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魔神様は物思いに耽りたい

プロローグです。二話投稿。

 我は魔神・ガーレット。いまやこの世界の主である。


 戯れに他の世界を覗き見たところ、大抵の魔神は発生してすぐに大魔王などと名乗るようだ。

 自分が混沌の神であることを忘れ、配下を造り組織を整え、秩序の神に喧嘩を売る。

 そして相討ちになったり引き裂かれたり封印されたりする。


 ひどい者になると何万年もふて寝したあげく寝起きを人間にやられて、

「まさかこの私を○ターンで倒すとは…」

 とまたふて寝したりする。エス…なんだったか。


 閑話休題。


 我はそういった手法を取らなかった。

 この世界の創造主より二つに別れたのち、すぐに姿を消したのだ。


 秩序の神・サフィリアはそれはもう張り切った。

 生き物を増やし、神託を授け、より良い法則を作り、何度も争いを止めた。


 そして我の手で一瞬のうちに滅んだ。


 哀れなサフィリア。

 我の存在を忘れ、勇者を導くでもなく直接混沌の戦場に降り立つなど。

 この世界が出来てから力を使い続けたお前と、少しずつ力を溜め続けた我に、圧倒的な差が付いてしまうではないか。

 我がそう仕向けたとは言え、愚かなことだ。


 せめてこの世界はうまく滅ぼそう。

 あのときのお前のように。

 全てを原初の無に還すのが、魔神たる我の望みなのだ。


 ◇◆◇


 さて、しかし面倒なことになった。

 人間たちは信ずる神が討たれ、混沌の度合いを増している。


「ヒャッハー!食い物はこれで全部かぁ!?」

「やめてくだされ!来年の種もみが!」

「ヒャッハー!汚物は消毒だぁ!」


 なんだあのモヒカン共と老人は…


 これではいかんのだ。

 老人から見れば絶望の世界かもしれんが、モヒカン共にとっては楽園である。


 強きものに従うというのもまた秩序。

 その上弱き者が救世主を望めば、それは必ず現れる世界の反作用なのだ。

 あそこの胸に七つの傷を持つ男のように。


「ほあたぁ!」

「あべし!」「ぷべら!」


 ほらな。

 絶望と希望の無限ループを断ち切らねば原初の無は訪れぬのだ。


「我の力で全ての生物を絶滅、というのも無意味であるしな…」


 造物主の半分しか力を持たぬ我では、世界そのものを消すことは出来ぬ。

 時の彼方でまた生物が発生した場合、同じことの繰り返しになってしまう。微生物でもだ。


 考えてもみよ。

 誰が好き好んでプチプチ潰しで永劫の時を過ごしたいものか。

 そんな数奇者が居たら是非見てみたいわ。

 居たら連れて来るがよい、一生掛かっても終わらぬ量のプチプチした包装材を用意してくれる。


「というか何か手を考えねば、我が同じ境遇になってしまうな…」


 生きとし生ける者の全てが絶望し、世界などいらぬ、もう終われと願う。

 その力で残り半分を補い、造物主の権限で世界を無に還す。

 これが一番きれいに片付くのだが…


 仕方がない。

 あまりやりたくはないが、魔族を作るとしよう。

 我と同じように原初の無を望む者がいくらか居れば、何か思い付くかもしれぬ。


「とりあえず三名であるな」

 三つ巴に三竦み、天下三分の計、三人寄れば文殊の知恵。

 三という数には対立と抑止による進歩と止揚の相があるのだ。


 さて、どのような者が良いか。

 永く側に置くなら見目麗しい者が良いであろうな。

 しばらく地上を眺めるとしよう。


魔神様はサフィリアさんに思うところがあるようです。

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