながらも、二人の後を追うため二人の荷物を抱えながら後に続いたのであった。
作者が直ぐに忘れたり、間違えるから現在出てきたキャラの名前を、作者の偏見を加えて少々。
ラズリエラ→主人公。またの名を理恵。
ノエル→クソ野郎。ラズリエラの元婚約者。禿げろ
マナ→逆ハーレムホイホイ。光魔法とか使える。
アーウィン→熱血漢。脳筋。大剣使い。酒好きなので理恵とは意気投合はしそう。恋愛への発展は今のところは皆無。
ミランダ→せっかち。甘いものが好き。戦斧使い。
ヘス→おっとり柔和な常識人で苦労人。弓使い。薬の類いもこの人が一手に担ってる。大変。
位ですかね?