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世界樹転生 異世界支配とビキニアーマー開発史  作者: 藤井ことなり
カーキ=ツバタ王国編
29/197

カイマからの言伝

 カーキ=ツバタ王国の大使を任命されたモーリは、世界樹の森に着くとそのまま住むことになった。


 ゾフィ隊長が、くれぐれも問題を起こさないでくれと、何度も何度も念を押したのが気になる。

 本当は、モーリは厄介払いされたのではないだろうか?まあ問題が起きたら、その時に考えよう。


※ ※ ※ ※ ※


──そしてそれから1年が経とうとしていた。


 結局、トテップ族は来なかった。カイマの説得が成功して復讐組があきらめてくれたのだろうか。


 いっそのこと、東の草原も森で埋め尽くしてやろうか。それならカーキ=ツバタ王国への脅威は無くなるだろうに。


 しかしそれには河が邪魔だな。これを克服するだけの能力はオレにはまだ無い。


 城壁周りの森は完全に根付いた。

 ダウンした王国のイメージアップに協力するため、1年中キレイな花を咲かせている。


 他国の調査隊が見に来ると、大抵はその美しさに圧巻されて、にこやかな顔で帰っていく。どうやら役に立っているようだ。


※ ※ ※ ※ ※


──そしてすべての決着がつく事がやってきた。


 1年間、ほぼ毎晩やることも無く、城壁を見回りという名のぶらぶら散歩を今夜もやっていると、空から声がした。


「久しぶりだな、世界樹」


暗闇から降りてきたのは、カイマだった。


「久しぶりだな、今日はちゃんと挨拶してくれるんだな」


「ああ、もう地上に来ることは無いだろうからな、最後の挨拶だ」


「戦争は終わったのか」


「まだだ、今はその最中だな。長い長い戦いになるだろうな」


「そうか」


オレがそう返事をすると、カイマは手紙を取り出し、オレに渡した。


「これは」


「ユーリとかいうのに渡してくれ。おばあ様からだ」


「ケーナは生きているのか」


「あの時、逃げるのを手伝ってくれたらおばあ様に会わせてやると約束したのでな。時間はかかったが約束を果たしに来た。おばあ様からユーリへの便りだ」


──ああ、だから未練があったのか。


「会えないのか」


「おばあ様は、今はトテップ族の重要な地位にいるのだ。残念ながら戦争中の今は会えないと言われた。だがいつの日か必ず会おうと、それには書かれている。いいか、ちゃんと渡したからな」


それだけ言うと、カイマはふたたび闇夜に飛び去っていった。


「ちょっ、まっ、」


もう見えなくなった。手紙を見ながらオレはため息をつく。


 まだ問題はあるが、とりあえずトテップ族の脅威はもう無くなったと、エルザ女王に伝えよう。これでカイマ騒動は終わったと。


ユーリへの手紙はどうしようか。


渡せば、間違いなく地下世界に行こうとするだろう。


オレは王宮に向かいながら、ユーリが旅立つことを想像して憂うつな気持ちになっていた。


※ ※ ※ ※ ※


 翌朝、エルザ女王に昨夜の出来事を話した。もちろん手紙のことは伏せてだ。


 時もほぼ1年経ったことと、その間に何も起きなかった事もあったので、ようやく森に帰る事を許してくれた。


 昼間は森にいる約束だったが、しょっちゅう催事や会議に出席するように呼ばれるので、落ち着いて森を視て回ることができなかったのだ。

 そのうえ、ペッターが何故か零号機(試作機)を解体してしまったので、細部もどうなっているか分からない。


 まあアディがいるから大丈夫だと思うが、やはり自分の森は、自力で護りたい。


 国を護った英雄として盛大に送り出すという話があったらしいが、早く戻りたかったので、まだ居ると皆に思わせた方が良いだろうと提案し、それなら専用の部屋で瞑想していることにしましょうということで落ち着いた。


 オレは早速、旅人姿でカーキ=ツバタをあとにした。


 この1年で森とカーキ=ツバタを繋ぐ街道はずいぶんと整備された。

 道幅は広くなり荷馬車が楽々とすれ違う事が出来るようになり、等間隔に木を植えて木陰を作り旅人が休みやすくなったのと、正確な距離が分かるようになった。


 クワハラがメートル法と太陽暦を採用してくれたので、オレも細かいところが正確に分かるようになって助かる。


 2時間ほど歩いて振り向くと、華やかな城壁がまだ見える。

 夜間だけとはいえ1年も住んでいると、それなりに愛着もわいていた。

 だがそれでも森に帰りたい気持ちの方が強い。

 オレの故郷は、もうあの森なんだな。


 途中で、カーキ=ツバタ発の四頭立ての大型馬車に追い付かれた。世界樹の森行きだというので乗せてもらうことにする。

 モーリからの依頼で、カーキ=ツバタ王国としての大使館、いや領事館的なものとして使うらしい。


※ ※ ※ ※ ※


「クッキーさん、御無沙汰です。馬車と一緒とは思いませんでしたよ」


 さすが4頭立て、あっという間に帰ることができた。

 モーリに事情を説明して、ちゃんと帰ってきたことを伝える。


「そうですか。ではあらためて、これからよろしくお願いいたします」


「早速だけど現状はどうなっているだい? とくにここ3ヶ月はほとんど見回れなかったから、そのあたりを知りたい」


「森には大きな変化はありません。この1年、クッキーさんとユーリさんに案内してもらって、森の中と外周りと位置がだいたい分かりましたので、こういう計画を考えてみたんです」


 モーリが住み処として使っていた荷馬車から、大きな紙を持ってこようとしたが、新しく来た重荷馬車への引っ越しを先にやらないと、持ってきた連中が帰れないから少し待ってくれと言われた。


 それなら先にユーリ達に会いに行くことにして、森の奥に向かう。

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