ラブ、米
「息子も帰ってきたし、国民にシゲルをお披露目したいのだがどうだろう?」
ニートが加わりだいぶ賑やかになった昼食の場で、ティラン王がこう提案してきた。
お披露目かー。
王ならべつに命令でもいいだろうに、ちゃんと俺の意見も汲んでくれるのが嬉しいよな。と思わず笑みがこぼれる。
「いいねパパ!シゲルはけっこう見所があるし、きっと国民に歓迎されるよ!」
とニートがはしゃぐ。何をもって見所と言ってるのか分からん。こいつはただ俺が好きなだけだろう。
こっぱずかしいぐらいにストレートなだけに意味もなく照れるな。
「そうね、シゲルは私たちと肌の色が近いし、最近ヒゲも整ってきたからお披露目しても問題なさそうね。」
パルパティさんは国民にお披露目して違和感ないかどうかを気にしてくれてたようだ。
確かにこの屋敷じゃ普通に家族みたいにみんな接してくれてるけど、最初の姿じゃ外に出たらすげービビられただろうな。
なんでも思春期を越えてまだヒゲを整えてない男はホモかオカマちゃん扱いらしい。
この国のホモもオカマちゃんもやたら逞しいからわりと普通に暮らしてて、屋敷にも何人か勤めてるんだけど、
やっぱりその…
「アゴヒゲ伸ばしたシゲル…かっこいいよ。」
そう言って笑顔でアゴに手を伸ばそうとするサーミがいるからな。
ホモやオカマちゃんと間違えられるのはこれからのことを考えると断固勘弁してほしい。
なんて思いつつも、サーミに赤くなった顔を見せまいとそっぽを向いちゃうのだが。
うう、意気地がない俺が憎い。
サーミはなんでそんなに平気なんだ?文化の違いか?
「サーミ、シゲルが困っておるぞ。ほどほどにしておきなさい。」
「えー。シゲルのヒゲって短くてジョリジョリしてるから好きなのにー」
好きなんて言われるとますますそっちを向けないじゃないか!
って、別に俺のことが好きって意味でもないんだよな。
ティラン王はめまぐるしく顔色が変わる俺を見てたしなめてはくれているけれど、
どう考えてもこれティラン王にモロバレだよな。
「シゲルにならサーミを任せてもいいよ」
「こら!!ニート!!!」
いつの間にか隣に寄ってきて耳元でとんでもないことを囁くニート。
こいつは…普段調子にばっかり乗ってるかと思いきや変なところでティラン王譲りの察しのよさを発揮しやがって。
夜中に枕元でタップダンス踊ってやる。決めた。今決めた。
真っ赤になりながら騒ぐ俺を見てニヤニヤするニートにはそれぐらいの罰がちょうどいい。
「で、シゲルの気持ちはどうだ?」
「ええっ、きっ気持ちってそんな」
ティラン王に聞かれて動揺する俺。
そりゃあ顔のせいか性格のせいか女の子にまったく縁がなかったところに急に親しくしてくれるとびっきり綺麗な同じ年頃の女の子が出てきたらもちろんちょっと気になるしやっぱり目線がどうしても合わせづらいというかやや下のほうを向いてしまうわけだし気軽にタッチされたら異性として意識せz
「シゲルはお披露目されるの嫌じゃない?僕はぜひみんなに見てほしいな!」
そういうニートの質問に、話の流れが俺とほかのみんなで全然違っていることに気づく。
うわー恥ずかしー。
てっきりサーミのことどう考えてるか聞かれたと思ってめっちゃ動揺しちゃったじゃーん。
「う、うん。大丈夫。俺もそろそろ街中に出てみたいしね。」
そんな風につっかえつっかえ話す俺をニヤニヤしながら見ているニート。
(ナニ考えてたか分かるぞ~)みたいな視線やめろ!
やっぱり夜中にこっそり枕元で踊ってベッドから水しぶき出してやるか。恥ずかしさマックスの刑。
18才にもなってオネショ…こいつはこたえるぜ…!
そんな計画を膨らませつつこっそりとほくそ笑む俺をよそに、お披露目の計画はちゃくちゃくと進むのだった。
ああカレーライスが美味い!
ちなみにその夜、屋敷に「ママアアアアアァ!!!!!!」という声が響いたような気がしたが、
俺はぐっすり寝てたからな?本当だからな?




