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世界樹転生 異世界支配とビキニアーマー開発史  作者: 藤井ことなり
帝国との触発編
137/139

アンナ=カーキツバタ

 アンナ=カーキツバタ。高齢となったエルザ=カーキツバタの最後に産んだ末娘である。その日は珍しく大嵐だったという。


 男子ならばそのまま相手の家に引き取られ乳母により育てられ貴族としての人生を送るが、女子はそのまま王宮で王女としての教育を受けることになる。


 すでに姉妹の中で群を抜いて女神族との同期(シンクロ)率が高いマリカがいたため、アンナはマリカか姉の誰かがなると思っていた。なので王女としての教育を真面目に受けず、よく城を抜け出して王国内を遊び歩いていた。

 他の姉達もその姿を見て脅威にならないと判断して愛想良く相手していたからアンナは王女でありながら天真爛漫に育っていく。


 女王にならなければ臣下に下賜されるか他国へ嫁ぎ政治の道具という運命が待っている。だが女の象徴(初潮)を迎えたときの女王への試練、戦乙女(バルキリー)による憑依の試しで、マリカは通ることができなかった。


 次々と姉妹が受けるが試しを通ったのはただひとり、アンナだけであった。この時、アンナが次期女王となるのが決まったのである。


 試しが通ると親衛隊に入り戦士としての訓練を受けることになり、親衛隊長のゾフィが教育係として付いた。今までのんびりしていた分ゾフィと他の親衛隊員の教えは大変厳しいものとなったが、アンナはそれにより成長していく。


 初めての戦乙女(バルキリー)化による戦闘は[カイマ襲撃事件]だった。

 ヒトのような見た目だが理性がなく凶暴で獰猛な獣のようなカイマ達が国民を襲い傷つける。

 この時アンナは初めて王女としての使命、国民を守らなくてはという意識が芽生えた。


 事件終結後、母エルザ女王の体調を崩したのを感じるが、それは内政と帝国との外交の激務のせいだと思っていた。だがそれは女王代行となったユーリにより神聖痕紋──資格無しで戦乙女(バルキリー)化の(ゲート)になったからと知る。


 女王になるのはまだ先だと思っていたアンナは、国を背負う重圧をこの時初めて向き合うことになった。そして気持ちの定まらぬまま[はじまりの村]救出作戦の責任者となり、迷いながらも粛々と進めているとノマドの蛮族シャッコウ族に襲われた村人を目の当たりにする。


 傷つけられた老人


 泣き続ける少女


 父母を失いどうしていいかわからずひざをかかえる少年


 傷つき家屋財産を失いすがりつく人々


 助かったと安堵した途端、安らぎの表情で死にゆく者


  避難してきた[はじまりの村]の民を直に見てアンナは胸の奥から言いようの無い怒りが沸いた。彼らのために何かしたい。何かしなければいけない。女王という重責務を忘れ、いまアンナはただ己の内なる衝動に無意識に動かされていた。


※ ※ ※ ※ ※


 半裸の少女が全身を輝かせて空を飛んで来ただけでなく、光の剣で手下を仕留め、何か訳の分からないことをまくし立てる。


 大頭目ガギョウはアンナを睨みつけながらも内心戸惑っていた。


 アンナはふたたび飛び上がると、シャッコウ族のウマの上を跳躍するように次々と跳んでいく。どうしていいか分からぬ手下を躊躇することなくアンナは斬りつける。


「アンナ、時間が無いからとばしていくよ」


「わかってるわレギンレイヴ。我が国の民に手を出したこと、後悔させてやるわ」


 両手に具現化された神霊剣(スピリッツ・ソード)を舞うように振るいながら素早く跳んでいく。

 シャッコウ族は弓が使えず戸惑っている。機転を利かせて剣に持ちかえる者もいたが、頭上からの斬撃を躱せない。上手く受けとめてももう片手の神霊剣(スピリッツ・ソード)で斬られてしまう。


 刺され斬られこのまま全滅させそうな勢いだったが、宙に跳んだところを例の矢が飛んできて危なく当たるところを躱す。大頭目のガギョウの弓だった。


「アンナ、あの矢に気をつけて。あれは神霊力(スピリッツ)も吸収できるみたい。憑依離(アセンション)寸前とはいえブリュンヒルデ(姉さま)渾身のMSRマキシマム・スピリッツ・レディエーションをあれで防がれているわ」


「わかった」


 上からの攻撃をやめ、小柄な体を活かして今度は地表を素早く動く。手の届きやすいシャッコウ族の利き手を斬り戦闘不能状態へとかえていく、


「ギル、グル、ゴル、各部隊ごとに離れよ。俺を中心に回りながら囲め」


 大頭目ガギョウの命令が飛び、すぐさま離れて遠巻きに騎馬軍団が回りはじめた。中心にいたガギョウの集団も離散してアンナの隠れるところを無くしていく。


「かくれんぼは終わりだなバケモノ」


 たしかに隠れるところは無くなった。だがガギョウとアンナを遮るものも同時に無くなってもいる。


「今だ」


 美聖女戦士アンナの必殺技を繰り出そうとした。ガギョウが狙いを定め矢を放つより早い──はずだった。だがガギョウは弓でなく投擲でアンナに矢を投げたのであった。


 ヒトの力とはとても考えられないような勢いでアンナの胸に刺さる。


「くっ」


 神霊力(スピリッツ)を纏っていたおかげで致命傷にはならなかったが、大半を吸い取られる。


「レギンレイヴ、無事なの」


「な、なんとか。けど大分吸い取られたわ、アンナに憑依してるのが精一杯ってとこ」


 両手の神霊剣(スピリッツ・ソード)も消え、纏う神霊力(スピリッツ)もほとんど消え、アンナはかろうじて薄く纏うだけの状態となる。


「これまでだな」


 ガギョウは今度は弓につがえ矢をアンナに向け腕を振り絞った。

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