第5話
「俺さ、意外と顔が怖いっていわれることが多いんだよ。」
瀬野くんは、困ったように言った。
別に意外ではないけど。
「でも相手になめられないから、得しそうだけどな」
楠本くんは応える。
楠本くんいつの間にか普通に瀬野くんと会話しているじゃん。
顔が怖すぎる奴とは話さないようにしている、という信条はどこに行ったんだ
「瀬野くんは、顔が怖いことで何か損をしたことがあるの?」
と僕は尋ねてみた。
「あれは、小学生のことだった・・・」
そういって、瀬野くんは話を始めた。
俺が小学生の時、給食で有り得ないくらい硬い飯が出たんだよ。
あぁ、これ強い飯の話だったな。
この話ではない?
じゃあ、別の話をしよう。
これは俺が中学生の時だった。
俺の友達の友達の話では、俺たちが住んでる屋敷は昔、凄惨な殺人事件が起こったという。
俺たちは肝試しに、その屋敷に行ってみることにした。
「・・・中は思ったより綺麗だな。」
「幽霊などいるわけないでしょう、科学的に考えて」
それは俺の顔が怖い話じゃなくって、普通の怖い話じゃないかって?
仕方ない。
これは俺が高校に入ったときにおこった出来事なんだが・・・
俺の目の前には、推定10メートルを超える大男が!!!
「瀬野くんって、思ったよりひょうきんな人なんだね。」
話を聞きながら、瀬野くんは顔が怖い人という印象が変わっていた。
「あぁ、第一印象と違ってびっくりだな」
楠本くんも頷く。
「そうか?俺は生真面目坊ちゃんを目指しているんだけどな。」
瀬野くんはそこまで気にしていない様子。
顔が怖いという印象を払拭するためにいろいろな話をしてくれたのかも。
日常生活も結構大変そうだ。
そんな瀬野くんを微笑ましく思った。
でも、その顔で坊ちゃんはないと思うよ?




