第七話「ロボットの宿命」
この物語の行く先と同じくらい人生が不安だ。
巨大ロボットが学校を破壊してこちらに近づいてくる。
「なあヤブ医者、少し思ったことを言っていいか?」
「ああ、いいよ」
「俺たちの後ろって校門だよな。じゃああのロボットが向かってるのって町じゃね?」
この学校は少し町から離れた丘の上に建っているわけだが、このロボットが向かっている先には所々家に光がつき始めた町が広がっている。
「こりゃあちょいとやばいんじゃない?」
「んー、さすがにやばいね。ハルク君、すぐに作戦を開始するよ!」
「で、ですがまだ囮役が決まっていません」
ハルクが戸惑っているのを見てヤブ医者は即決する。
「君がやればいいじゃないか」
「はい?」
あまりにも非道な決断にハルクは戸惑いを隠せないようだ。まあ私が囮になるわけじゃないからいいか。
「頑張れハルク!」
「あんたら最低だな!」
非道?外道?そんなものは人間として生まれてきたなら持っていて当たり前のスキルだ。
「ヤブ医者、作戦って何だ?」
「簡単に言えば落とし穴だね。囮を使って落とし穴に誘い込む。今他のメンバーを使って急速に穴を掘っているから片足を埋めるぐらいの大きさにはなるはずだ。落とし穴にはまってバランスを崩したら一斉に攻撃を開始する」
「でもロボットをハルクなんかで釣れるのか?てか、何のためのロボットだ?」
「あのロボットはとある目的のために一定の条件を満たした敵を追いかける機能が付いているんだ。その条件とはずばり、女の子と一緒にいる男だ!」
なんとなく用途はわかった。たんなるモテない男の僻みだな。
「男はハルクとして女はどうするんだ?」
私はすでに圏外だとして、ヤブ医者が女装するわけないしどうするんだ?
「いやだなーもうそこにいるじゃないか」
ヤブ医者は私の足元を指差した。そこには今日よく縁のある生首兼饅頭がこちらを見上げていた。今日だけでもう見慣れて愛嬌すら感じられる。
「えっと、これ?」
「そうだよ。彼女は『ゆっくり』だ」
「ゆっくりが名前?」
「細かいことはまったくの不明。どこに住んでいてどこに生息しているのか分からない種族だから仕方なく『ゆっくり』と呼んでいるんだ」
「なるほどね」
もう何でもよくなってきたな。そろそろ私の感覚も末期になってきたのか。
「じゃあ説明も終わったことだし作戦を実行するか」
ロボットは動きが遅いようで助かった。
二十分後
ハルクは顔を真っ青にして校庭を全力疾走していた。さっきまでのろまだったロボットはこれでもかと言うほど身体から蒸気をだしてハルクを追いかけていく。ロボットの標的はあくまでも男なのでゆっくりはとっくにこちらへ非難している。
「何でこのロボ急に早くなったんですか!?」
「そりゃ遅かったらダメだろ。あと、落とし穴はそっちじゃなくてあっちだよ」
ヤブ医者はヘラヘラ笑いながらこの喜劇を楽しんでいる。それに加えて嘘の落とし穴の位置を教えて振り回している。
「そろそろ限界かな?」
二十分も全力疾走させられたハルクはもう限界のようでどんどんスピードが落ちていく。
ロボットもオーバーヒートしているようで今にも爆発しそうだ。
「もう落とし穴にはめるのも面倒だしさっき作った手榴弾でいいかな?」
ヤブ医者はそう言うとポケットからガシャポンのカプセルのような物を取り出した。
「いつの間にそんなものを……。よく作れたな」
「慣れれば簡単だよ。花火の火薬でも作れる。まあこれは水素爆弾だけど」
ヤブ医者はカプセルから出てる針金を引き抜き、ロボットのほうへ投げた。
(ドーン)
カプセルは爆発し、それに連れて今まで無理をして動いていたロボットも爆発した。
校庭の真ん中に火柱と大きな黒煙が立ち上る。
「やっぱりロボットは爆発だよね」
花火を見ているようなヤブ医者を尻目に私はあることに気づいた。
「あそこにハルクいたよね?」
空はすっかり暗くなり、月が美しく輝いていた。
ようやく二日目が終わりました。
もう七話目なのに。




