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第13話

私の名前は深山かなで。

どこにでもいる普通の女の子。


ちょっと内気な性格だけど、高校に入ったし趣味に恋愛に、いろいろ頑張っちゃうぞ!


「ねぇ、深山・・・」


横にいる彼女は夜野さん。高校に入ってからできた友達!

いつもクールで大人っぽい彼女は男子からモテモテ!!


でも、年上の彼氏さんがいるみたい。彼のことになると子供っぽくなっちゃうかわいいところがあって、彼氏さんに嫉妬しちゃうね!!


「・・・深山、聞こえてる?」


私も充実した高校生活を送るんだ!!




「深山さ、今、少女漫画のプロローグやってたでしょ。」

そういって私に視線を向け、すぐに逸らす。


やってましたけど。


「夜野さんって人の心を読めた?」

「いや、なんか変なこと考えてそうだったから。」


変なことってなんだ、変なことって。


いいかな、夜野さん、と言って私は続ける。

「恋愛に明確なスタートラインはないじゃん。だからいつ始まってもいいように導入をしておくことが必要なんだよ」


「それ、少女漫画の始まりってだけで現実でも必要なわけじゃないと思うけど」

そもそも今から恋愛始まらないでしょ、と付け加えた。


今、私たちは帰り道の途中。


本来なら、気になる彼と自転車で二人乗り、いったいどこを掴めばいいいいの~~?!ってやってる時間のはずなんだけど。


「いや、放課後に遭遇したイケメンの彼が実は転校生だった?! みたいな可能性もあり得るんじゃないかな。」

「遭遇したって、そんな野良猫じゃないんだから・・・」





私の隣に座る彼。

教科書見せて、と頼まれ机をくっつける。

ときどき触れ合う肩にびっくりして目と目が合う。

ぽとり、落ちる消しゴム。

そして、躊躇いがちに伸びる手と手。


まじまじと見つめると、彼の端正な顔にくぎ付けに。


そして彼はこっそり耳打ちする。


落ちたのは消しゴムだけじゃなかったみたいだね。

どうやら君も、恋に落ちちゃったみたいだ・・・


(※イメージです。実際とは仕様が一部異なる場合がございます。)



こうなったらもう恋愛間違いないなし!


「いや、その男自分に酔いすぎでしょ。」

ばっさりと私の妄想を切ってきた。


「少女っていうのは恋に恋するものなんだよ」


まぁそうかもね、と肯定しつつ、

「でもそれを自分で言うのは深山が初めてかも」

と、夜野さんは言った。


そういってから数分の間、私たちは何も言わずに歩き続ける。


中学のときは通らなかった道だから、そう離れた場所じゃないけど新鮮に感じる。

高校を卒業するころには、慣れ親しんだ帰り道になるんだろうなぁ、とぼんやり考えていた。


すると夜野さんが口を開いた。

「そういえばさっきの、なんかごめん」


「ごめんっていうかさ、あれひどいよ、本当に!」


放課後の教室で、私がどんなに説明しても、夜野さんがずっと無関係なフリをしていたのだ。


「寝起きだと全然頭が働かないんだよね。」

何か面倒くさそうだったし、と彼女は付け加える。


「そもそも放課後に教室で寝るってことあるの?」


家に帰ってから寝なよ。


「いや、どうしても今日は眠かったんだよね。」

夜野さんは頭に手を当てて言った。


「へぇ、その話結構興味あるけど?」

にやにやして尋ねると、


いや、やっぱいい、と夜野さんは半ば強引に話を終わらせた。


夜野さんはクールで謎深き女の子だ。

彼女についてわかっていることいえば、ゲームの推しキャラに貢ぎまくってるということくらい。

勉強はそれなりにできるけど、宿題が終わったらずっとゲームをしているらしい。

今年のゴールデンウィークも一回も外出しなかったって言ってたな。


あれ?私って案外夜野さんについて知ってるかも。


「っていうか放課後さ、なにしてたの?」

と聞いてきた。


「あのね、ちょっと恥ずかしいんだけど、」

そういって私は説明を始めた。





西日の差し込む放課後の教室。

ここには彼と私の二人だけ。

眠っている彼の頭を軽く撫でる。

男の子の割に、だいぶ手入れされた髪だなぁ、と髪を梳きながら思いを巡らせる。


眠っているのかな?

彼の頬にちょっと触れてみる。


まだ起きる様子はない。

次第に私の視線は彼の唇に吸い寄せられる。


彼の少し乾燥した唇を指でなぞると、んぅ、と変な声を出した。


ちょっとおかしくって、ふふっと笑った。


「何やってるの?」


いきなり彼に声を掛けられ、どくん、と心臓が跳ねる。

目の前には、子どもっぽい笑みを浮かべた彼。


べ、別に何もしてないよ、と私は応える。


「僕の顔、ずっと見てたでしょ。」


もしかして起きてた?


私の唇をなぞったまま、彼は優しく顎に手を添える。


「かなでちゃんの顔、すっごく赤くなってる」

いたずらっぽく言う。


そんなこと、わざわざ言わないで・・・


夕焼けに照らされ、教室はいっそう赤みを帯びる。


「悪い子にはお仕置きが必要だね」

かなで、と名前を呼んだ彼の唇は私の方へ・・・


(※イメージです。実際とは仕様が一部異なる場合がございます。)




「・・・わかった、わかったから、結局私にどこまでしたの?」

夜野さんは話を遮り、頭を抱えて聞いてきた。


「ま、まぁ、髪をちょっと触るくらい?」

視線を泳がせながら応えると、


「本当にそこまで?」

眉をひそめる。


「・・・すいません、本当は唇も触りました。」

正直に白状した。


夜野さんは溜め息を吐いて続ける。

「少女漫画が好きなのは悪いことじゃないよ、私もたまに読むし。妄想したりするのもいいんだけどさ、時と場所はちゃんと選びなよ」

そういうことしてると、他の人に誤解されるかもしれないよ、と付け加える。


「誤解って?」

「さっき男の子たちいたじゃん、なんだっけ、吉川くんと楠本くんだったかな?あの人たちが深山をみてどう思うかってのをちゃんと考えたほうがいいよってこと。」


あの男子たちが、どういう風に私のことを見るか?


『あの子、なぜか特別に見える・・・でもどうして?』


「・・・それは深山が奇行してたからでしょ。」

というか、そんな恋が始まりそうなこと思ってないって、と夜野さんは応える。


まぁ、深山が困ってないんだったら別にいいんだけどさ、ちゃんと気を付けなよ、と溜め息をつきながら夜野さんは言った。


ごめんごめん、と言って私は続ける。


「親友だと思ってた夜野さんが実は黒幕でした、っていうシチュが起きないように、ずっと夜野さんのことを見ておくね!」


「いや、だからそれが誤解されるんだってば・・・」

夜野さんは呆れた様子で呟いた。


そうこうしているうちに、分かれ道まで来た。


じゃあまたね、と手を振って私たちは別れた。


今日も少女漫画っぽいイベントは起きなかったなぁ。

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