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世界樹転生 異世界支配とビキニアーマー開発史  作者: 藤井ことなり
帝国との触発編
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ラングル・ノブル・ブラパン伯爵

 翌日、ルシアに宣戦布告してからの攻防戦をアンナ達は定期的に王国へ報告をし、それを聞いた議会の面々がどう対策すればいいかを話し合う。


 カーキツバタ王国は女王制で[君臨すれども統治せず]ではなく[君臨するし統治するし民衆の声もきく]というスタイル。

 一般国民からの議員による[平議院]と貴族達による[貴族院]の二院制で、まとまった案を女王が決裁するというやり方だ。


 今現在の議題は[帝国軍への対応]という、場合によっては国家存亡に関わるものなので[平議院]にはまだ伝えていない。もちろん国民にもだ。

 そして[貴族院]では六人の貴族がそれぞれの意見を長く深く交わした結果、[防戦して講和]が四と[降伏して交渉]が二という勢力図となった。


 防戦派の筆頭はラングル・ノブル・ブラパン伯爵。防衛大臣であり、王国に軍隊を増設するべきだと主張している。

 対する降伏派の筆頭は、コーサク・ノブル・コットン伯爵。東の草原北部に広大なコットン(綿花)畑を持ち、王国の主産業である衣服の原材料を提供している。


 勢力的にはコットン伯爵派の方が分が悪いが、ひとつアドバンテージがある。コーサクは次期女王であるアンナの実父なのだ。


 膠着状態のところだったが[帝国軍は王国に頼まれて来た]という報せはさらに意見が分かれる流れになる。なぜならもっとも疑われたのがブラパン伯爵であるからだ。

 ラングル・ノブル・ブラパン伯爵は黒髪強面エンゼルコンチネンタルの髭が特徴で、身長は低いががっしりした筋肉質の体型で、いかついイメージで本人も[(オトコ)]という感じなのだが、ブラパン伯爵家の主要収入源はなんと女性下着である。


 女性優位のカーキ=ツバタ王国では、当然の如く女性の意見を採り入れたデザインと機能の下着が作られる。それらをギルドや旅商人を通して他国の貴婦人に勧めたところ大当たりし、ブラパン伯爵家ひいてはカーキ=ツバタ王国の主要産業のひとつとなっている。

 そして買い手のほとんどは、海神ファスティトカロン帝国の国々、つまりラングル・ノブル・ブラパン伯爵は帝国に太いパイプを持っているのだ。


 もちろんラングルは否定する。自分が軍隊を必要だと言ってるのは、帝国軍の強さを知っているからで、衛兵だけでは心許ない、抑止力のためだと主張するが、疑心暗鬼となっていた他の貴族からの疑いは除けなかった。


 議会を見守っていたエルザ女王とユーリだが、エルザ女王の様子がおかしくなっているのを感じたユーリは、さり気なく中座を申し出、エルザ女王はそれを承諾すると、会議はいったん終了した。


※ ※ ※ ※ ※


「何かあったのか」


俺の問いにユーリは首を振る。その顔は無表情ではあるが、今は言えないという空気を醸し出していた。


「とにかく相談役を引き受けた以上、しばらくカーキ=ツバタ王国(ここ)に居ることになった。あとで正使を出すが、アンナ王女たちにも伝えておいてくれ。それと……」


「まだ何かあるのか」


「ゾフィとエニスタだったか? 親衛隊のふたりも此方に戻ってもらうことになった」


 ゾフィとエニスタといえば帝国軍の別動隊を仕留めて、何かメモらしきものを持っていってたな。

 その事をユーリに話すと、そうなのかとはぐらかされた。


 おかしいな。どうやら何かあったのは間違いないようだが、それをオレに話せないとは。

 ユーリとオレのつきあいは短いが、それでもある程度互いに察することができる間柄だ。言わないということは察しろということなのだろう。だが正直、意図がわからない。


「クッキー」


「なに」


「私はお前を信じている」


「ああ」


 何を急に言い出したんだ。


「だからお前も[お前を信じている私]を信じてくれ」


 どういう意味だと問い返しかけたが、ヒトハがオレの手を握り静かに首を振る。訊かないでほしいということだろう。


「わかった。ユーリを信じるよ」


「ありがとう。王国の方のゴタゴタはこっちに任せてくれ。クッキーは帝国軍を追い返すのを頼む」


「そうするよ。じゃあまた何かあったら連絡してくれ」


「ああ」


名残惜しかったが、帝国軍の夜襲も気になる。とりあえず戻ることにした。


※ ※ ※ ※ ※


「行ったか? ヒトハ」


「はい。お父様はお戻りになられました」


 それを聞いたユーリはベッドに仰向けになると、大きく息を吐く。


「ユーリ様、やはりお父様にお話になった方がよいのでは」


「──いや、今日の戦い方を聞く限りではやはり言えないな。クッキーは優しすぎる、あの覚悟では耐えられないだろう。それに、この先はクッキーには関係ない。鍵は……アンナになるだろうな」


 四百年近くによる数多の知識と経験を得たその深謀と遠慮は、この先の流れを目の前の虚空に映し出されているかのようにユーリは凝視していた。

お読みいただきありがとうございます。


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