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世界樹転生 異世界支配とビキニアーマー開発史  作者: 藤井ことなり
帝国との触発編
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初日終了

 火竜の息吹(ファイヤブレス)により焼け地が少しづつ増えていく。

 伝令が届いたのか、カリステギア王国軍とガリアニア王国軍からも黒衣(ローブ)姿の者が列をなし、火炎魔法により焼け地をつくり始めた。


「前線の連中のこと見捨てたのかなと思ったけど、さすが軍隊だな。整然と隊列が組めているから火炎攻撃の被害は無し。ある程度近づくと火炎攻撃部隊は攻撃を止め、先行部隊が後退して入れ替わる。見ごとなもんだな」


 カメラツタとマイクツタで、それらを記録しながらアンナ達にも観せている。


──アンナ、カーキ=ツバタ王国の軍と比べてどうだい──


──どうと言われても……、王国の軍というか衛兵隊が戦うのを見たのは、カイマ襲撃の時が初めてだから、比べられないわ──


──ということは衛兵隊は戦闘経験がないのか──


──どうなのシンシア──


──たまに[はじまりの村]にノマドの襲撃が来るので、その時に遠征するくらいですかね。規模の大きい戦争は未経験です──


──[はじまりの村]ってどこ──


──王国から西で世界樹の森(ここ)から東寄りの北にある街道沿いの村です。100年前にカイマ達から逃れた先祖が一旦暮らしていた村で、生きていくのに不便だったため、フライング大河近くに砦を兼ねた城塞都市を造りました。それが今の王国です──


 となると、帝国軍とカーキ=ツバタの衛兵隊の関係は、軍隊と自警団くらいの差があるということか。

 相変わらずなんで世界樹の森(うち)経由で来たのかわからないが、直接行ってたら秒殺されてたのは間違いないな。


 そうこうしているうちに先鋒軍は草城壁の際まで肉薄していた。


「火矢を放てーー!!」

火竜の息吹(ファイヤブレス)


近づいてきた弓矢隊が城に向かって火矢を射ち、魔法使い達は草城壁に火炎魔法を唱える。

 だがしかし、火矢は精霊障壁ではじき、火炎魔法は表面の草を焦がすだけだった。


まあ当然だよな。こっちだって何もしていない訳じゃない。草城壁をすでに強化してある。


 草城壁の基礎骨格はカラタチのような硬くトゲのある木をベースに、複雑に絡み合いさらに触手ツタで絡めてある。それを高さ10メートルくらいに育ててある。

 その前後に火炎魔法の火力を分析して水分と細胞壁を強化し大きく育てた厚盾草を配置し、帝国軍側は先と両端の切れ味は鋭く横からの衝撃は軟らかく受け流すように[品種改良]した刀剣草で覆った。


「うん、役に立つようだなワンセットでパッケージ化して[グリーン・ウォール]と覚えておこう」


 帝国軍は火炎攻撃が効かないと判断したのか、縄をかけて壁を越えようとするが、刀剣草で斬られてしまうので落ちる兵士が続出。

 壁をぶち抜こうとするとカラタチの棘が邪魔をする。


──クッキー、このあとどうするの。焼かれたところもとに戻してやろうか──


アディからの提案に首を振る。


──それは夜にやろう。あとちょっとで勝てるところで振り出しに戻る方が精神的ダメージがおおきいからな──


 一夜城に籠城戦に即席対処の草城壁(グリーン・ウォール)と、ずいぶん精霊力を使ってしまったが、蓄えはまだまだあるしフタハ、ナノハとヤツハがマナをせっせと集めてくれている。

 ちゃんと補給部隊も考えて……。


──アンナ、シンシア、君らは輜重とか補給部隊の概念はあるのかい──


突然の質問にふたりは驚きながらも考えて、逆に質問される。


──それってなんですか──


 どうやらふたりとも知らないようなので簡単に説明する。


──つまり本国から戦地まで、絶え間なく物資を補給する隊ということですね……。考えもしませんでした──


──ということは無いんだね──


──少なくとも我が国ではありません。帝国はどうだか知りませんが──


 ふむ、はるか南方の帝国軍の陣地、の、さらに南を見るが、さすがに見えない。

 撤退目的のオレとしては補給部隊が無いのを期待したいが、ここからでは分からないな。


 地下茎を延ばして補給路を断つというのも考えたが、魔法使い部隊が阻止したので断念した。

 いや、阻止というのは違うか。気づかれるだな。だから補給部隊があると分かったときに一気にやろう。


※ ※ ※ ※ ※


 火炎攻撃と力押し攻撃を交互にしてくるが、それらを軟らかく受けたり、硬くはね返したりして草城壁(グリーン・ウォール)は大活躍。

 そうこうしているうちに日が暮れてきた。

 砂海に沈む太陽を見ながら、アディに上級ドライアド(アドバンス)達用の依代である樹木を用意できたか訊ねると、人数分したとかえってくる。


──よし、働かせ続けて悪いが、夜は夜で頑張ってもらうぞ──


 完全に日没するまえに帝国軍は撤退していく。とりあえず初日は思惑通り食い止められたな。

 こちらも、ユーリ付きのヒトハと北側見張り担当のフタハ、ゾフィ達のサポートに行ってるミツハ以外の上級ドライアド(アドバンス)を集めて、今日手に入れたアプリというかスキルを、アディ経由で同期(シンクロ)して渡す。


[刀剣草][厚盾草][カラタチ壁][草城壁][高性能マイクツタ][高性能スピーカーツタ][高性能カメラツタ]そして精度を上げたお馴染み[触手ツタ]の8つである。


「よし、これでかなりレベルアップしたな。他の3人にも教えないといけないから、皆んなはここを頼む。夜襲が来たらドライアドの本分で対応してやってくれ」


 全員の、は〜い、いってらっしゃ〜いという言葉を背に、アディと共にまずはフタハのところに向かった。

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