表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界樹転生─目的は異世界支配とビキニアーマー開発─  作者: 藤井ことなり
カーキ=ツバタ王国編
6/120

ユーリの村が襲われた、400年程まえ

 女王陛下が退室した後、親衛隊の人がやって来てオレ達を連れていく。衛兵達は慌ただしく警戒の用意をしに出ていった。


 連れていかれたのは応接室で、モーリは手前の控室で待つように言われ、オレ達3人が応接室に招かれる。


 来客席に着き、待っていると先程の威厳のある正装ではなく普段着に着替えて女王陛下と御付きの親衛隊員がやって来た。王族というのは普段着でも高貴な意匠の物を着るんだなと変に感心した。


「お待たせしました、この国の女王、エルザ=クワハラ=カーキツバタと申します。こっちは親衛隊長のゾフィ、先程は失礼しました」


席に着き、自己紹介をのべると軽く会釈をした。それだけで凛とした空気をかもし出す。


「エルフの、ユーリ様でしたか、初代国王クワハラについて知っていることを教えていただきますか」


「知っているのは国王になる前の話だな。彼がまだ勇者だった頃、共に奴らと戦った間柄だ。そして戦いを終えた後、生き残った村人をまとめて国を創るというから、そこで別れて私は旅にでた」


エルザ女王の問いかけにユーリは落ち着いた調子で答える。


「初代国王クワハラは、わたくしの曾祖父にあたります。戦いと建国の激務の為、早死にしたので面識はありませんが、いくつかの逸話は聞き及んでいます。戦いの場所はどちらでしたか」


「ここからさらに東の、今はなんというか知らないが、当時は[大地の嘲笑い]とよばれる地の裂目だ」


「ダークボトムズとやらは何故襲ってきたのです」


「……繁殖のためだ。だから女を襲うし、連れていこうとする」


「戦いはどのくらい続きましたか」


「半年くらいだったはずだ。相手が強すぎたのと戦いの素人を守りつつ撤退しながらな」


「では最後の質問、彼の出自は知ってますか」


「詳しくは知らないが、再挑戦者(リトライヤー)と本人は言ってたな」


「けっこうです」


目を閉じてため息をつきながら、エルザ女王は何かしら理解したようだ。


「どうやら本当の事のようですね。つまりわが国は本当に危機に見舞われるということですか」


「残念ながら、そうなるでしょう」


 エルザ女王はゾフィを手招きすると、衛兵隊にすぐに警戒体制から臨戦体制に移るように命じ、城壁外の民間人を城内に入れ門を閉めるように伝えた。


ゾフィが隣室の部下にその旨を命じると、また女王の斜め後ろの定位置に着く。


「さて、そうなると情報が欲しいですね。ユーリ殿、当時の戦いとダークボトムズの事、すべてお聞かせ願いませんか」


「そうだな、少し長くなるかもしれないが話すとしよう……」




 ──今から400年程前、ユーリはエルフネッドの森で、一族と共に暮らしていた。


 エルフは長命族ゆえ、めったに子供を生まないし、だいたいは一人ずつ産まれるが、ユーリは珍しく双子で産まれた。

 一卵性双生児で女の子同士、名前は先に生まれた方がケーナ、後から産まれた方がユーリと名付けられる。

 2人はすくすくと元気に育ち、とても仲が良く30人程の一族も平和に暮らしていた。




 ケーナ、ユーリが20歳の時だった。夜の闇に紛れて何者かが集団で一族を襲ってきた。

 不意討ちではあったが森の妖精であるエルフは夜目がきき、狩りを普段からしていたので反撃にでる。

 しかし、嵐のような暴力と手負いの獣の如き狂暴が多勢のため、次第に劣勢となっていく。

 歳は20歳だが体型は幼子のユーリ達は、森の奥に逃がされ、その際2人は離れ離れになってしまう。


 夜が明けて、恐る恐るユーリは村に戻ってみると、そこには父母とたくさんの一族が死体となっていた。


 かろうじて生き残った者達の話をまとめると、奴らは地底からやって来て、女を連れ去っていった。それをとめた男達が殺されたらしい。

 ユーリの母も連れ去られそうになったが、父が覆い被さるように阻止したので、まとめて殴り殺されたと。


 追いかけようにも何処にいったかわからないので、悔しいが残った者は他のエルフ族を頼ってその地を後にした。




「……新しい森で旅のやり方を覚えた私は、皆と離れてひとり旅をするようになった。目的はもちろん一族を壊滅した奴らを探ることと、離れ離れになったケーナを探すためだ」


しかし、なかなか手がかりは見つからなかった。

200年近く探し回って確証を得た情報は、


奴らは地下空洞に住む種族だということ

単一種族でなく多数いるということ

知的種族により社会が形成されているということ

100年に1度くらいで女を奪いに来るということ

それをするのは1つの種族だということ

その種族はすべての種族と子孫を残せるということ

子孫は女の種族の特徴を取り入れるということ


それがわかったところで、どの地下空洞に一族を襲った奴らがいるのかは分からない。だからユーリはさらに彷徨い続けた。


200年の間に2回、王国のいう[100年後の災厄]があったが、場所は様々で起きたのでユーリは絞ることができず、しかもたまたま離れたところばかりだったので、対峙する事はできなかった。


しかし100年後、勇者クワハラに出会うことでユーリの状況は変化した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ