第6話
「僕ってさ、実はそこまでラブコメの主人公っぽくない?」
休み時間。
僕は楠本くん、寺田くんの2人と一緒に話していた。
「どのタイミングで自分はラブコメ主人公だと勘違いしたのか甚だ疑問だけど」
と楠本くん。
きついことを言うなぁ。
まぁ、と言って楠本くんは続ける。
「お前はせいぜいラブコメ作品に出てくる・・・」
一応、ラブコメ作品に出てきそうな人物ではあるってことね。
「ギャグ担当のモブBぐらいだろうな」
恋愛要素ゼロじゃん。
っていうか、モブAですらないの?
「じゃあ、この中で一番ラブコメの主人公っぽいのは?」
誰かな、と寺田くんは尋ねた。
楠本くんは唸りながら考え込む。
「まず、吉川は名前が主人公っぽくないだろ」
苗字から変えるべき?
「楠本くんだって、書道部の幽霊部員じゃん」
そんな主人公見たことないし、と僕は付け加える。
「別にお前と張り合ってねぇよ」
楠本くんは言い返してきた。
そんなこと言って、楠本くんも本当はラブコメ主人公になりたいんでしょ?
逆張りかな。
じゃあ僕は?と寺田くんは自分を指さす。
「寺田くんは、第一印象がラブコメ作品に出てくるかませ犬だと思ったんだけど、思ったよりサッカーガチ勢だったから」
スポーツ漫画の登場人物くらいかな、と説明する。
「確かに、僕って主人公の友人だけど、第二部あたりでスタメンから外されそうなキャラだよね!!」
言い切ったな。
サッカーガチ勢としてそれでいいの?
「じゃあ、ここにいない瀬野は?」
ああいう顔が怖い奴が実はラブコメの主人公ってこともあり得そうだけど、と呟く楠本くん。
「確かにこの4人の中では、条件的に一番当てはまってる気がするね」
僕は腕を組んで応える。
・・・いや、本当に当てはまってる?
消去法的に瀬野くんが一番になってしまった。
僕は殿堂入りで入らないとしてね?
「・・・そもそも、ラブコメ主人公の条件って何なの?」
寺田くんは尋ねる。
そう聞かれると困る。
「ラブコメの主人公といえば、普通の生徒だけど何故か美少女に好かれまくる体質だな」
「元も子もないね」
合ってはいるけど。
「ツッコミがうまい人とか?」
と寺田くん。
「いや、それだとコメディ要素が強すぎるじゃん。」
「じゃあ、吉川はどう思ってるんだ?」
お前が思うラブコメ主人公の条件は、と楠本くんは尋ねる。
「ラブコメ主人公といえば、近所に住んでる幼馴染がいて、ラッキースケベ体質、主にツッコミ担当、そしていざというときにカッコよくなるバフがかかるチートスキル持ち・・・」
「なるほど。お前、条件ほとんど当てはまってねぇな。せいぜい当てはまってるとしたら、いつも頼りないくらいか」
全然だめじゃん。
「ラブコメ主人公みたいな人って存在しないんじゃないの?」
やっぱ創作だし、と寺田くんは呟く。
「・・・いや、存在するよ」
「え?」
「ラブコメ主人公みたいな人っていた。僕の近くに」
誰だ、と楠本くんは尋ねる。
「そもそも、ラブコメ主人公って美少女に好かれやすくって、ツッコミが上手い、近所に住んでる幼馴染がいて、いざというときにカッコよくなる人ってことでしょ?」
ラブコメ主人公の条件を確認する。
頷く2人。
「すべての条件を兼ね備えた人物、つまり僕の弟!!」
「お前、作品で5秒くらいしか出てこないけど」
本当にいいのか?と楠本くんは零した。




