第48話 ドラゴン娘、警部と再会する。
領主はここまで事が大きくなった以上はやむを得ないと娘のメグや知っていた俺を除いた全員に今朝、泥棒三姉妹のビューティ・スターから予告状が送られてきていた事を話した。そして町の警察を呼んだ。
「領主様、困りますな…?なぜもっと早く我々に知らせてくれなかったのですかな…?」
「すまない、フォックス警部。あまり事を荒立てると領民達を不安にさせると思ってな。」
「領主様らしいといえばらしい理由ですな?」
「それに今日は大事なお客を呼んでいて、楽しいムードを壊したくはなかったのもあるのだ。」
「大事なお客ですか?」
「俺達だよ、警部さん。」
「君は確か!リュウカ君!」
「お久しぶりです。」
「いやいやまさかこんな場所で再会するとはな!」
「痛たた!背中を強く叩きすぎですよ!」
するとヨーコがアンナに耳打ちした。
「なぁ?あの小太りの警部さんとリュウカって知り合いなのか?」
「小太りは失礼でしょう!あの警部さんはアルドの薬屋の親子を連行する時に指揮をしていた方なの。」
「ああ、なるほどな。」
「ふふん。ワタクシは知ってましたよ。野次馬としてセバスチャンと見てましたから。」
「自慢する所だべか…?」
「実はリュウカ君にだけは予告状の事を知らせていたのだよ、お客として来てもらっておいて悪いとは思ったが家宝を守るためにとね…」
「なるほど、それでも盗まれたわけですな?暗闇の中、警備の者を一瞬で気絶させ、柵に囲まれた銅像から短時間で盗みだしたか…噂で聞いていた通り、泥棒三姉妹ビューティ・スターは相当凄腕の泥棒らしいですな…」
「警部!配電盤を調べた所、一時的に停電になる仕掛けが施されていました!」
「そうか、ご苦労。領民様、停電前にこのフロアに居た者はこれで全員ですか?」
「そうだが?」
「オッホン、では皆さんには捜査のために身体検査をさせてもらいます!集まってください!」
男には男の警官が、女には女の警官が広間に居た者をそれぞれ一人ずつ身体検査をした。もちろん、俺らや屋敷の主である領民もその娘のメグもである。だがアリアだけはまだ子供なので除外された。
「警部!調べた所、誰も盗まれたダイヤを持っているものはおりませんでした!」
「誰も持っていなかったか…」
「まさか犯人はすでに逃げた可能性があるんじゃないか…?」
「ありえますな、しかしもしまだ犯人がいると考えればダイヤをこのフロアのどこかに隠した可能性も十分にあります。部下の諸君、このフロアを徹底的に探すんだ!」
«了解!»
「ハァ…」
「どうしたんです!お父様!」
「いや、こんな時でも領主として毅然な態度ではいなくてはと振る舞っていたんだが…先祖代々受け継いできた家宝のダイヤが二度と戻って来なかったらと考えたら、目まいがしてな…」
「座って少し休んでください…?お父様…?」
「ああ、すまないな…」
「可哀想にね?」
「本当ね…」
「リュウカ、犯人は逃げたと思うか?」
「ヨーコはどう思ってるんだ?」
「逃げてないと思う。」
「断言するな…?」
「実はな、オラ、停電して悲鳴が上がった時に念の為に広間全体に感知魔術を張っておいたんだ。」
「感知魔術…?何だそれは…?」
「一定の空間に障壁を作って、その空間から出たり入ろうとしたりする奴が居たら感知出来るって術だべ。」
「へえ…?そんな術があるのか…?」
「あるんだ、その術を停電の時に広間全体に張った。でもな、あの時、広間から出た奴は一人も居なかったんだよ。」
「つまり泥棒三姉妹はまだこの広間にいるって事か…?」
「だべな。」
時を同じくして、お屋敷の庭にて。
«なっ何を!?»
「スリープ・フラワー。」
«うわっ!ふにゃぁぁ…»
花びらが舞うと警官達が眠らされた。
「姉様。外にいる人間は全員、眠らせたわ。いつでも逃げられます。」
《よくやったわ。アルファ。これからベガと一緒に逃げるから。》




