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世界樹転生 異世界支配とビキニアーマー開発史  作者: 藤井ことなり
カーキ=ツバタ王国編
24/198

ナイアルラトホテップの子たち

「まず、その男を世界樹と呼んでいたが、あの森はそいつの能力(チカラ)能なのか」


エルザ女王は少し間を空けてから、その通りだとこたえる。


「ならば、世界樹とどうやって本当だと分かったのだ、まさか我の仲間達をどうにかしたからとでも言うまいな」


今度もエルザ女王は間を空ける。


(アイツ頭いいな)


(なにが)


(ひとつの問いかけに、ふたつの質問を盛り込んでいる。それに気づいたから、エルザ女王はなかなか話せないんだ)


(へえ、やるじゃん)


まったくだ。情報を得るためとはいえ、敵陣に一人で乗り込んで、失敗しても機転をきかせて人質をとり、さらにこの状況の中で対等以上の交渉をする。


大胆にして剛胆、なおかつ知恵もまわる。まるでユーリみたいだな。


そのユーリは、さっきからオレのふくらはぎを、皆に見えないようにコツコツと蹴っている。


ハ・ナ・レ・ロ


というのは分かっているのだが、今はちょっとなあ……


「そちらの方が世界樹様というのは、女神フレイヤ様の娘であるバルキリー様が証してくれました。なにしろバルキリー様達と共に戦った間柄ですから」


「そういえばこの国は女神信仰であったな。なるほど、信用しよう」


 ずいぶんあっさりと信用するんだな。なんでだ?


「ではこちらの番ですね。なぜトテップ族として、もしくはダークボトムズとして我が国を襲ったのです」


エルザ女王もふたつの質問を盛り込んて問いかける。さすがだな。


「それに答えるには、質問の権利以外のもので返してもらいたい」


「それは」


「この国の城壁を出るまで手出しをしないという約束だ。もちろんコイツはそれまで人質で、城壁を出たら離してやる」


「きさまぁ」


ゾフィ隊長が腰の短剣に手をかけて、今にも斬りかかりそうになるが、それをエルザ女王が片手で抑える。


「いいでしょう、その分納得のいく説明をしてくれたらの話ですが」


「ああ、我も大地の女神ユリアナの名に誓って約束を守ろう」


「では、こちらも女神フレイヤ様の名に誓って約束を守りましょう。よろしいですね世界樹様」


念を押すエルザ女王に、ああとオレは答える。


 そしてアディを抑えている右手はそのままで、そっと左手をユーリの方に後ろ手におくる。

ユーリはその手を左手で掴み、親指でオレの手のひらに丸をかいた。

 エルザ女王の意図は伝わったようだ。


「いいだろう。まず今回の事はダークボトムズとは関係無い、トテップ族の事情でやったことだ」


「我らトテップ族は、始祖ナイアルラトホテップの子孫と伝えられている。なぜなら我らはどの種族とも交わることができて子孫を作ることができるからだ。

 ダークボトムズの連中に、それゆえ脅威に想われてな、遥かな昔から地上にもっとも近いところに追いやられていたのだ」


(おおかたの予想は当たったな。しかしナイアルラトホテップだと。たしかクトゥルー神話の神じゃないか、この世界の神々はどうなっているんだ)


(クッキー、いつまでも前世の事にこだわらないでよ。アンタもうこっちに来て200年はいるんだからね)


「ふだんはいいのだが、100年くらいの周期で大繁殖期(グレートブリード)が起きる。この時の我らトテップ族は生殖本能に支配されてただの獣になりさがってしまい、相手かまわず交配してしまう。それがお前達の言う襲撃なのだ」


「つまり、邪念などではなく生きるための行為だと言いたいのですか」


「普段ならな」


「どういう意味でしょう」


「数00年前に地上の種族と交わった時の子孫が、知性と長寿を得てな。我らトテップ族が変わってきた」


この言葉を聞いたユーリが、立ち上がり襲いかかろうとしたので、オレは慌ててユーリも抑え込む。


「離せクッキー、こいつが、こいつ等が、」


「落ち着けユーリ、まだ話は終わってない、全部聞いてからでないと、取り返しのつかない間違いになるかもしれない、落ち着け!!」


暴れるユーリを抑えるオレ達に、カイマは驚いた様子だったが油断無く身構えていた。


「なんだ、どうした」


「このコの村がお前達に襲われて全滅したんだよ、エルフの村を襲った覚えはないか」


「そうか。そういうことがあったかも知れないが、少なくとも我はやってない。我が生まれたのは、その後だからな」


その言葉を聞いて、ユーリは少しおとなしくなった。


「話の腰を折ってすまない。続けてくれ。トテップ族はどう変わってきたんだ」


ユーリが落ち着いたのを確認して、カイマはふたたび話し始める。


「今まで、本能のままに他種族と交わっていたのだが、知性の重要さを認めるようになった。だから今まで寿命が短く身体がひ弱なヒト族など無視していたのだが、その小賢しい知性を求めるようになったのだ」


「つまり、今回は本能のままの行動ではなく、計画的にヒト族を襲おうとしたと」


 エルザ女王の感情を押し殺した声の確認は、部屋の中の空気を緊張させるのに十分だった。

 だがそれでもカイマは平然と答える。


「少し違うな、今回は別の目的だ」


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