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プロローグ
ここは資源と愛に恵まれた国、ルヴィエ。
これはこの国に住まう1人の令嬢の物語である。
令嬢の名はアリーダ・デル・ベルナール。
公爵家の一人娘として産まれた美しき少女。
その身は皇帝陛下のご子息、アルベール・ド・モルゼックに捧げると定められている。
アリーダは物心が着いた時から皇后になるために血のにじむ様な日々を過ごしてきた。
勉強、作法、ダンス…。
完璧な淑女になるためにそれはもう沢山の時間を要した。
彼女は完璧主義ではあったが、それ以上に愛情深く、ロマンチストでもあった。
アリーダの両親も家同士での結婚であったが、彼等は愛し合い結ばれた者同士だった。
例え許嫁であっても、愛のある家庭は築ける。
それを見て育ってきたアリーダにとって両親は憧れそのものだった。
彼女は努力した。
全ては許嫁である皇子の隣に立つために。
愛し、愛されるために…。