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世界樹転生 異世界支配とビキニアーマー開発史  作者: 藤井ことなり
カーキ=ツバタ王国編
20/198

とりあえず終結かな

 予備の狩人服を着て、アディのマリオネットを袋に詰め込んで背負い、カーキ=ツバタにつながる街道に沿って歩き始める。


普通に歩いて3日、不眠不休で歩いて2日か。

 少なくとも2夜はある、カイマいやトテップ族は少なくとも2回襲ってくる可能性がある、大丈夫だろうか。


※ ※ ※ ※ ※


 出発した日の夕方に、前から来る馬車が止まり声をかけられた。


「お尋ねしますが、クッキー殿ですか」


馬車の御者の問いに、そうだと答えると、自分はカーキ=ツバタ王国の者で、エルザ女王の使いで迎えに来たと言われた。


 ありがたい、荷物持ちで歩きは時間がかかるが、馬車ならあっという間だ。遠慮なく乗せてもらう事にした。


 乗り込んで方向転換すると、カーキ=ツバタに向かって勢いよく馬車は走りはじめる。


「今のところ王国はどうなっていますか」


「突然現れた林というか森のおかげで、カイマ達は防がれています。中にいたヤツ等は親衛隊と衛兵隊がすべて倒しました」


「親衛隊はどうなりました」


「詳しくは知りませんが、皆さん無事だと聞いてます」


どうやらうまくいったようだな。確認するまでは安心出来ないけど、とりあえずホッとした。


※ ※ ※ ※ ※


 翌日の昼、馬がへたばる寸前になんとか王国にたどり着いた。


 遠目からも見えていたが、巨大な王国の城壁を囲うようにできた森は、なかなか壮観であった。

 のちのち花を咲かせるようにしよう、そうすればさらに華やかな国となり、景気良くなるだろう。



──何で出来たかを知らせなければだが──



 オレは馬車から降りて森に近づき触れる。とりあえず西側の入り口周辺の木々をずらして、出入りを簡単に出来るようにした。


「本当に世界樹様なのですね……」


 その様子を見ていた迎えの者が、驚嘆しながら呟いていた。威厳を保つために無表情を装ったが、内心ではかなりドヤ顔していた。


 しかし城内に入ったら、そんな気分は吹っ飛んだ。

 崩壊した建物、傷ついた衛兵と住民、そしてカイマ達の死骸と人間の死体が。まだ片付けきらずに残っていた。


──これが戦争というものか──


 感傷に浸りながら王宮に向かい、中の部屋に案内されると、そこで待つように言われる。


 ずっと背負ってきたアディのマリオネットをおろし、包んでいた袋から顔の部分だけ出しておく。


「クッキー、無事だったか」


部屋の扉が開くと同時に、ユーリの声が聞こえた。


「ユーリも無事だっ…………」


振り向くと、そこにはドレスアップしたユーリの姿があった。


 金髪(ブロンド)の腰まである髪は艶やかに光り、白い肌が映えるピンク色のロングドレスが、豊かな胸とくびれたウエストとヒップラインをステキに演出している。


「どうした、クッキー」


オレの様子がおかしいと思って声をかけたユーリだったが、それが自分の格好だと気づいたのか、頬を紅く染める。


「あまりじろじろ見ない……見るなよ」


恥じらうユーリに、オレは生きてて良かったと思った。



1回半、死んでるけど。


「これは……、その……、服が汚れてしまったので…、その……、エルザ女王が……、」


もじもじしながら話すユーリが、さらに可愛い。


 普段、独りで狩りに行くから狩人姿で緊張感のある孤高の凛々しさばかり目にいってたが、こうしてドレスアップされた姿は、ユーリの美しさを際立たせるな。


 オレとユーリが、放課後の誰もいない教室でたまたま2人きりになった両思いだけどまだつきあってないふたりのような空気を出しているときだった。


「あーー、なによクッキー、着いてたんなら教えてよ、てか、なによこれ、一号機(アフロダイ)じゃない、二号機(ダイアナン)は、二号機(ダイアナン)はどうしたのよ! それにこれ裸じゃないの! 服は?服はどうしたのよ! てか、ユーリ。ナニよその格好、なに自分だけキレイになってんのよ!!」


袋から顔を出していたマリオネットにアディがいつの間にか憑依(つい)ていた。


「ふふん、エルザ女王をカイマから護ったということでな、汚れた服を洗っている間の着替えを着ているのだ。どうだアディ、なかなかなものだろう」


もじもじとしていた態度から、いつもの不遜な態度でアディを挑発する。

 先程までの照れくささが全くなく、いつものユーリに戻っていた。


「いいなー、アタシも着たいー」


「これをくれた侍従長に訊いてみるから待ってろ。クッキーもな」


部屋から出ていこうとしたが、ふと足を止めて振り返るユーリがアディに向かって言葉を付け足す。


「そうそう、アディ、ゾフィに会ったらひと言謝っておけよ、かなり怒っていたぞ」


「なんでさ」


「いいから。ちゃんと伝えたからな」


そう言うとユーリは足早にどこかに、たぶん侍従長のところに向かったのだろう。オレがいない間の話を訊き損ねたな。


「クッキー、どうしたのよ、ユーリとなんかあったの? 」


「なにもないよ。オレが居ない間の話を訊き損ねたなと思っただけだ」


マリオネットを動かすのは意外と意識をとられるので、憑依中は本体の出来事が途切れ途切れで伝わる。

 今はだいたい伝わるが、意識を失った時とこっちに戻る間の事を知りたかったのが本音だ。


「アディはどうしていたんだ」


「御挨拶ねぇ、クッキーに頼まれた通り担当ドライアド(ウチの子達)を管理してカイマ達を誘惑してたわよ」


「初日と昨夜の2回あっただろう、昨夜はどうなったんだ」


「初日程じゃなかったけど、それなりの数が来たわ。だけどみんなウチの子達の誘惑にやられて美味しくいただきました」


アディが舌をぺろりと出し、ひと舐めづりした。


 本来ドライアドは美形の男の人を誘惑するものだが、どうやら不満は無かったようだ。


 コンコンとノックの音がしたと、扉に目を向けるとユーリが侍従長と数人の侍女とともに入ってきた。

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