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第十一話「人形の呪い」

大掃除がホラーな展開になってきた。

何故こうなった!?

 掃除を始めて数時間が経った。

「そろそろ昼飯にするかな」

「ん?もうそんな時間か」

 三枝に言われて時計を見ると一時を過ぎていた。

とりあえず和室を掃除しているヤブ医者と手塚を呼びに行くと、何故だかしらないが、二人は押入れにあったはずの人形に囲まれていた。

 何この状況。

 人形達は囲んでいるというよりも追い詰めているといった感じで、全部が二人の方を向いている。そして心なしか近づいていっているように見える。

そんな状況下、手塚は涙目で震えてヤブ医者は座布団を敷いてお茶を啜っていた。

「ハ、ハハハ。人形遊びして散らかしてんじゃねーよ」

 三枝は現実逃避をするように笑いながら言う。無理があるその台詞に手塚は必死で首を振る。ヤブ医者は動じていない。さすがだ。

「さて、そろそろお腹も空いてきたし外へ出ようか」

 私たちがどうしたらいいか慌てていると、ヤブ医者が箒を手に立ち上がった。

「な、何を……」

 それを見て驚いた手塚にヤブ医者は静かに「走れ」と言った。

 言った直後に手に持っていた箒を全力で振った。人形が十数体なぎ倒される。続けて休むことなく箒を一閃二閃と振る。人形は壊れ、宙を飛び、悲惨な状態になっていく。

 投げ飛ばされた一体が私の足元に振ってきた。

「ヤメロ。ユルサナイ」

 足元に落ちた人形はでカタカタと口を動かしてとても低い声そう言った。

「うわわわわ」

 それを見た三枝がその人形を思いっきり蹴り飛ばしす。だが、人形は遠くまで飛ばずに人形の髪の毛が三枝の足に絡みつく結果となった。

 人形は髪の毛を伸ばして足から離れようとせず、這い上がろうとその小さな手を伸ばす。

「は・な・せ!」

 三枝は自分の足ごと人形を柱に叩きつけた。人形は木っ端微塵になり床へ散らばる。ちょうどそこへヤブ医者と手塚が走ってきた。

「早くここから出るぞ!」

 私たちは迫り来る人形を振り切り和室を出た。

「ちくしょう!なんだったんだ、ありゃあ」

「四号館の五恐怖の一つ『和室の彼女達』だね。噂には聞いていたけど、まさかあんなに沢山いるとは思わなかったよ」

「何で学校にあんな怪しげな人形があるんだよ!」

「第十五代目校長が人形好きだったらしいよ。この学校もかなり古いからそんな人形があってもおかしくないね」

 冷静に応えているヤブ医者が不気味だが、どうせ理由を聞いても軽く流されるだけだから放っておこう。それに、こういうことに詳しい奴がいても害になるわけではないしな。

「この部屋はもういいだろ」

 結果として散らかってしまったが、罰を受けることぐらいあの人形達と戦うよりかましだ。

「三枝、足は大丈夫なのか?」

「ああ、少し痛むが大丈夫だ」

 私は三枝が足を引きずるように動かしているのが不安に思った。これより先では片足を失った状態で難を逃れるのは難しくなりそうだな。

 私は柄でもなく嫌な予感をつぶやいた。

 そして自分がこの非平穏な日々に慣れてきていることを嘆いた。



 昼飯を食べ終え、残りの掃除場所を確認しようと学校の地図を開いた。

「残すところは空き教室だけか。結構時間がかかったな」

 複雑な構造をしたこの学校の掃除は大変だ。

「その教室にさっき行ってみたんだが、だいぶ誰も入っていないようでほこりが積もっていたな。気をつけたほうがいいぞ。もしかしたらあの人形よりもやばいかもしれねーからな」

「おいおい、少し神経質になりすぎじゃないか?さっきみたいなのがあっちこっちにある学校なんて現実にあるわけないじゃないか」

 三枝の心配に手塚は苦笑いしながら応えるが、その手は震えている。

「ほこりが積もっているから掃除が大変そうだねー」

 ヤブ医者は楽しそうに言う。

「着いたな」

 空き教室の前に立った私たちは唾を飲み込んだ。

 曇ったドアの窓、寂れたプレート、色あせた古いプリント、ひびの入った壁、そこにある全てが不気味に見えてくる。

 中に入るとほこりが舞った。

「ひでえ状況だな」

「いつから使ってないんだろうね」

 しばらく教室を眺めた後、私が箒を取り掃除を始めようとすると手塚が手招きをして呼んできた。

「何かおかしくないか?」

「ボロイ以外に何かおかしいことある?」

「広さがおかしいんだよね。和室が広くて談話室が狭いせいで感覚が麻痺っているんだ。外を見てみるとわかるよ」

 言われるがままに外を見てみる。適当に見ていると、この教室の奥行きと先の壁の厚さが食い違っていることに気づいた。この教室の奥に窓一つ分あってもいいくらいのスペースがある。

この厚さ全てが壁ってこともないだろう。じゃあ何だこの厚さは。

 私が壁を触ってみると「ビキビキッ」と音を立てて近くにあったひびが伸びていった。

「うわっ」

 ひびが天井に届いたとき、教室全体が揺らいだ。

「危ない!」

 私揺れに耐えられなく倒れそうになった時、ちょうど天井が崩れ始めた。天井が私めがけて落ちてきたと思うと、三枝が私にタックルして代わりに天井の下敷きになってしまった。

「三枝!」

 天井は崩れをとどめることなく三枝と私の間に壁を作り上げていく。

 そして私の視界は暗闇へと変わっていった。


次回はラブコメになる?

書いたことないからならないだろうな。

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