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世界樹転生 異世界支配とビキニアーマー開発史  作者: 藤井ことなり
帝国との触発編
72/198

ルシア・ガリニア・ファスティトカロンという男2

 ──ルシア・ガリニア・ファスティトカロンは23歳、帝国本国生まれの本国育ちである。


 彼が生まれる5年前、当時帝国統一戦はまだまだ西の方が主戦地でガリアニアやリュキアニアなどの東部の国々は小競合いの最中だった。


 時のガリアニア国王、つまりルシア・ガリニア・ファスティトカロンの祖父は先見の明があり、帝国と関係を結ぶため当時15歳の第一王女をテオドシウス・ユリウス・ファスティトカロン帝王に差し出した。

 若さを通り越して幼いほどの王女ラウラはほぼ単身で見知らぬ土地、見知らぬ国、そして戦争真っ只中の国へと赴いたのだ。


 国交のため帝王に寵愛を受けねばならぬのに、帝王は戦争に明け暮れ、同じ目的の女達との確執やらと幼いラウラ・ガリニアは筆舌に尽くし難い苦労を何年も強いられていた。


 ──ある日のことだった。西国の強国との戦争に勝った帝王はじつに久しぶりに本国に戻り、祝いの祭りを催すことにした。その際、ガリアニアからの祝いの使節団もやってきて、久しぶりの祖国の空気に触れラウラは上機嫌となり歌を口ずさんだ。

 それはそれは美しく奏でられる旋律と音程、窓の下を通りかかった人々が足を止めて聴き惚れてしまうほどだった。


 たまたま通りかかった家臣がテオドシウス・ユリウス・ファスティトカロン帝王に話すと、宴席にラウラを呼びつけ歌を披露せよとのたまった。

 ラウラは大勢の重臣と帝王の見まもる中、見事に感心する歌声を披露すると、その夜、寵愛を受けることになった。

 のちにガリアニアの歌姫(ガリアニア・ディーバ)と呼ばれるラウラ第12女王の逸話(エピソード)である。


※ ※ ※ ※ ※


 無事、懐妊したラウラが産んだ男の子、それがルシアである。

 男子となれば継承権を与えられるものだが、帝王にはすでに10人以上の男子がいるので、脅威とは思われず誰も気にしなかった。

 それが功を奏してルシアはすくすくと育ち、自分の立場を理解する年頃になると、家臣として帝国に貢献しようとこころざすようになる。


 ところが、珍事が起きた。

 ラウラの祖国、ガリアニア王国が反帝国派になるという噂が流れてきたのだ。

 それを聞いたラウラはすぐさま事の真偽を確かめると、弟である長男が父王を軟禁して実権を握ったという。

 ラウラの弟は、足元を確かめずに歩きだすと揶揄される暗愚である。老いた父王の慎重さを弱気と受け取り、奸臣に煽られて暴挙にでたのが真相らしい。


 心労のあまり寝込んでしまった母ラウラを助けようと、当時20歳のルシアは帝王にガリアニア王国の平定に行かせてほしいと申し出る。


「軍を動かすのか」


「いえ、1年の猶予をいただければこの身ひとつで平定させてみせます」


 その不敵な返答に面白く思い、帝王は1年の猶予をあたえガリアニア王国平定を申しつける。

 ルシアは直ちに母に報告したあと、ガリアニア王族にだけ与えられる紋章をもらい、単身ガリアニア王国へと向かった。


※ ※ ※ ※ ※


 ガリアニア王国に着いたルシアは傭兵として雇われると、リュキアニア王国との戦争に参加。暗愚の采配ゆえに劣勢であったが、ルシアは多大なる戦果をだす。その結果が人望を集め、小隊を編成しさらに大きな戦果をだす。劣勢が少しづつ優勢になりつつあった。


 暗愚弟王は噂を聞きつけ、宮殿に呼び出し対面する。


──とても母の弟は思えぬ愚かさだな──


ルシアによる初対面の叔父への感想はそれだった。


 若きルシアは、祖父譲りの慎重さと母譲りの粘り強さで暗愚弟王から信頼を勝ち取り、側近へと取り立てられる。

 そして事の張本人である奸臣を政治的に追い出し、ナンバー2の地位になるとついに本性をさらけ出した。


「暗愚なる叔父よ、私の名はルシア・ガリニア・ファスティトカロンだ。祖父王と母に成り代わって告げる。貴方に王の座は相応しくない、降りていただこう」


そう言うとルシアは帝国の紋章と母ラウラの紋章を掲げる。


「あ、姉上の息子だと。この反逆者め」


「いかにも。だが叔父上の王座はかりそめのもの、国王への反逆にあらず。このルシアを反逆者と呼ぶのなら自らの剣でそれをしらせてみせるがよい」


ルシアは腰の短剣を抜き、暗愚弟王は長剣を抜く。


 王族の争い。その場にいた重臣達はどよめきの中、ことの成り行きを見守るしかなかった。


 長剣の有利でもあるにかかわらず、ルシアに軽くあしらわれて地に這う暗愚弟王を捕らえ、祖父王を救い出すとルシアはことの成り行きを伝え、処分をまかせた。


 結果、暗愚弟王は監禁状態へ。奸臣は夜逃げするところを捕らえられ死罪となった。


 こうして半年も猶予を残してルシアはガリアニア王国を平定。それを帝国に報せると帝王は驚き、ラウラは涙を流して歓喜したという。



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