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第14話

「準備運動が終わったら、ペアになってパスの練習を始めてください」

先生の指示があったあとに、僕と楠本君はペアになってパスの練習を始めた。


体育の時間で、僕たちはサッカーをしている。


「お前、サッカーやったことある?」

「体育でやったくらいだね」

「俺もサッカー見るのは好きだけど、体育くらいでしかやったことないな」


僕たちはパスの練習をしながら、話をしていた。

パスをするとき、足の角度が違うと思った方向に行かなくって意外と難しい。


適当につま先で蹴ってもいいかな。


すぐに楠本くんから、つま先でパスするなよ、と言われてしまった。


「サッカーについて知ってる感じ出してるけどさ、試合を見ているだけでしょ?」

「まぁそうだな」

楠本くんは頷く。


「そんなサッカーチェリー楠本に言われたくないんだけど?」

「体育でサッカーしてるから、別にチェリーではねぇだろ」


お前も違うし、と楠本くんは付け加える。


その後、僕たちは無言でパスを続けた。


前を見ると、瀬野くんと寺田くんがペアになってパスの練習をしている。


寺田くんはサッカー部だから、やっぱり素人からみても綺麗なフォームだった。

軸足を若干沈ませて地面と平行に足を押し出し、ボールがまっすぐ進んでいる。


やっぱ、サッカーの技術ってかっこいいかも。


ラブコメでは咬ませ犬ポジションのサッカー部も、こんなに高い技術を持っているなら、主人公を代表して敬意を示すべきだろう。



サッカー部の皆さんのことあんまり好きじゃないですけど、あなたたちの技術には惚れました、って。



そうこうしているうちに、サッカーの試合をすることになった。

グラウンドが狭いため、男子と女子で交互に使うことになる。


まずは、男子から始めるみたいだ。


試合開始!!



・・・試合終了!!


結局、ボールを持つ機会もなくコートに突っ立っていたらいつの間にか試合が終わった。


まぁそんなものだよね、と思いながらコートから出て、女子の試合を見ることになった。


別にサッカーの試合なんて興味がなかったから適当に眺めていたが、先日の放課後に出会った女子生徒が目に入った。


深山さんだったかな。


運動が苦手らしく、ボールが来ても避けていた。

ひとりだけ違うスポーツしてるじゃん、と思いながら見ていたが、どこか体調が悪そうにも見える。


基本的に自分から積極的に動くのはラブコメ主人公が動くべきときだけ、というポリシー持つ僕にとっては、大変腰が重かったが、丁度男子と女子が入れ替わるタイミングで声をかけた。


「すいません、体調大丈夫ですか?」


深山さんは一瞬、驚いた表情を見せ、

「・・・いや、大丈夫ですよ。」

と小さな声で応えた。


全然大丈夫じゃなさそうだけど。


しかし大丈夫ですよと言われた手前、いや本当は体調悪いでしょ、と面と向かって言うのもどうかと思い、女子の保健委員にあの人体調悪そうですけど、大丈夫ですかね、と声をかけた。


その保健委員と深山さんは少し話した後、保健室に向かう。

しばらくたってその女子が帰ってきたとき、教えてくれてありがとね、と言われた。




「お前、そんな人に気を遣うようなことできたっけ?」

楠本くんが茶化したように聞いてくる。


「ラブコメ主人公なら、人のちょっとした変化に気が付くのは当然のことだよ」

「いやお前、俺が髪切ってきても3日は気が付かないだろ。」

しかも、ラブコメの主人公って鈍感な奴がほとんどじゃね?と付け加えた。


・・・確かにそうかも。


「僕なんて、サッカーしてる自分にしか興味がなくって、まったく気が付かないよ!!」

楠本くんが坊主になっても分からないかも、と寺田くん。


「それもそれで問題な気がするけどね、まぁこれでラブコメイベントが発生する確率が高くなったはず!」


あと数日の間に運命的な出会いがあるに違いない!


「そんな煩悩まみれの善行なんて、神様が善行としてカウントしてくれるのか怪しいけどな」

楠本くんは呟いた。


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