マジメにやってるわ!!
「こういうギミックがあるんなら楽なんだが……。クッキー、ちょっと見てくれ」
つけてやったばかりなのに、テレビとレコーダーを当たり前のように使いこなしている。
テレビを観ると、一年ほど前のカイマ襲撃事件の映像が流れていた。
「クッキーの記憶で、美聖女戦士とやらの戦いなんだが、ここを見てくれ」
そう言って、美聖女戦士化しているアンナの戦闘シーンをピンチで拡大する。本当に使いこなしてるな。
「ここだ。このときのビキニアーマーだが、どう見る」
分からない、と即答すると考えろと絶対言われるから、じっとみつめる。
アンナの股の部分のアップを食い入るように見るが、何を言いたいのか分からなかった。
「すまん、分からん」
「……これだよ」
ペッターはそう言いながら、作業台の傍らにあるエルザ女王から賜ったビキニアーマーを叩く。コンコンと音がする。
「あ、……そういうことか。このアーマーよじれているんだ。こんなに硬いはずなのに」
金属パンツと表現するしかないこのアーマーが、まるで布のようによじれている。
「こういうのは細工レベルの話じゃない。たぶん神霊力の領分だろう。クッキーは木材でこれができるか」
「……できないな。生きている植物ならともかく、伐り倒されて木材となると──あ、世界樹の実を行き渡らせればできるか」
「ふむ。となると、宝珠に世界樹の実の精霊力を送りアーマーにいきわたらせる機能が必要か」
「できるのか」
「とりあえず試作する。じゃあな」
訊きたいことは終わったからさっさと行けと言わんばかりに作業台に向うペッターに、やれやれと思いながら意識を後ろに向けると、そこにはアディをはじめとする上級ドライアドたちが揃っていた。
「おわ?! どうしたみんな」
防御姿勢をとり明らかに冷たい目、蔑んだ目、汚物を見るような目でこちらを見ている。
「お父様が、お父様が食い入るようにヒト族の女性を」
「少女の腰を」
「腰というか腰の付け根を」
「腰の付け根というか股間を」
「少女の股間を食い入るように見つめているなんて」
「いつかあたし達もあんな目に」
「不純異性近親乱交相姦されるなんて」
「クッキー、この子達には手を出させないわよ」
最後のはアディだが、フタハから始まってヤツハまでリレーのようにどんどん貶める発言を言うドライアド達に、言い訳を考える前に膝から崩れ落ちそうになる。
「誰がそんなことをするか。純粋に制作作業の一環でしかないわっ」
怒ってそう言うと、きゃあきゃあと騒ぎ立てる。
「アディ、ちゃんと説明しておけよ。これからこのコたちにも協力してもらわないといけないんだからさ」
「そんなことを言われても、さっきの下着と股間を見ているペッターとクッキーの姿を見たら、誰だって変態野郎にしか見えないわよ」
「ビキニアーマーを作ってるんだから、しょうがないだろ」
「ほぉんとぉにぃ。イヤラシイ気持ちなかったって言えるのぉ」
なんかいつもより底意地が悪い感じだな。
今まで二人きりの生活をしていたときは世話焼きの妹キャラみたいだったのに、最近はなんか人間ぽくなってきた。
これはゾフィをはじめとする王国のヒト族に会うようになったせいだろうか。
「精霊体だから性欲なんてものは無いんだよ、オレに生殖器が無いの知ってるだろ」
「なんならマリオネットに付けてやろうか」
「普段無口なくせに余計なことを言うなよっ」
オレに怒鳴られて、ペッターは肩をすくめてから背中を向ける。
「とにかく今は外の対応に大変なんだ。他のことは考えてない、だから余計なことを考えるな」
はーい、とふてくされ気味に言う。
本当に分かってんのかな。
※ ※ ※ ※ ※
アンナ達はまだ食事中だったので、カーキ=ツバタ王国まで移動する。
着いたら、ヒトハが生け垣を走りまわっていた。
「なにやってんだヒトハ」
「あ、アディお母様、お父様、どうしたんですかー」
「様子見に来たんだよ。変りはないか」
「なーんにも。ヒマ過ぎて走りまわっていましたー」
本当に大丈夫かと思いながら、ユーリの部屋に三人で向かい、カメラで確認すると不在だった。
「いないな」
「ユーリ様なら今はエルザ女王と食事中ですー」
「ああ、そうか。当然こちらもそうか──って、ユーリ様!?」
ヒトハはたしかユーリさんて呼んでたよな。
「お父様がいってからヒマだったんでー、ユーリ様とお話ししてましたー。それでー、契約したいって、いってくれましたー」
け、契約!?
「アディ、契約ってなんだ」
「精霊との契約のことかな。下級はできないけど、上級ならできるわよ」
契約すると、ヒトハはアディの許可なくユーリの召還に応じることができるし、ユーリはヒトハの能力を命じることができる。
「メリット、デメリットは?」
「ヒトハは生命力を得て、成長に影響がでるわね。ユーリなら問題ないわ。ユーリはヒトハの能力、近場の植物を操ることを命じられるわ」
「生命力? 寿命を削られるのか?」
「ううん。想い。ユーリはエルフで精霊信仰だから感謝の祈りを捧げれば大丈夫よ」
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