第69話 ドラゴン娘、忍と戦う。(中編)
リュウカと忍の頭の戦いが始まろうとしていたその頃、アズキ村では村長の村にララとレノが誘拐されたことを聞きつけた村人達が武器をもって集まっていた。
「村長!我々もララちゃんとレノ君を助けに行かせてください!」
「そうだわ!あの半人のお嬢さんにだけそんな危険なことをさせて村の者が何もしないのはおかしいもの!」
「今こそ、村長に恩返しをする時だ!」
«そうだ!そうだ!»
「皆の気持ちはありがたいが、大事な村の者達を危険にさらすわけにはいかぬ、助けに行くことはしないでほしい。」
«村長…»
「それにこれはリュウカ君からお願いされたことなのじゃ。自分が絶対に二人を助けるからと。ワシはあの子の言葉を信じておる。皆も信じてあげてくれ。」
「わかりました…」
「村長がそう仰るなら…」
「頼むぞ、リュウカ君…」
そして場面は戻り、リュウカと忍の頭の戦いが始まっていた!
「せやっ!」
「このっ!」
リュウカは爪で忍の頭はクナイでどちらも引かない白熱したぶつかり合いをしていた!
「今の所、互角の戦いをしてるね?」
「ですね?しかし、マサキ様はまだ本気を出していません。」
「そうだね、お頭はまだクナイでしか戦ってない。」
「リュウカさん…」
「やるじゃないか、部下の三人ならいざ知らず、頭である私の動きにも対応出来るとはな?」
「そりゃどうも…?」
(こっちのセリフだつーの!引っかき攻撃は受け切られるし、尻尾攻撃すら躱されてる、さっきの奴らとは素早さも強さも段違いで!こいつ、下手したらヨーコと互角、もしくはそれ以上の実力者だ!)
「隙あり!」
「わっ!」
リュウカは肩をクナイで刺されそうになったのを寸前で回避した!
「今のは危なかった、考え事してる場合じゃないな…?」
「このままでは埒が明かない、戦い方を変えるか。」
忍の頭は懐から巻物を取り出すとそれを前に広げた。
「巻物ってことは忍術でも出すつもりか?」
「ほう、よくわかったな?鎌鼬流忍法、水の章。」
「ぐっ!ってあれっ…?ただ巻物から水が流れてるだけじゃん…?」
「愚かな、ただの水なわけがあるまい、下をよく見ろ。」
「下…?はっ!」
地面に溢れた水がまるでスライムのように固まって動き、一直線にリュウカに向かって行った!
「一体何だ、この水は!」
「奴を飲み込め!」
「うわぁっ!ゴボボッ!」
水はリュウカを飲み込んで丸くなった!
「やったぁ!これでお頭の勝利は確実だよ!」
「ですね!あの水地獄から抜け出せた者はいませんから!」
「許してください…何も出来ない私を…」
(レノさん…)
「ゴブフ、ゴボボッ!」
(やばい!溺れる、溺れ…あれっ…?)
「不本意だが、きさまを殺さずに連れて帰らなくてはならないからな?この術がちょうどいい、さぁ気絶するまで、もがき苦しむがいい、ハッハッハ。」
「ゴボボ…」
するとリュウカは目を閉じて、じたばたしなくなった。
「なんだ?もう、気絶したのか、もっと苦しむ所が見たかったんだが?」
「んなわけねぇだろ!」
「何!」
「そりゃぁ!」
リュウカは体当たりをして水から脱出した!
「馬鹿な!」
「このっ!」
「ぶふっ!」
「お頭!」
「マサキ様!」
そして勢いそのままに忍の頭の頬を殴った!
「誤算だった、まさかきさまが水の中でも息が出来る種族だったとはな?」
「だったみたいだな、俺も今、知ったぞ。」
「くっ、とぼけやがって、よくも私の顔によくも傷をつけたな?この痛み、倍にして返してやる。」
「お頭、あの術をやるつもりですか!?」
「だったら何だ?」
「やめてください!あの術は強力すぎていくらリュウカさんでも耐えられないはずです!」
「そうです!マサキ様!我々に与えられた命令はあくまで生かして連れていくことだったはずです!」
「きさまら、誰に口を聞いているんだ?」
«ひいっ!»
鋭い目で睨まれた三人は蛇に睨まれたカエルのように恐怖で慄いた。
「私は今、本気で怒りが限度を超えているんだ、逆らう奴は容赦なく殺す、わかったか?」
「はっはい!」
「申し訳ありません!」
「レノも次はないぞ?」
「はっはい…」
「おまえ、本当にクズ野郎だな?」
「この術を見てもその強気な態度でいられるかな?鎌鼬流忍法、奥義、つむじ風!」
忍の頭は自分の背丈ぐらいのつむじ風を発生させた!
「ぐっ、今度は風か、忍の術っぽいな?」
「お遊びは終わりだ!ゆけ!」
「そう簡単にくらうかよ!」
リュウカはやって来るつむじ風を躱した!すると近くあった木に直撃してバラバラに切り裂いた!
「ひぇ、小さい割になんて威力だ!あれはまともに受けたら、流石にやばいかもな…?」
「今のはほんの脅しだぞ、これからが本番だ!」
今度はさっきの倍の大きさのつむじ風を発生させた!
「ぐっ!ここに居たら巻き込まれる可能性があります!一旦、離れましょう!」
「いいのかな!怒られるんじゃ!」
「マサキ様はあの半人の娘を倒すことしか考えてません!ここに居たらそれこそ命を落としてしまいます!」
「それもそうだね!レノちゃん達も離れるよ!」
「はっはい!リュウカさん、無事でいてください…」
忍の二人はまだ気絶している仲間を運んで、レノはララを抱きしめてその場を離れた!
「さっきより大きいが、その分、威力も上がってるんだろうな?」
「当たり前だ、これだけでも小さな村を一つ消し飛ばすぐらいわけなかったぞ?」
「まっまさか、おまえ…?」
「ああ、アズキ村を半壊させたのは私だ。」
「なっなぜそんなひどいことを…?それもおまえの雇い主の命令か…?」
「あの方は知らない、私が独断でやったことだ。」
「独断だと…?」
「あの方はあの村を大変嫌っていた、だから村が潰しやすくして差し上げたのだ。」
「嫌ってたか、やっぱりおまえの主はアズキ村の所有者だっていう領主だな?」
「よくわかったな。」
「だろうと思った、盗賊に村長の荷馬車を襲わせたのも領主だろう?」
「そこまで気づいていたか、村の馬鹿共よりは勘がよかったわけだ?」
「あんないい人達ばかりの村を苦しめて、さらにララまで誘拐して人質に…おまえもそのクソ領主も絶対に許さないぞ!」
「レート様の悪口を言うな!!」
巨大なつむじ風がついに動き出して、リュウカに迫った!
「俺は逃げない!風の攻撃ならこっちも風で対抗するだけだ!スゥゥゥ。ヒュウーー!!」
リュウカはこれまでにないくらい思いっきり息を吹いた!するとやって来るつむじ風と同じぐらいの大きさの竜巻が起こしたのだ!そして両者が激突!まるでコマ対決のようになった!




