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100.反乱分子

王宮を訪れた翌日に、ソフィアは姿を消した。




昨夜、俺達は国王への謁見を終えた後、宿屋へと引き返した。

国王からは王宮に滞在するよう勧められたが、面倒なのでそこは断ったのだ。



そして朝になると、ソフィアの部屋はもぬけの殻になっていた。



俺達は宿屋を出て、そこら中を捜索する。

しかしどこを探してもソフィアの姿は見当たらず、目撃した者もいなかった。



「ど、どうしよう………。僕が昨日、あんなこと言っちゃったから………」



アルクは動揺して頭を抱えた。


「あんなことって、何があったんだよ?」


ウィルが尋ねると、アルクは頭を抱えながら答える。


「き、昨日、ソフィアがまた僕の部屋に来たから………」





昨夜、ソフィアはまたアルクの部屋を訪れた。


再び肌着姿になりベッドに潜り込もうとするソフィアを、アルクは慌てて制止する。



「ちょっとソフィア、だめだってば!ほら、自分の部屋に戻って……」

「どうして?」

「どうしてって……だ、だめだよ、そんな恰好で………」

「けっこんするのに、だめなの?」

「結婚って………」



アルクはそこで、ウィルからの忠告を思い出す。

そしてソフィアを押し留めながら、じっと目を見て言った。


「ソフィア、ごめん。僕はソフィアとは結婚できないんだ」

「どうして?」

「どうしてって、それは………」



アルクは俺をちらりと見る。

俺は巻き込まれたくないので、既にベッドの上で丸くなっていた。



しかしアルクの視線で、ソフィアはその意図を理解したようだ。

しばらくじっと下を向いていたが、やがてアルクから離れ、服を着て部屋を出て行った。




アルクは昨夜のことを思い出しながら、さらに頭を抱え込む。


「僕があのまま、ソフィアを部屋で寝かせてあげていたら……。どうしよう、僕のせいで何かあったら………」



俺達は宿屋の受付係に尋ねてみたが、昨夜ソフィアが一人で宿を出たということはないようだ。

逆に怪しい人物が宿を訪れたこともないと言う。



「とにかく、もう一度手分けして探そう。私は北側の区域を確認しよう」


エレーナはそう言って、一人で北の方向へと向かった。



俺とアルクは南側、ウィルは西側を探すことにした。



「しかし妙だな。ソフィアの奴が一人で抜け出したんじゃないなら、誰かが宿に忍び込んで誘拐したってことだ。だが受付係は、不審な人物は見ていないと言った。元から宿屋に潜んでいたのか、もしくはあの受付係が嘘を吐いてるのかだが……」



考えを巡らせながら、俺達は大通りを外れ、人気のない路地へと出る。

薄暗い裏路地は、いかにも誘拐犯が潜んでいそうな雰囲気だった。



「どうしよう、ソフィア、無事だと良いけど………」


「あの娘が無事かどうかは、お前達次第だな」



アルクの言葉に答えるように、突然背後から男の声が響いた。



アルクは思わずさっと飛び退き、剣の柄に手をかける。

背後にはフードを被った数人の人物が立っていた。


顔にはマスクを被っており、素性を知ることはできない。



何となくそのマスクに見覚えがあり、俺は嫌な予感がした。



「……あなた達は、誰ですか……?」



アルクが警戒しながら尋ねると、男の一人が答える。


「説明は後だ。娘は我々が預かっている。命を助けたければ、共に来てもらおう」



アルクは俺をちらりと見る。

俺が頷くと、アルクは剣の柄から手を放した。



そうして俺達は男達に連れられ、薄暗い路地をさらに奥へと進んだのだった。




その頃エレーナは、町の北側を歩き回っていた。


町人に尋ねてみても、ソフィアらしき女の子を目撃した情報は得られない。


「……子供の足で、そこまで遠くへ行けるはずがない。やはりソフィアは何者かに攫われたのか……」



独り言を言っていると、ふと、背後から何者かの気配を感じる。

すぐに剣を引き抜いたエレーナは、降り下ろされた大剣を受け止めた。




ガキイイイイィィィィィン!!!!!




「………お前達、何者だ…………」


力を入れて大剣を受け止めながら、エレーナは相手を睨みつける。


こちらもフードとマスクを被った複数の男が、エレーナに襲い掛かっていた。

しかしどうやら男達は、エレーナのことは本気で殺しにかかっているらしい。



その時エレーナの背後から、別の男が剣を振り上げる。


「ちっ、この人数が相手では………」


大剣を受け止めるのに手一杯のエレーナは、攻撃を受ける覚悟をした。




「ぐわああああぁぁぁっ!!!」




しかしその時、背後にいた男が突然苦痛の叫びを上げる。

男はそのままバタリと地面に倒れ込み、動かなくなった。



エレーナが茫然としていると、大剣を振り下ろしていた男もドサリと倒れ込む。


倒れた男達の頭上には、緑色の魔法陣が浮かんでいた。



残った男達は、慌てて周囲を見回す。

しかしウィルの姿を見つける前に、残った者達の頭上にも魔法陣が現れた。



魔法陣から落ちてきた雷に、男達は全員気を失う。



「お、お前……どうしてここに………」


エレーナはウィルを見つめながら言った。

路地の陰に隠れていたウィルは、頭を掻きながら姿を現す。



「いや、何となく、単独行動は避けた方が良い気がしてさ。後を追ってきたんだ」



そう言ってウィルは、倒れた男達を見下ろした。


「こいつら、一体何なんだ?」

「定かではないが、おそらく………国王が言うところの、反乱分子だろう」


エレーナも男達を見下ろしながら言う。



二人は屈み込み、その顔を覆うマスクを外そうとした。

しかしそのマスクは、引っ張っただけではビクともしなかった。



「へえ、外れないようになってる。何かの術式が組み込まれてるのか。これも魔道具の一種なんだな……」

「おい、感心している暇はない。とにかくしょこら達と合流しよう」



まじまじとマスクを眺めるウィルに、エレーナは急かすように言った。

しかしその時、俺が二人に念話を繋いだ。



『おい。誘拐犯に遭遇した。今から奴らの元に乗り込む。お前達は安全な場所で待ってろ』



それだけを言って、俺は念話を切る。



ウィルとエレーナは顔を見合わせ、こくりと頷いてその場を離れた。



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