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足りない

「《守屋 望》さん?」

私はコーヒーのカップを置く、中途半端な中腰の姿勢で、声の主にー多分ビックリした間抜けなー顔を向けた。

え?なんでこの人名前…あ、名札か。でもわざわざなんで?

などという意味も答えもない考えがぐるぐると回っている頭で

「あ…は、はい!」

と無駄に大きな声で返事をしてしまった。

うわぁ…恥ずかしい!

いやいや、でも、だって、急に見ず知らずのイケメンに名前を呼ばれたらそうなるでしょ。

大声を出してしまったことで、まだ夕飯には早く、午後の暇つぶしのピークは過ぎた夕方に、ちらほらと入っていたお客さんの視線が集まった恥ずかしさと、イケメンに見つめられているという現状に、頬っぺたどころか耳までもが熱く朱くなった。

「可愛い名前だね」

イケメンが、爽やかな笑顔で見つめながら言う。

あ、勿論本人も可愛いよ。

は、あ…あ…ありがと、ございます…。

というやりとりはほぼ上の空に近かった。

「バイトさんだよね?何時に終わるの?終わった後、少し話せないかな?…って、あー…ゴメン!いきなり気味悪いし恐いよね!?その、ほんっとうに変な意味じゃなくって!」

と、急に慌てながら何も言っていない私に弁解をし始めた。

カッコイイのに可愛い人だなぁ。

大人っぽく見えたけど、私と同い年くらいかな?

「あ、の…今日は…8時上がり…です」

イケメンの微笑ましい動揺する姿に緊張が解れ、それでも慣れないイケメンに照れから、はにかみながら、私はバイトの終わる時間を告げた。

「8:00…かぁ…。夜も遅いし、早く帰った方がいいよね…。うーん…やっぱり、また今度ゆっくりー」

「い…いえ!大丈夫!です!」

…うう…また大きな声になっちゃった…。

私は思わず持っていたおぼんをたてて顔を隠した。

「ありがとう。それじゃあ待たせてもらうね。」

少しの間隔が空いた後に聞こえたその声で、私はおぼんから除き見るようにイケメンの様子を窺った。

本当に嬉しそうなイケメンの笑顔に心臓がドキドキと高鳴った。

こ、ちらこそ…あ、りがとうございます!ともごもごと、でも、語尾だけ大きな声になりながらも、お辞儀をして逃げるようにそこから逃げるように立ち去った。

厨房に戻ると、なんか騒がしくなかったか?という店長の軽いお咎めに対し、いえいえ、そんなことなかったです。大丈夫、何にもないですよ?と応えて流した。

うっわー初ナンパ!

しかもイケメンだよ!

これで浮かれない女子高生なんていない!と思う。

さらに、バイトの続き中、気になって例のイケメンに目を向ける度、目があって微笑まれ手を振られる。

この数時間、浮足だってバイトに身が入らなかったのはしかたがないよね?






**********






----------------------------------------

【人間性】

⇒人間特有の本性。人間として生まれつき備えている性質。人間らしさ。

----------------------------------------


ウェブの検索結果。


生じる疑問。


…矛盾しているではないか…。


…いや…これはパラドックス、だ。




**********




「もうよくない?」

額部のその声は、もう我慢の限界だ、と訴えている。

「何時?」

薙が誰ともなく訊いた。

「20:03:27」

宮路が携帯の画面に眼鏡を照らされながら答えた。

「細かーい」

私は即座に、静かに、でも楽しそうな声を上げた。

息を殺し、潜み続けて3時間程がたった。

ひそひそと会話をしなくてはならないのは、イケナイことをしている証なのでワクワクして楽しいが、流石に長時間に渡ると飽きるというより、ストレスになってくる。

「とりあえず誰もいないみたいだな」

外の様子を伺っていた宮路の言葉で、それでも注意深く私たちは外に出た。

「んっ、くー」

「あー何気長かった―」

変な声を上げる額部に続き、解放された事を喜ぶような調子の私の声が続き、2人同時に伸びをした。

薙、額部、宮路、と私の4人は今、誰もいないはずの夜の学校にいる。

『学校に一晩隠れてみよう』

誰の提案だったかは忘れた。むしろそんなことはどうでもよかった。

【非日常的な面白いことは起きない】

【それが私たちの世界だとわかっている】

これは冷めた考えでも何でもない、私たちみいたいな高校生なら悟れる事実で、ただそれを認めたくないという反抗心も持った年頃というだけだ。

それを打ち砕く…まではいかなくとも、何ともお手軽に非日常を味わえる、魅力的な提案だった。

日常がつまらないわけでも不満があるわけじゃない。

でも、面白いわけでも不満がないわけでないでしょ?

イケナイコトをしてみたいというのはお化け屋敷みたいなもので、魅かれるのが人間でしょ?

と、いうわけで、私たち4人はその提案を実行し、今や静まった夜の学校にいるのだ。

「でも、部室に隠れるとかねー」

薙は呆れた様な声を上げながら、

「鍵どうしたの?外から普通に鍵開けて入ったよね?」

「そうそう!鍵がないって、なんで先生たち気づかなかったの?」

薙が聞いた疑問は、私も気になっていたから、すぐに声を重ねた。

「へっへー、部室のカギには、俺ん家の鍵かけといた」

「鍵の有無だけで、それが本当にそこの鍵かなんて確かめないだろうからね」

額部と宮路の男子2人は得意気だった。

「うわー悪い奴ら―」

「えーすごーい」

非難するような薙。

感心する私。

私たち女子2人の言葉は正反対だったが、声のニュアンスで同じ『よくやった!男子!』という気持ちであることがわかった。

「でも、これで目標達成だよねー」

私は嬉しくなり、くるくるとまわった。

「ちょ、ないわー、歌―」

「まだまだじゃんかー、糸数―」

私の発言に、薙と額部は抗議の声を上げた。

「先生はいなくても用務員はいるだろうから、朝まで見つからないようにしなきゃ」

宮路の説明で、非難の理由が分からずきょとんとしていた私はハッと気付き、ワクワクと笑みを浮かべたが、

「え、じゃあまた部室に籠るの?」

思いついた可能性ですぐに残念な気持ちになった。

「そーんなツマンナイ!」

オーバーリアクションで応えたのは額部だ。

「折角だから校内うろつくに決まってんじゃん!」

ビシッと虚空を指さしながら宣言したが、

「本当なら学校の七不思議検証!とかできりゃいいんだけどなぁ」

「七不思議なんか聞かないもんな、うちの学校」

「えーお化けとかムリー」

落胆する額部に、宮路が残念そうに、私は震えながら応えた。

「用務員の目をかいくぐってうろつくだけでもけっこうなスリルじゃない?」

そう言ったのは薙だった。

「いいこと言うなー、兼元!」

額部は涙を拭うふりをしていた。




**********




まず、前者2つ。

【人間性=人間特有の本性。人間として生まれつき備えている性質。】

これが人間性だとするならば、人間性とは残虐性と言い換えられるだろう。

いじめ。

動物実験。

近代に遡れば戦争による、人間を、大量に、効率的に、壊す兵器の研究。

更に古代にまで遡れば殺人は正当性を持っていた。

娯楽。

供物。

人柱。

強者の略奪は戦利品という賞品となる。

そうそう、戦争に勝った国は大量殺人者が英雄となるんだよな。

ギリシャのスパルタ。

ローマのコロッセオ。

イギリスの拷問博物館。

侵華日軍第七三一細菌部隊罪証陳列館。

原爆ドーム。

人間の残虐性の象徴はどこにでもある。

それなのに、後者だ。

【人間らしさ】。

これを人間性とした場合、前者の残虐性が完全否定されてしまうのだ。

殺人。

いじめ。

過失による事故。

他人に害をなし、社会的モラルに反し、非人道的とされる行いをすれば、

【人間性を疑う】

という風に言われてしまう。

【人間らしさ】

というと、優しさやら思いやりやら愛やらといった、弱者を守り、命を尊ぶものばかりだ。

残虐性は、まだ人間が動物に近かったから?

今の、人間が本来の人間のあるべき姿だと?

はっ…。

自身には関係ないと思えるような遥か昔の先祖だろうと、そこを否定すれば自分自身を否定する、親殺しのパラドックスと同じではないか。

【人間らしさ】の定義で、人を愛し、死を悲しみ、殺しを憎む、慈愛を主に謳う宗教という概念を人間は作った。

だが、【人間特有の本能】から、人を苦しめ、壊し、死に至らしめる兵器を作ったのも事実。

しかもそれは、宗教が作られた後に、だ。

自ら作った【人間らしさ】の定義に自ら背く【人間特有の本性】に基づく行為。

一見すると矛盾している。

しかし、だ。

あるものを根底に置けば、【人間らしさ】と【人間特有の本性】が【人間性】という同じ土俵に、矛盾なく立つことができる。


それは―。




**********




「とりあえず、鍵を返す前に上履き取りに行こうか」

女子は特に足冷えやすいでしょ?という紳士な宮路の言葉で、私たちは昇降口に向かった。

私たちの存在を悟られぬように、上履きは履かぬまま、靴を持って隠れていた。

正直言うと、宮路の言うとおり、私も薙ものつま先は指がもげそうなくらい冷たくなっていたので、宮路の言葉は本当に嬉しい限りだった。

「学校の床冷たすぎー」

私はが昇降口につくなり、小走りで自分の下駄箱に近づいた。

「でもさ、上履き履いたら足音響きそうじゃね?」

「そんなこと言って私と歌の足の指がもげたら額部の指ももぐかんね」

兼元コエー、まぁまぁ足音出るかもはスリルと思って楽しめよ、という額部の戯言と宮路の窘めを置き去りに、薙も自分の下駄箱へと向かった。

「あれ?」

1番乗りで下駄箱に向かったが、額部と宮路のじゃれあいを横目で見ていたので、薙の方が先に上履きを取り出していた。

その片方に入れたところで薙は、半分ほど入れた足を抜き、上履きを持ち上げた。

「どうしたの?」

問い掛ける私に兼元は、上履きから取り出した、くしゃくしゃとした紐状の何かを握った手を差し出した。

「…イヤホン?」

昇降口の外から差し込む外灯の僅かな光の中、それがイヤホンであることが確認できた。

額部の、どーしたー?という呑気な声の後に、ん?という疑問形の声が続いた。

「なんだこれ?」

宮路の、珍しくきょとんとした声も聞こえてきた。

振り向いた私のが見たのは、両手で長方形の布を広げた額部と、宮路の背中だった。 

「お?真田幸村じゃん」

「へ?サナダ…?」

「真田幸村。知らねーの?この旗を軍旗として掲げてた戦国武将じゃん。真田幸村の六文銭ってな」

私の声に額部はサラっと答えた。

額部が歴史に強いなんて…意外な一面をみた。それにしても…

「ロク、モン、セン?…ってなぁに?」

薙越しに私は質問した。

「六文銭、は…」

反応したのは額部ではなく、宮路だったが、説明に困っているというよりは説明すること自体をためらうような雰囲気が感じられた。

「棺に入れる、死人の為の三途の川の渡り賃、の、ことかな」

――――――――――――――――――。

「死人…」

「三途の川…」

宮路の説明が終わって、しばらくの沈黙の後、私と薙のつぶやきが重なった。

私は薙の背中に隠れるようにひっついていた。

だって…そうなるよ!

自分たちで残っていたとは言え、夜の学校で聞くには怖すぎる!

「いやいやいやいやいや、ちょ、宮路ー。サナダユキムラって戦国武将なんでしょ?なんだってそんな縁起でもないもん旗にしてたのさ?」

「んー…噛み砕いて言えば、忠義心の強さから、かな?」

「重…」

薙の恐怖を否定する為の質問に、宮路が真面目に答え、私は現実逃避にも似た見当違いの反応をしてしまった。

「ハハッ、そんな、恋人同士じゃないんだから」

宮路が楽しそうに笑う。

「もう!…ところで宮路もなんか入ってたの?」

一応吹き出した宮路に一言抗議してから、このまま怖い話から逸れるようにと私は聞いた。


カシャン―。


答えたのはそんな風に軽く響く音。

声を飲み込んで思わず後ずさった薙の背中に、ひぐっ、と変な悲鳴を上げながら私はしがみついた。

「へっ?何々」

宮路の背後にいた額部にはソレが見えなかったようだ。

振り向いた宮路の手からぶら下がるソレを見た額部も、うおっと言う叫びをあげた。

「そんなに怖いかな?」

宮地はそれを自分の目線まで持ち上げながら言った。

「ちょ、ロクモンセンの話の後にはキッツイって」

薙が宮路と壁を作るように手を伸ばし、宮路の手からぶらさがるそれを拒否するように首を左右に振った。

宮路の手からぶらさがっているのは木でできた、のっぺりとした人形だった。

関節部分が金具で繋がれているらしく、宮路が動かす度にカシャンカシャンという音が鳴った。

人形というものはなんでこんなに気持ち悪く感じるのだろう。

自分と同じ、似た姿形をしていうというのに、親近感が湧くどころか、逆に恐怖や拒絶、不安といった否定的な負の感情を抱かせる。

「美術部か、漫研かな?」

私たちの反応をよそに、宮路は木製人形の持ち主の推測をし始めた。

「おま…よく平然と…」

額部にげんなりとした声で言われても、宮路はあくまで平然と、

「これがアンティークドールや市松人形だったら怖かったけど」

などと、思わず想像してしまったことを後悔するようなことを言った。

「えっと、俺が人形で、充が軍旗。兼元は?」

「イ…イヤ、ホン…」

「で、糸数は?」

あ、そういえば…

「まだ見てない…というか、みんなまだ靴下のままじゃん」

3人共、「あー」という間抜けた声を出しながら自分たちの足元を見ていた。

『上履きを履く』という当初の目的を忘れる原因となった下駄箱騒動が、私が下駄箱を見る前に始まった為、私はまだ自分の下駄箱を見ていない。

薙のイヤホンは置いといて、額部の旗と宮路の人形は怖かった。

他の3人はすでに片手に持っていた上履きを履き始めていた。

私は、少しドキドキしながら自分の下駄箱を覗き込んだ。

・・・・・・・何もない?

上履きを取り出して空になった下駄箱の中を、もう一度覗き込み、手にした上履きの中まで再度確認したが、やはり私の下駄箱には何も入っていなかった。

「どーだったー?」

先ほどまでのやり取りを忘れたかのように、あっけらかんとした軽さの額部の声に、

「なんもなかった」

戸惑いと安堵でどうしたらいいかわからないせいで硬い声になってしまった。

「ほ、ほんとに?」

兼元はまだ怯えてるらしく、ちゃっかり宮路の背後に隠れていた。

「うん・・・・・」

「んー・・・・・たまたまだったのかな?」

「どっかの暇人のいたずらに、たまたま俺ら3人の下駄箱が犠牲になった的な?」

「いやいや、充、どんな確率だよ」

兼元と額部の前向き発言に、宮路は否定的だ。

「でも、私たちにわざわざいたずらする必要もなくない?入ってるものもイミフだし」

「そうそう。こんなことしてるときにたまたまこんなハプニング起きたからって考えすぎっしょ」

私の反論に薙も乗ってきた。

「それか、あれだ。『学校の怪談!恐怖下駄箱インナー!』。生徒の下駄箱に意味不明なものを入れる妖怪で、物を入れられた生徒は―」

「『妖怪インナー』って、それじゃあ妖怪がプリントされた子供用の肌着みたいじゃんか」

爆笑したいのを堪えてるのだろう。肩と声を震わせながら宮路は額部のつまらない冗談にツッコミを入れた。




**********




【人間性】における、善意としての【人間らしさ】と悪意としての【人間特有の本性】の両立に必要なもの。


それは、【知性】だ。


人間の知性とは使いようによっては、毒にも薬にも、凶器にも利器にもなる。

相反するものの共存。

正しく人間性そのものではないか。

人が、その知性で、命を救う医療技術を発展させながら、瞬時に数多の命を奪う兵器を開発し、希望を与える言葉を紡ぎながら、絶望にに叩き落す台詞を吐き出してきた。

これはまごうことなき事実だ。

どうだ?

【知性】こそ、【善】といわれる【人間らしさ】と、【悪】とされる【人間特有の本性】が融合した【人間性】そのものだろう?

そして、人間は未だ忘れずくすぶらせている残虐な本性を、知性で誤魔化している。

そうだろう?

そうでなきゃ、誰かの不幸で終わるバッドエンドの物語を『泣ける物語』などと表現しないだろう?

そうでなきゃ、鮮血の飛び散る、命が奪われる、あからさまな映像を作ったりしないだろう?

そうでなきゃ、自分達が滅ぼされるなんて人間外の生物が考えないような、反生物的な創作物を考え付かないだろう?


隠すなよ。

抑えるなよ。

押し殺すなよ。


解放しろ。

掲げろ。

謳え!


知性で創り上げ生み出し彩った狂気は芸術性を伴い、この上なく【人間的】じゃないか。


人間が駆使する道具を用い、善意と悪意・正義と理性・正気と狂気が両立してこその【人間性】じゃないか。


そして、打って付けの【道具】…いや…【要素】と言った方が適切か?


それは誰でも常備している【  】。




**********




「うーん…意外と地味…?」

宮路のワイシャツの裾を掴んだまま、私は拍子抜けした声で呟いた。

下駄箱で不気味な出来事に遭遇したが、この非日常を中止にする方向にはいかなかった。

下駄箱は誰か―私ではない。薙…はそんな悪ふざけをするようなキャラじゃない。

だから、お調子者で悪知恵は働く額部か、頭が良く気も利いて落ち着いた大人の雰囲気も持ちながら、やはり同じ歳の男子特有のバカなところもある宮路のどちらかの仕込みなのだろう。

意外となことにサナダユキムラやその旗の六文銭を知っていた額部も怪しいが、1番不気味な木の人形が下駄箱に入ったいたことが逆にあざとく感じられるから、宮路の仕込みである可能性も大きい。

まあ、そんなことをハッキリとさせたところで場がしらけるだけなので、額部にも宮路にも確認はとっていないし、とる必要なんかない。

だからこの考えを隠したまま、この状況を利用して、怯えきったフリをして、私は宮路との距離を縮めてやろうと思った。

宮路が手を繋いでくれるならと言ったのだけれども、流石に照れると宮路が応え、ならもう帰りたいなどと駄々をこねてみたら、額部が慌てて宮路を説得しようとしたり、薙は私を宥めようと試みたり、私はチャンスを逃すまいと演技と我儘を続けたり―。

結果、宮路のは服の裾を掴みながら歩くので勘弁して、と言ってきたので仕方ないのでその意見を飲み込んだ。

意外とシャイなんだなぁ、宮路。

「それにしても意外と明るいもんだな」

私がそんなことを考えている間、しばし続いていた無言を額部が破る。

「山奥の学校じゃないからね。普通に外灯の灯りが届くよ」

「なんていうか…別世界?みたいでいいよね」

私の後ろを歩く薙の声が続いた。

私もそう、恐いというより、どことなく幻想的に感じていたので、雰囲気に任せて腕を絡めようとするのだが、宮路には―無意識なのかわざとなのかわからないが―のらりくらりとさりげなくかわされてしまっている。

うちの学校は変わっていて、2階の、しかも奥まった別棟に職員室がある。

あまり用がないとはいえ、たまに行かなければならなくなった時はかなり面倒くさい。

しかし今は、その面倒くささのお蔭で必然的に校内を巡る形になり、見慣れた空間の非現実を味わえていた。

「きゃっ!」

「わっ―」

ふと、宮路が足を止めた。

宮路の服を掴んでやや後ろを歩いていた私は宮路の背中に当たもろに当たり、更にその後ろを歩いていた薙も危うくぶつかりそうになった。

「おう?どした?」

先頭を歩いていた額部がのんびりと振り返った。

「宮路が急に止まってー」

私は宮路の背中に手を当てながら、その背中越しに応えた。

「ほんと、急にどうしたのさ?」

ごめんごめんという宮路に薙が聞いた。

「ん?んー…まぁ、ね」

宮路にしては珍しく歯切れが悪い。

だが、暗い廊下で、外灯に照らされた宮路の視線が意味ありげに横にそれるのがわかった。

「お?ヒヒッ、やっすふみーぃ」

今、額部には宮路の背中しかみえていない。

しかし、何かをあざとく察した額部がニヤーッと笑って一方的に宮路と肩を組んだ。

ちなみに、額部は私もろとも抱きつこうとしたが、素早く避けて事なきを得た。

「便所、恐いんだろー?一緒に行ってやろうかぁ?」

「ばっ…な…そんなわけ―」

歌うような調子が、逆に見事なまでなウザさを醸し出した額部のからみで、動揺のあまり宮路は言葉に詰まった。

そんな姿の宮路は珍しいし、普段の雰囲気が大人びているだけに、その慌てっぷりと原因が「夜の学校のトイレに1人で行くのが恐い」などという子供じみた理由であるという、激しいギャップが新鮮だった。

「んじゃ、ちょい待っててなぁ」

んじゃ1人で行くか?う…いや、まぁ…というやり取りをしばらく交わしていたが、含み笑いをした額部に肩を組まれた状態で宮路はトイレへと消えていった。


==========


『うわっ!しかも大かよ!』

個室に一直線に向かった俺の背に、充が言う。

『うるせぇよ』

軽く半身で振り向き様に言ってから俺は個室に入った。

『いやぁそれにしても意外だよなぁ、お前がこういうのダメなんて』

尚も俺に声を掛けている充も用を足し始めた気配が、ドア越しに伝わってきた。

と、いうことは今、充はこの扉に背を向けているはずだ。

タイミングを見計らい、水を流し消音を謀る。

それでも出来るだけ音を立てぬよう、慎重に水洗タンクの蓋を外す。

紐で留めて置いたので、目的物を入れたビニール袋は蓋を上げただけで引き揚げられた。

手が濡れるのを防ぐ為、必要最低限の部分だけを触り、【中身】を取り出す。

ビニール袋のお蔭で中身は濡れていない。

手に馴染ませる様、取り出した【中身】の1つを何度か握る。

ふむ。いいんじゃないか?

『やぁすっふみー、まぁだかー』

少し時間をかけすぎてしまったか?

ドア越しに充の様子を窺う。

手を洗っている?

ならまだこちらには背を向けているか。

キィ―。

ドアの立てる軽い軋みと共に個室から出た。

『お?っせーよ、やすふ…』

こちらを振り返った充は緩んだ笑顔のまま、それでも異常を察し、しかしその異常がどこにあるのか解らない、というよりは理解できないという風で固まった。

ピヒュン―。

腕にかかる反動に反する、軽い、しかし鋭い音が空気を震わせた。

ドサッ―。

充が後ろへと倒れる。

眉間にできた風穴。

紅いはずの液体は、灯りのない床ではただの黒として広がった。


==========


「ん?変な音した?」

薙との間に圧し掛かっていた静寂を壊したのは私だった。

宮路と額部がトイレに入ってから数分経つだろうか。

あまり音を立てない方がいい、という共通の認識と、多分…私たちにいつの間にか出来ていた蟠りのせいで、私と薙は一言も発さずにただ2人を待っていた。

そんな重い空気と静寂のせいで体感速度が長く狂わせているのを差し引いても、実際2人を随分と待っているな、と思ったところで宮路と額部がいるはずのトイレから、聞きなれない、そう、例えるならくしゃみのような音が聞こえた気がした。

「え?気のせいじゃない?」

少しびっくりしたように、それでも薙は返事をしてくれた。

「それにしても遅いよねー」

続く薙ぎの言葉は、また沈黙に戻らないようにという想いが滲み出て、妙な早口になっていた。

「んー…そう、かなぁ?そうかも?」

そう…薙は姉御肌で、私はそれに甘えて―。

キィ―。

ビクッと、不意を突かれた私と薙は、肩をすくめながら音のした男子トイレのドアを見た。

「あ、宮路おそ…」

助かった―と思いながら口にした私の言葉は、しかし途中で止まった。


…何?


私はそのまま言葉を失っていた。


オカシイ。

何かがオカシイ。

オカシイのはあからさまなのに、あからさますぎて思考が…追いつかない?


何で宮路…


「みや、じ…?何そのカッコ…」

薙の声は上ずっていた。


そう―、そう…だよ。

何で雨合羽なんか着てるの?

私の声は空気を震わす声には変わらず、私の頭の中でだけ浮かんで、他の誰に届くことなく、消える。

俯き加減だった宮路の顔が、逆に見おろす、いや、見下す様な角度にまで跳ね上がった。


シュッ―


と、鋭く空気が動いて、私の髪をフワリとなびかせ、頬に温かいぬめり気を与えた。


―ゴトン―。


ドサッ。


耳につく、不吉な、音。


空気の…いや…宮路の動きを自然と追っていた。

だから、全て、見てしまえた。


スローモーションなのに一瞬だった。


瞬間移動の様なスピードで一歩を踏み込んだ宮路の身体は捻れていて、独楽みたいに回転する身体は鞭のようにしなって、その先端の手を追いかけるように銀色が線を描きながら、薙の首を通りすぎた。


―ゴトン―。


銀色の流れの先に落ちた、薙の首の音。


ドサッ。


意思の失くなった、薙の身体が崩れ倒れた音。


頬に感じた温かなぬめりはー!!!


ビックリする程の一瞬が、冗談みたいに延ばされてスローモーションに見える、衝撃。

そのせいか、現実なのか、ゆっくりと宮路がこちらを向いた。

宮路が持っていた、薙を…殺した…凶器、が、血を滴らせ、銀色を失くしている。

「…チッ…」

「ヒッッッ―」

宮路のごく小さな舌打ちをきっかけに、私は悲鳴をあげた…つもりだった。

でも、叫びたいのに、噛み合わないカチカチと歯の鳴る音の方が大きく、喉は空気を短く吐いただけだった。

それでも身体は、膝を奮わせながらも後退り、宮路との距離をとっていた。

「糸数―」


カラン!


私の名前を呼ぶ宮路の声の後に、響いたのは、宮路に手放された凶器が床に落ちた音だった。


―え…?


思考が止まった一瞬で宮路は私の目の前に迫り、そのまま押し倒された。

「ふぐっ―!」

受け身なんてあったもんじゃない。

背中からまともに倒されて息が詰まった。

しばらくガハガハと咳き込む。

「っ―!」

打ち付けた背中もさすりかったし、丸まって咳き込みたかったのに、宮路が馬乗りになり、腕は足に押さえつけられて自由が奪われていた。

「歌…」

再び、今度は私を、下の名前をで呼んで、宮路は顔を近づけてきて…。


私の唇に唇を重ねてきた。


―え?


何、で?何で?何で何で何で何で何で!?


混乱の頂点に私はいた。

だって、今、宮路は薙を、薙の首を切り落として、殺して…

なのに今私にはキスして…

私は、確かに、宮路に、あからさまに好きアピールしてたけど、それでも薙を殺しといて。

わた―

「うっっっ!」

ぐちゃぐちゃの思考の渦に飲まれていた私は、一瞬でその渦から引き出された。

首が…首に!

ギリギリと締め上げられ、一瞬にして息ができなくなった。

口を大きく開けているが、空気の出入りは、ない。

本当は首を掻き毟りたい…違う。首にかかる、縄?…をどうにか解きたかった。

でも、私の腕は宮路の脚でガッチリと固められていて、腕を抜くことは叶わなかった。

脚を―スカートが乱れに乱れ、捲り上がり、下着が見えるのも気にせずーそんなこと気になどならない、しているばいではないー目一杯バタつかせ、精一杯の抵抗をする。

しかし、膝が逆に曲がるわけではないので宮路に当たることはなく、体制を崩すことすらできない意味のない抵抗だった。


…駄目…も…身体・動かな・なって…意識、だっ・て、ぼんやりと…


いつの間にか、手を抜こうとする努力も、意味のない、足をばたつかせる抵抗も止めていた。

口だって、諦めたような半開き程度だ。

宮路はただの黒い影になっている。

その周りも真っ黒で、だんだん宮路がその黒に飲み込まれ…あれ?宮路から黒が広がってるのかな?

とにかく私の視界は凹凸のない黒に埋められていく。

ねぇ…宮路…。私と薙、は…薙は…私は…。

あ、れ?…そういえば…額部、は?

薙…。

宮、路…。

多分、自分を殺している宮路に、最期に私は―。


==========


…フー―。

動かなくなってからもしばらく、もしもの事態がないよう、念のためしばらく込めたままだった力を緩め、息を深く吐き出して肩の力を抜く。

うむ。

中々の手際だったのではなかろうか。

首を絞めて殺した《糸数 歌》。

鎌で首を落とした《兼元 薙》。

便所には、頭を銃で打ち抜いて殺した《額部 充》も転がっている。

ふっ―。

今度は込み上げてくる笑いの、抑えきれなかった分が口から漏れた。

「俺は、ちゃんと教えたぜ?」

死体に語る言葉は、つまりは単なる独り言だ。

「充と兼元は、下駄箱に入れといてやっただろ?俺が犯人で、お前等はどう死ぬべきか、って」

それでも語らずにはいられない。

「気付かない、お前等が、悪い」

頬が、楽しさで歪む。


そして記憶は、きっかけへと巻き戻る。






**********






俺は《守屋 望》を待っていた。

守屋 望がバイトをしている、従業員口のあるファミレスの裏側。

店の顔である表側と違い、裏方として存在しているだけあって、人通りもなく暗い。

…全く…危ないったらないよな。

犯罪を呼び込む為に存在しているような暗闇に、俺が溜息を付いているとファミレスの近くに、白い、光の長方形が作り出された。

お疲れ様でーす、という守屋 望の声が聞こえ、光の長方形が徐々に細くなり、線となって、消えた。

薄闇の中でキョロキョロとする守屋 望は、すぐに俺の姿を見つけ、手を挙げて挨拶をする俺に小走りで近寄ってきた。

「ゴメンね、本当。夜遅く。しかもバイト中に声なんか掛けたりして」

反省した声音と表情で俺自身も守屋 望に近づく。


==========


「い…いえいえいえいえ!」

申し訳なさそうに近づいて来たイケメンに、上がりきったテンションと恥ずかしさでオーバーにリアクションしてしまった。

隣に並んで解った。

背も物凄く高い。

私が150cm弱と、少し小柄なことを抜いても大きい。

180…185くらいあるのかな?

それにしても…


カッコイイ…!


この高身長と顔!

モデルとかなのかな?


改めてそう思うと、何で私なんかに声を掛けたんだろうと疑問が強くなり、恥ずかしさで顔が直視できずに俯いてしまった。


ポン。と、軽やかな衝撃と温もりが頭に乗った。


!?あ、頭撫でられてる!?


ポンポン、と言うリズムが何とも心地いい…!


私はもう、有頂天になっていた。

だって、これは…これはもう…!

高揚した私は、自分でも大胆な考えに至り、顔を上げた。

なんというか、嬉しさと興奮と混乱でほっぺたが真っ赤になっているのも目が潤んでいるのが自分でも分かるくらいだし、身長差があるから上目遣いになっている。

計算ではない。不可抗力とはいえ、いわゆる男子を落とす鉄板顔だよね。

あ!まだ名前も―。


フッ、と喉に風を感じた。


首元に涼しさを感じ、かと思ったけど真逆の、灼熱感を感じ…ちが…コレは…―!

信じられない事態に、イケメンに助けを求めようとしたが、ゴボッ、という不快な音がしただけで、それと一緒に、ぬるり、とした嫌な感触と温度の液体が私の口から溢れた。

喉元を押さえた手にも同じ感触が纏わりつく。

こレ…な…!

意識がぼんやりとし、視界が、夜という事以前に暗くなってきた。

ほとんど意識も視界も、全ての感覚が弱まっている私の耳に、

「これが君自身でしょ?」

異常に鮮明で優し気なのにゾッとする、イケメンの声が届いた。


自分では立て直せない程に身体がグラリと傾いたが、地面に身体が叩き付けられる衝撃を感じることはなかった。






**********







まずは《額部 充》。

アイツには真田幸村の《六文銭》の軍旗。

六文銭。要は金だ。

《金》に《充》で【銃】。

加えて、充の苗字は《額部》。つまりは【額】。

だから充は銃で、《額を打ち抜かれて死ぬ【べき】》だった訳だ。

普通に金を入れてもよかったが、それじゃあ余りにも味気ないからな。

歴史好きの充田に似合いの、真田幸村の軍旗をわざわざ選んでやった。


そして《兼元 薙》。

アイツには《イヤホン》。

イヤホンとは《音》を聞くものだ。

兼元の《兼》の音は、《金》と同じだ。

つまり、《金》と《兼》で【鎌】。

そして《元》とういう漢字には【頭部】という意味があり、長刀とも書かれる武器の『長』の代わりに使われる《薙》には【刃物を勢いよく横に払って切る】という意味がある。

だから兼元は、《鎌で首をきられて死ぬ【べき】》だった訳だ。

本当は《勢いよく切る》のニュアンス的に、首は切り落とさず、喉を半分程裂くのが理想だったのだが…勢い余って切り落としてしまった。

まぁ、《勢いよく》なので、いいっちゃいいのか?


最後に《糸数 歌》。

アイツには《口づけ》。

口づけ。接吻。キス。つまりは唇を《交》えるという行為。

《糸》に《交》で【絞】。

そして、残った《数》と《歌》。

《数》には《数える》という意味がある。

そして《歌》には《和歌》という意味。

《和歌の数え方》はわかるか?

【首】だ。

つまり、だから、糸数は《絞首により死ぬ【べき】》だったんだ。

【交】の字をどう糸数に渡すか悩んだ分、糸数自身にすら愛着が湧いてしまった。

あいつも俺に惚れてたみたいだし、いい思い出と共に死ぬべき方法で死ねたんだから最高だろう。


もう、わかったろ?


人間の持つ【名前】は、そいつの【死に様を手引きする暗号】だ。


生まれたら死ぬ運命にある人間。

生いきるうちは架せられる名前。

その名前が死に様を暗示するものというのは何とも合理的ではないか。


それに気づかせてくれたのが《守屋 望》だ。

《屋》という漢字は《尸》と《至》から成り立つ。

《尸》とは【しかばね(屍)】。

つまり、一字目、【頭】の《守》をとれば【屍に至を望む】。


…この時の衝撃は忘れられない。


【人間性】の意味を知って以来、相反する意味が同居している状態に常々俺は疑問を持っていた。

それに縛られた世界を窮屈だと感じていた。

それを覆し、解放する術を標されたんだからな。

【人間性】という言葉に、人間特有の《名付ける》という行為により与えられた固体を識別・特定する【名前】と、【知性】を併せ駆使することで、残虐で野生的な【人間特有の本性】と、博愛主義の理性的な【人間らしさ】という真逆の性質を矛盾なく同等のものとして持たせられたのだからな。

だから、《カッとなって》だとか《やりたくてやった》だとか《誰でもよかった》等という、一時的な感情に流されただけ、自分の衝動に従っただけという知性も理性もない、野生的で【人間性を疑う】様な殺人には嫌悪を抱く。

そんなしょうもない殺人のせいで、殺人が持つ、人間性の構成要素の1つの【人間らしさ】の方だけが否定されてしまうのだからな。

だからこそ、俺が今回糸数に抱いた様に、殺す相手のことを愛着が持てる程に【知性】を持って考えることで、【殺人】は、なんとも【人間らしく】、否応なしに【人間特有の本性】を顕し、本来の【人間性】を解放する手段となるのではないか。


皆、気づくべきだ。

殺人の持つ正当性に。

人間のあるべき姿に。

それらが認められた、開放的な世界を認めるべきなんだ。


こんなことを言っていると、俺自身を勝手な理論に囚われた異常者扱いをする輩もでてくるだろう。

でもな。

この事実に気づいたという理由だけで俺はこの事実を広めようとしている訳ではないんだぜ?

【宮路 保史】。

俺の架せられた名前。

俺自身を体言する単語。

俺の役割を示す文字列。

《みやじ やすふみ》。

確かにそうだ。

だが、これは隠れみのだ。

音読みにすれば、《くろほし》。

ドラマのせいで、もはや一般常識に成り下がりつつある、警察の隠語。

《犯人》を意味する【黒星】。


俺の、正しい人間性の周知活動は、今のところただの犯罪行為だ。

だから俺、《宮路 保史》には《人形》。

【名は体を表す】。

今はまだ、既存の法律尊重し、罪を犯す者という自覚、だ。


屁理屈?

言葉遊び?

身勝手?


今はまだなんとでも蔑むがいいさ!


そうやって窮屈に歪んだ善意もどきに押し込まれているうちに、限界がくる。

正しい人間性に添った生き方が正しいと実感する時がくる。


正しい人間性に添った世界は、自身の名の意味と、近づいてくる奴の名に気をつけていれば至極安全な世になるんだからな。


何故かって?


衝動的で感情的な下劣な殺人は消え、死ぬべき方法でのみ命が断たれる理性的な殺人のみに淘汰されるからだよ。

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