第二十話「高校は生活委員でした」
そろそろ東方とかボカロとか出してもいいと思う。
昨日近場の高校と何故か喧嘩をしてさんざん相手側をなぶった後不条理な停戦協定を結ばせた。条約の内容はあの一体をこれから私達の高校の監視下に置くというものだった。あと慰謝料でかつ上げまがいのことをヤブ医者がやっていた。どこのやくざだよ。
問題の暴走族は昨日はこなかった。本当になんのためにあそこ行ったんだろうね私達。
朝、目が焼きつくような眩しい日差しを覚悟してカーテンを開けると雨が降っていた。
「テンション下がるわー」
ふと下を見ると家の前に誰かが立っていることに気づいた。雨が降っているのでその人は黒い傘を差している。かすかに見える服はスーツのようでしわ一つ無くシャキッとしていた。見るからに怪しい。
「警察に通報しようかな」
そう思っていると、その人は雨に濡れるのを躊躇わないような機敏な動きでこちらを向いた。目と目が合う。瞬間に私は携帯で警察に通報した。
不審者は私の冷静な判断により警察に連行されていった。
「ってなことがあったんだよね」
「最近は随分と物騒なんだね。暴走族も活動範囲を広げようとしているって噂もあるからね。この町はどうなっていくんだろう」
学校に来てハルクに話してみると、ハルクが不安そうな顔をする。まともな反応だ。
だが、私に言わせればこの学校より不安な場所はない。
「ゆっくり警戒していってね!」
「うん、そうする」
今ではすっかり違和感はなくなったが、二メートルを軽く超える今にも破れそうな学生服を着た巨人と生首のような饅頭と仲良く話している私はきっと特別な存在なのだろう。
「静かに急いで席につけー」
私が学校に着て十五分経ってようやく先生がやってきた。
「最近町が非常に荒れているらしいので気を付けるように。それと今日の六時間目のホームルームは係や委員会を決めますから何がやりたいか決めておくように。以上」
先生は要件をさっさと言って教室を出て行った。
ここで私は思考する。どうやればあのヤブ医者と一緒ではない係になることができるのかを。ヤブ医者の場合面白さを重視するだろうから、なるべく面白みのない係を選ぶことが優先だな。
とは言っても、私から見て係なんてどれも面倒くさそうでつまらなそうだ。
「係何にするか決めたか?」
頭を抱えて悩んでいると手塚が話しかけてきた。
ここで私はあるアイディアを思いつく。
知り合いを誘って係の定員をいっぱいにすればヤブ医者は入ってこれないんじゃないか?
この数日で顔見知りはいくらかできた。係なんて最大で三・四人くらいしか入れないだろうから集めるのは余裕だろう。
「手塚君。もしよかったら一緒の係にならない?」
「もちろんさ(キリッ)」
こいつちょろいわ。
無事一人目を確保した。あとはハルクとゆっくり、それから……。
「なにやってるん?」
飛んで火にいる夏の虫。木村がやってきた。
「木村君。一緒の係にならない?」
「何の係になるん?」
私としては係なんてどうでもいい。重要なのはヤブ医者と離れることだ。
「んーなでもいいんだよね。そうだ。私動物好きだから飼育委員にでもなろうかな」
本当は動物好きでもないんだが、たまたま思いついたので言ってみた。すると、周りの顔色が変わる。
「悪い。飼育委員はパスで」
木村が青ざめてながら言う。
「あっ、僕も他にやりたい委員会があるから」
そう言って手塚もその場を離れて行った。
頭の芯に危機感が呼びかけてる。飼育委員はヤブ医者と同じくらいやばいにおいがする。
「なあハルク。飼育委員って、教室にある植物とか育てるだけだよね」
「そうじゃないのか?あとは学校で飼っている動物のせわとか」
ああ、なるほど。この学校のことだからライオンでも飼っていそうだしな。そりゃ皆やりたがらないよなー。
よし、飼育委員だけは絶対に避けるぞ。
信じられるか?
二十話までやってまだ四月なんだぜ。