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世界樹転生 異世界支配とビキニアーマー開発史  作者: 藤井ことなり
カーキ=ツバタ王国編
22/197

カーキ=ツバタの存在意義

 アディとゾフィ隊長が言い争っている側で、アンナ王女が落ち着くように言っている。

 ユーリは入り口側の壁に背もたれしながら、やれやれという感じでそれを観ていた。


 先に入っていた侍従長は、侍女達に話を訊いていていて、後から入ってきたモーリは呆れている。


 オレはユーリに何があったのか訊ねる。


「まあくだらぬ事でな。一昨日の戦いの時、アディがカイマに襲われたろう、その時怖くて逃げ出したのを死んだと衛兵達に思われて、それを聞いたゾフィが敵討ち的な気持ちで戦っていたら、生きていたのでアディに噛みついてきてな、アディにしてみたら言いがかりなので、ああいう状態になったわけだ」


説明を聞いてオレも呆れたが、おかげでゾフィ隊長とユーリの言葉の(バグ)も取り除けたな。


 いつまでも続く言い争いが、だんだんヒートアップしてきた。そろそろヤバいのではないかと思い始めた時、


「ウオッホン」


威厳と不機嫌が入り雑じった咳ばらいが部屋に響き、侍従長がゾフィ隊長を睨み付け嗜める。


「ゾフィ親衛隊隊長、女王陛下を待たせているのではありませぬか」


その言葉にゾフィ隊長は我に返った。オレもアディのそばに寄りなだめる。

 最初は不機嫌だったが、ペッターに新しい躯体を造ってもらうからと言って、ようやく機嫌をなおらせた。


 やれやれ、伐り倒された部分(オレの身体)がまた減るな。文字通り身を削る行為だ。




 ゾフィ隊長がアンナ王女に、先に行ってすぐに向かうと伝えるように言い、オレ達はゾフィ隊長の案内のもと、エルザ女王の待つ部屋へと向かう。

 侍従長と侍女達、それにモーリとはここで別れた。


「ねえユーリ、なんでクッキーと腕組んでるのよ」


「ふむ、クッキーが珍しく晴れ晴れとした格好をしているから、花を添えてやろうと思ってな」


普段ユーリはこんなこと言う性格(キャラ)じゃないのに、珍しいことを言う。ユーリも自分の格好に酔いしれているのかな。


「ずるーい、じゃあアタシも」


空いていた右腕にアディが組んできた。


右に白金髪(プラチナ)のスレンダー美女に、左には金髪(ブロンド)のナイスバディ美女。

どちらも身体のラインがキレイに出るドレスを着ている。


 これが、これから夜会に出るというのなら有頂天になるところなんだが、生憎向かうのはエルザ女王との今後の話し合いだ。

 不謹慎に思われないかとヒヤヒヤしているというのが本音だな。


 会見の部屋に着くとふたりに離れるように言い、身だしなみをあらためて部屋に入る。


「御待たせしました」


「世界樹様、御無事で何よりです。此度は我が国を救っていただき感謝いたします」


エルザ女王は、立ち上がり感謝の辞を述べた。


 エルザ女王の傍らにいるアンナ王女のもとにゾフィ隊長が行くと、侍従長がオレ達を席まで案内し、挨拶をして部屋を出ていく。


 それを見終えてから、あらためてオレはエルザ女王に謝罪をした。


「エルザ女王、あらためまして世界樹であることを隠していたことを御詫び申し上げます」


「こちらこそ、カイマの仲間と疑い申し訳ありませんでした」


社交辞令の謝罪が済むと互いに席に着き、本題に入った。


「さて、オレ…じゃない、私がいない間に何があったか、お教え願いますか」


この問いにはゾフィ隊長が答えてくれた。


「世界樹様を東城壁向こうに案内した後、我々は各個で城壁上と内側のカイマと戦いになりました。


 次々と来るカイマ相手に、終りなき戦いを覚悟していましたが、途中からまったく来なくなったので、私が飛んで確認しに行くと、城壁外側が森というか林というか、とにかく木々に囲まれていて、それにカイマ達が吸い寄せられるように向かっていくのを見ました。


ああ、これが世界樹様の言っていた事なんだと感じ、それを衛兵達に伝えに飛び回り、その後女王陛下に伝えると親衛隊は全員広場に戻り、バルキリー様達に御還り願いました」


続けてエルザ女王が言う。


「おかげで助かりました、それにユーリ殿が無防備のわたくしをずっと護ってくれました。それだけでも感謝に絶えません」


「女王陛下は気丈にも続けて指揮を取り、城内のカイマを全て退治したところで、朝がきて城内に平和が戻ったのが昨日の話です」


「被害は」


「家屋損壊が30棟、衛兵が13人死亡、重傷22人、軽傷113人、国民の男が7人死亡、重軽傷が多数、女の被害は無しというところです」


「……そんなに……」


「我が国は城内での殺生を禁止しているのが仇になった。しかしヤツ等の目的が女を拐うことだというのなら、じゅうぶんな成果だろう。それに昨夜は被害は無かったんだ」


ゾフィの言葉に少しだけ気が楽になる。

だが、アンナ王女は不服だった。


「それなのに軍務大臣が、我が国は専守防衛なのだから被害が出たのだ、早急に兵士を募り攻撃用の軍隊を創るべきだと息巻いているのよ」


「アンナ、口を慎みなさい。世界樹様に俗な話をするものではありません」


「しかしお母様、いえ女王陛下、この国が軍隊を持たないのは建国からの伝統ではありませぬか。それなのに……」


 カーキ=ツバタ王国は建国100年のまだ若い国であるし、位置的にも戦略の価値のない国でもある。


 今回、カイマが襲来するまでの100年、他国との戦争なんて無かったのだろう。もしあったら世界樹の森(オレのところ)を必ず通る筈だから気づかない筈がないからな。


「この国はあくまで国民を護る為に存在する国なのです。軍隊など持ちませんよ」


 カイマ達から国民を護る、それがカーキ=ツバタ王国の存在意義なのだろう。

読んでくれてありがとう。

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