第1話
やっと終わった。
担任が今週のスケジュールを説明して、今日は解散となった。
軽く伸びをして、家に帰ろうと鞄を手に取る。
「おい吉川、一緒に帰ろうぜ」
友人の楠本くんに声を掛けられる。
その横には知らない男子生徒が。
僕の名前は吉川なおき。ごく普通の高校生だ。
「こいつとは中学校でクラスが同じだったんだよ。ほら、お前もなんか自己紹介してくれ」
友人はその生徒に僕のことを簡単に説明した。
「こんにちは吉川です、これからよろしく!」
自己紹介を終えて教室から出ていこうとすると、
「おい、さっき一緒に帰るって言っただろ。ちょっと待てよ」
楠本くんに止められる。
「僕は家にかわいい妹がいて待たせるわけにはいかないからね。また今度っていうことで!」
「いやお前、妹いないだろ。3つ下の弟がいるって言ってたじゃん」
「あれ?いたはずなんだけど」
「お前何言ってんの?」
楠本くんは頭を掻いた。
「僕には、近所に住んでる幼稚園からの同級生の幼馴染と甘えてくれるかわいい妹、そして面倒見の良い先輩がいた気がするんだけど・・・」
「お前、ラブコメ主人公じゃねーからな。」
そして溜め息を吐き、横にいる男子生徒に向かって話しかける。
「こいつ自分がラブコメの主人公だと思い込んでる節があるんだよ」
別に悪い奴じゃないんだけどな、と付け加える。
はぁ、とその男子生徒は曖昧な相槌を打った。
困ったなぁ。
早く家に帰らないといけないんだけど。
一呼吸置いて僕は続ける。
「僕たちの冒険は、まだ始まったばかりだ!!」
「連載が終わるじゃねぇか。しかもジャンル違うし。」
ほら一緒に行くぞ、と言う楠本くんの言葉を合図に僕たち3人は帰路についた 。




