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世界樹転生 異世界支配とビキニアーマー開発史  作者: 藤井ことなり
帝国との触発編
130/145

ヒトハ絶命……

「時間がありません、すぐに参りましょう」


 エリスとユーリを両脇に抱えると、ゾフィは神霊力(スピリッツ)で3人を包み込み宙に浮く。


「行きます」


 そう言うと3人は彗星のようにあっという間に西の空へ消えるように飛んでいった。


※ ※ ※ ※ ※


 ヨツジ上空まで来るといったん止まり、ゾフィはシンシアと目で会話(アイコンタクト)する。それから旧街道上空を北上する。


「エリス、頼むぞ」


 北上するアンナ達のところまで来るとエリスだけをそこに下ろし、ゾフィとユーリはさらに北上する。


※ ※ ※ ※ ※


 その頃、ヒトハは限界までに追いつめられていた。

 ノマドの追っ手を足止めするため[グリーン・ウォール]を造り続けていたのだが、精霊力(ソウル)を吸う矢が正確にヒトハを狙いはじめたのだ。


──くっ、クッキー(お父さま)の言うとおりノマドは精霊の居場所がわかるようね。それに矢も精霊力を吸うものだけじゃない、火矢よりも威力のある火炎魔法を纏った矢もある。そのおかげで[グリーン・ウォール]があっという間に燃やされてしまう──


 [グリーン・ウォール]を造るため南下するしかないヒトハ。それゆえノマドは何処にいるかわかるようで[予測射ち]をしてヒトハに向かって的確に狙ってくるのだ。

 すんでのところで躱し続けるが、すでにいくつかかすっているので精霊体(身体)のあちこちが削られている。


──不味い、もう最後の[グリーン・ウォール]だ。これを突破されたらもう防げない──


 ヒトハは覚悟を決めた。

 ユーリと永遠契約(マリッジ)する前なら疾うに逃げだしてたであろう。しかし今はユーリの性格を色濃くしている。最後まであがいて、それでもどうしようもない時は……仲間を助ける行動をとる……。


──ユーリ様、あとはお願いします──


 ヒトハは最後の[グリーン・ウォール]に憑依すると、わずかでも足止めしてやると触手ツタを生やして道端にある石や礫を拾って投げる。


 ノマド達は多少怯んだが、アシを止め追っ手全員が矢をつがえヒトハの[グリーン・ウォール]に狙いをさだめる。そのうち1本は旧街道西側にあるヒトハの支配地を狙っていた。


──逃げ道を防がれたか……だがそんなの関係ない。お前達をここで止める──


 ヒトハはさらに触手ツタを増やし石を投げる。


 ノマド達はそれをウマに乗ったまま避けつつも矢をヒトハに向ける。そして同時に放った。豪速で向かってくる銛のような矢、ヒトハは覚悟を決めながらも最後まで抵抗しようと諦めない。


「ヒトハ、伏せろ」


──え!?──


 驚きながらもヒトハは[グリーン・ウォール]の下部に精霊体を移す。すると後方つまり南から強大な鎌の刃状の神霊力(スピリッツ)が光と熱をともなって飛んできた。[グリーン・ウォール]の上部を焼きながらさらにノマドに向かう。


 いまだとヒトハは[グリーン・ウォール]から支配地に移動して南下する。そしてそこには……ユーリがいた。


 スピーカーツタを生やしてヒトハはユーリに話しかける。


「ユーリ様、どうしてここに」


「助けに来たに決まってるであろう。ヒトハ、よくやってくれた」


 永遠契約(マリッジ)相手による心からの感謝。その想いが栄養(ニュートリション)となりヒトハの傷を癒し精霊体を復活させる。削れた部分も失った左腕も精霊力が霧のように集まって元に戻った。


「間に合いましたか」


 ユーリの傍らには息絶え絶えで何かを放ったような格好(ポーズ)の美聖女戦士ゾフィがいた。


「あ、ありがとうブリュンヒルデ……」


 そう言うとゾフィから神器ビキニアーマーが外れ虚空に吸い込まれていき、ゾフィは裸のまま崩れ落ちるように倒れる。


「ユーリ様、これはいったい」


「ゾフィはな、戦乙女との同期(シンクロ)率が高いので、ほんの少しの間なら召喚門(ゲート)無くともそのチカラを借りることができるそうだ。それでここまで運んできてもらった」


「そうでしたか」


「それよりヒトハ、こちらも同期(シンクロ)するぞ」


「はい」


 触手ツタを伸ばしてユーリの額に触る。互いに何があったかを分かち合う。


「……よく頑張ったな」


「ユーリ様こそ……」


 ヒトハを追い詰めたノマドにあらためて敵意を持つユーリ。焼ける[グリーン・ウォール]の向こうにいるノマド達をキッと睨みつける。


※ ※ ※ ※ ※


 その頃、アンナ達は避難民達と合流していた。救援隊の隊長が驚く。


「アンナ王女、どうやってここに」


「親衛隊のエリスは魔術師(メイジ)なの。それも一級のね。彼女に使役獣加速魔法(ハヤウマ)をかけてもらって親衛隊の者だけ先に来たわ。それよりも大変なことになってるの」


 アンナはノマドの追手が迫っていることを説明する。


「なんですと。 おのれノマドめ、殲滅してくれるわ」


「落ち着いて隊長。貴方の役目は避難民を無事送り届けることよ、それに関しては私達に任せて」


「しかしアンナ王女」


「エリスの使役獣加速魔法(ハヤウマ)で負傷した避難民の馬車を先に進ませて。貴方たちならそれを頼めるわ。お願いします」


 王女からの頼みとあっては断れぬと承諾し、隊長は新たに編成する指揮をとる。


「エリス、こっちはお願いね。エニスタ、ジャクリーン、レオーネ、アルス、行くわよ」


 アンナの号令とともに親衛隊はユーリの下へと駆け出した。

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