第72話 ドラゴン娘、旅を再開する。
リュウカがアズキ村を救ってから2日後、旅を再開することにした。
「リュウカお姉さん、もう旅に出ちゃうの…?」
「ああ、俺には果たさなきゃならない事があるからな。」
「そっか…」
「リュウカ君、色々とお世話になったのう。」
「俺は大したことはしてませんよ。」
「何を言う。お主が尽力してくれなければ、領主様との蟠りは解けず、きっとこの村は潰されていたじゃろう、お主は紛れもない村を救った英雄じゃ。」
「英雄だなんて…」
リュウカの活躍によって罪を認めたレート男爵はアズキ村を訪れ、村長達にこれまでのことを謝罪、その後、村長の息子の墓と忍の頭の墓、どちらにも手を合わせ終わると、おかしてきた罪を償うために貴族の位を捨て、罪人として罰を受ける道を選んだのだ。
「これはワシと村の皆からの心ばかりのお礼じゃ、受け取ってくれ。」
巾着袋を渡された。
「もしかして、この中身はお金ですか…?」
「そうじゃ。」
「そんな、村の皆さんが大変なのわかってるのに受け取れませんよ…?」
「安心してくれ、お主がそう言うと思って、無理のない範囲で出し合い集めたお金じゃ。遠慮しないで受け取ってくれ。」
「ですが…?」
「それだけ感謝しているんじゃ、気持ちを汲んでおくれ。」
「わかりました、ありがたく頂きます。」
リュウカは嬉しさから巾着袋を抱きしめた。
「リュウカお姉さん、また会えるよね…?」
「ああ、いつかまた会いに来るよ。」
「約束だよ…?」
「約束だ。」
「それとね…お願いがあるんだ…」
「わかってる。もし旅の途中でレノさんに会ったら、村の人達はあなたを許す、だから村に帰ってきて欲しいってララが言ってたって伝えるよ。」
「うん…ありがとう…」
領主が村に謝罪に来た後、レノさんは"私なりのケジメを着けてきます、どうか心配しないでください。"という置き手紙を残して姿を消したのだ。
「大丈夫じゃ。ララ。レノ君は必ず村に帰ってきてくれる。」
「そうだぞ、レノさんはララが大好きなんだ。信じて待ってやってくれ。」
リュウカはララの頭をそっと撫でた。
「リュウカお姉さん…」
「じゃあ、行きますね。」
「うむ、お主の武運を祈っている。」
「元気でね…?」
「ララもな。」
二人に別れを告げると村から出ようとした。すると…
«リュウカちゃん!»
「えっ?」
なんと村の人達、全員が見送りに現れたのだ。
「村を救ってくれてありがとうのう!」
「あなたのことは永遠に忘れないわ!」
「村で語り継いでいくよ!」
「君の旅の無事を祈ってるぞ!」
「皆…ありがとうございます!さよなら!」
涙をこらえリュウカは手を振ると、その場を去って行った。
「行っちゃったな。」
「またこの村に来てくれるだろうか?」
「きっと来てくれるさ。」
「それまでには村を復興させなくちゃな。」
「ええ。頑張りましょう。」
村の人達が戻る中、ララはずっと立ち尽くしていた。
「行っちゃった…」
「さぁ、ワシらも戻ろう。お昼はワシがよりおかけてご飯を作るぞ。まぁ、レノ君みたいに美味しくは作れんじゃろうが。」
「うん…」
『お昼は私に作らせてください。』
「えっ!」
振り返ると、レノが居た。
「れっレノさん…」
「帰ってきてくれたんじゃな?」
「はい。」
「うぐっ、お帰りなさい、レノさん!!」
「ただいま。」
ララは泣きながらレノに抱きついた。
「心配したんだから。」
「そうじゃぞ。今まで何をしてたんじゃ?」
「忍をやめてきました。」
「忍をやめた?」
「はい。忍の頭がいなくなって血筋で私が次の頭に選ばれましたが断りました。そして忍もやめた次第です。」
「よかったのかのう…?」
「ええ。私より適任な方はほかにもいますから。これからは普通の人間として生きようと思います。」
「そうか。」
「じゃあ、レノさんはずっとこの村に居てくれるの!」
「はい。お世話になりたいと思ってます。」
「うぐっ、うぐっ、よかった!」
「ララちゃん…」
「よかったのう。ララ。」
「もうどこにも行かないでね。」
「はい。行きません。」
レノも泣きながらララを強く抱きしめた。
(リュウカさん、ありがとうございました…)




