第62話 ドラゴン娘、初の野営する。
「ふわぁぁ、なぁ、マップルン?結構飛んでるけど、目的地とどれくらい距離が縮まった?」
『目的地の港町オーツクまではあと約750kmあるぜ、Hey!』
「確かトーチの町から1500km離れてたはずだよな?そう考えると一日で半分は飛んだんだな、いくらドラゴンとはいえ疲労も出るか、今日はここまでにするかな。」
俺は目的地のオーツクの港町を目指し、完全なドラゴンの状態で何度か休憩を挟みながら飛び続けて数時間後。辺りはすっかり暗くなり、流石に疲労してきたので、今日の移動はここまでと決めて森に降り人型に戻った。近くに村や町はなく、河原まで移動して初めての野営をすることにした。
「まずは焚き火をするために薪になりそうな木の枝を拾わないとな。」
木の枝を拾い集めると、口から小さな火を吹いて焚き火は完了、次にテントを組み立てた。
「ふぅ、次はご飯作りだ。」
女神が与えてくれたこのアイテム・ボックスはマジで優秀だ。テーブルなどの家具も大きさ関係なく仕舞えて取り出せるし、常温だと保存が出来ない生肉や魚、野菜も入れてるけど全く腐らない、最初に入れた時の鮮度を維持している。感心しながら料理を作ることにした。
「完成。野菜と鶏肉のスープと焼いた魚。頂きます。パクッ。うげっ…魚ちょっと生焼けだ…スープはジュルル、うぎっ、スープは薄っ…味付けしたはずだよな…?」
すっかり忘れていたが、俺は料理下手だったんだ…けど勿体ないから残さず食べた。
「ご馳走様…旅開始早々、アンナの料理が恋しくなったな…アンナ…アリア…」
二人は今頃どうしてるのか、考えてホームシックな気分になった。
「駄目だ、駄目だ!まだ旅が始まって初日だぞ?しっかりするんだ。俺の助けを持ってる人がいるんだから。とっとと風呂入って寝よう。」
俺はアイテム・ボックスから空のドラム缶とレンガにすのこを取り出すと、それでドラム缶風呂を作って入浴した。
「ぷはぁ。ドラム缶風呂なんて入ったの初めてだけど悪くないなぁ。前にヨーコに作り方を聞いといてよかった。」
そして色々と寝支度を済ませたら、テントに入った。
「明日にはオーツクの港町に着けるはずだ、そのためにも体力温存するために寝なきゃな…スゥゥ…」
そして翌朝。俺は服を着替えて朝食にアンナが作ってくれた苺のジャムを塗ったパンを食べると、後片付けを済ませて旅を再開しようした。だが、ちょうどその時だった。
「ヒヒーン!!」
「なっ何だ?」
俺はすぐに音がした方へ向かい、そっと茂みから覗いてみた。そして状況を推測するにどうやら荷馬車を盗賊が襲ったらしい、護衛の冒険者だろうか、二人の青年が応戦していた、しかし。
「ぐわっ!」
「ぐへっ!」
「おいおい、この程度かよ。」
「護衛のくせに歯ごたえがなさすぎるぞ?」
「どうします?お頭?」
「護衛に要はねぇ、ぶち殺せ。」
「だってよ、悪く思うなよ?」
「殺されるなんて、いやだ!」
「俺もだ!」
「おっおい!ワシらを見捨てる気か!」
「自分達の命の方が大事だ!」
「そういうことだ、あばよ!」
雇い主であろう老人とその老人の孫だろうか女の子を置いて、二人の青年は逃げ出した。
«アハハハッ!»
「情けないガキ共だぜ、あれで冒険者かよ?」
「あんなのに護衛されて可哀想にな?同情するぜ。」
「おじちゃん…」
「大丈夫じゃ…ララ…ワシが守ってみせる…」
「どうしますか、お頭、追って殺しやすかい?」
「時間の無駄だ、取るもん取って、アジトに帰るぞ。」
「へい、わかりやした。皆、後ろの積み荷を運び出すぞ!」
«おう!»
「まっ待ってくれ!その積み荷は村の者達に届ける大事な食料なんじゃ!届けないと村の者達が飢えてしまう!奪わないでくれ!」
「んなこと知るかよ。」
「俺らには関係ねぇな。」
「盗賊だもんな。」
「何という非道な奴らなんじゃ…」
「それとそのガキの娘も頂くぜ?」
「やっやだ!」
「だっ駄目じゃ!それだけは絶対にさせんぞ!」
「うるせぇ!いいからよこせ!」
「きゃぁっ!」
「ララ!!」
必死に抵抗したが、老人から女の子が引き離された!
「こいつは顔がいい、奴隷商人に売りつければ高く売れるだろうよ。」
「やだぁ!奴隷になんてなりたくない!」
「やめてくれ!!その子はワシの大事な孫なんじゃ!!」
「年寄りのじいさんに用はねぇ、殺せ。」
「へい。」
「ひぃっ!」
盗賊の一人が老人を殺そうと刀を持って近づいた。
「おじいちゃん!!」
「ガハハッ、よく見ておけよ、じいさんのくたばる所をよ。」
「誰か、おじいちゃんを助けてぇ!!」
「んなもん、来るわけねぇだろ。」
「それはどうかな!」
「ぶへっ!!」
«えっ!?»
現れたリュウカは老人を殺そうとしていた奴を殴り飛ばした!
「お頭…ガクッ…」
「たった一発殴っただけで…?」
「気絶させただと…?」
「おっおまえは一体、何者だ!」
「俺か?俺はただの通りすがりの旅人だ!」




