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世界樹転生 異世界支配とビキニアーマー開発史  作者: 藤井ことなり
帝国との触発編
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下準備

 ヒトハは支配地を増やすのをやめて最北端にカメラツタとマイクツタを生やす。アンナにノマドが動き始めたのを伝え、クッキーから手に入れた精霊術(アプリ)[グリーン・ウォール]を道いっぱいに生やして旧街道を防ぐと、連中を観察しはじめる。


※ ※ ※ ※ ※


 連絡を受け取ったアンナはそれを王国のエリスに伝え、それを会議中のユーリに耳打ちして伝える。


「ノマドが追ってきたと。避難民はどうした」


「アンナ様の指示のもと、救援隊とともに本隊に向かってるとのことです」


「ふむ。ならば本隊と合流したらすぐに王国に連れてくるように伝えてくれ」


「アンナ様達は」


「考えがある。そのまま待機させてくれ。私も会議が終わり次第部屋に行く。それとマジークを呼んで執務室で控えさせておくれ」


「わかりました」


 エリスが退室したあと、ユーリはブラパン伯爵達に告げる。


「親衛隊経由で新情報があった。避難民と救援隊が遭遇、いまはこちらに向かっているそうだ」


「なぜ親衛隊からなのだ。衛兵ではないのか」


「先に着いていたアンナ王女の隊から衛兵を送り出し、それが避難民と接触。その伝令がアンナ王女の下に届き、使役獣加速魔法(ハヤウマ)を使える親衛隊の者が届けたということだ。その者には王国で避難民を引き受けるという伝令を持たせてもどらせた」


 とりあえず村人が無事だということに皆は安堵した。続いてユーリが提案をする。


「先ほどの空間映像の件だが、民衆にあまねく知らせることができるというのが本来の目的で進めていたことだ。それができるようになったので前向きに使用したいと思う」


 その言葉に当然のようにブラパン達は反対する。


「民衆は貴族の導きにによって平穏無事の暮らしをできるのだ。そのために議会で吟味をしてから、民衆に分かりやすく事実を届けている。そのやり方には断固反対する」


「その行程は大事だ。尊重する。今までのやり方のうえにそれを増やした方がより伝わりやすくなる」


「しかし」


「かまわぬであろう? 民衆に隠し事があるのならともかく、正しい内容を伝えるのに不本意でもあるのかな」


「失礼な。まるで我々が隠し事をしているみたいではないか」


「そうとは言ってない。やましいことは無いと信じているからこその言葉だ。では空間映像魔法の採用でよろしいかな? 異議のある方は手を挙げてもらいたい」


 ユーリの言葉に誰も手を挙げれなかった。ここで挙げてしまえば、隠し事があると言うようなものだからだ。


 かくて空間映像魔法は認められ、次の議題に入る前の休憩となる。ユーリはすぐさま自室に向かい、エリスから変化は無いかと訊ねる。


「今のところ変わりはありません。詳しくは使い魔からどうぞ」


※ ※ ※ ※ ※


 デンワツタからヒトハに状況を訊ね、避難民と救援隊が旧街道を南下していること、防護柵として[グリーン・ウォール]を生やしたこと、そして妹分のフタハが協力してくれていることを知る。


「フタハには何をやらせている」


──[はじまりの村]を遠くから見張らせてます。報告によるとほとんどが残っていて、数人がこちらに向かっているとのことです──


「そうか……」


 ユーリはしばらく思案したあと、エリスに問いかける。


「エリス、例の空間映像魔法だが議会で承認を得た。今後は[王室御用達魔導師会]が使えるようになる」


「そうですか。父も喜ぶと思います」


「それでさっそくだがヨツジからの映像を映せるか」


「ヨ、ヨツジからですか」


「アンナ王女が避難民を助けたところを民衆に見せたいのだ。できるか?」


「父に訊ねてみます。ここを離れてよろしいでしょうか」


「ああ。代わりにゾフィを呼んできてくれ」


※ ※ ※ ※ ※


 エリスが部屋を出てからほどなくゾフィがやってくる。ユーリは簡単に現状を説明したあと、考えている計画を話した。


「……なるほど。アンナ王女を守るためですね、わかりました。それなら私も同行させてください」


「それはかまわんが、どうしてだ」


「私とアンナ王女は戦乙女(バルキリー)様との同期(シンクロ)率が高いのです。お役に立つと思いますから」


 詳細を聞き、それならと同行を許した。


※ ※ ※ ※ ※


 マジークと伴ってエリスが戻ってくると、ユーリは今からやろうとする計画を伝える。


「それを今からですか」


「できぬか」


 マジークは顔中の皺はこんなにあるんだぞとばかりにしかめっ面になるが、やがて「やりましょう」と返事をした。


「ただやはり不安がありますので使い魔の協力をお願いしたい」


 ユーリはデンワツタでヒトハにその旨を伝えると、フタハにやらせるからそちらに向かわせるといい、そのフタハはあっという間にカーキ=ツバタまでやってくる。


 はじめて精霊以外と接触(コンタクト)するおどおどしたフタハにユーリはやさしく話しかけ、ヒトハと同じくらい当てにしているからと頼む。


──ま、任せるっぺよ。大木に登った気でいるっぺよ──


 大いに胸を張り意気揚々としている姿を樹液モニター越しに見てユーリは、このコは見た目どおりアディにそっくりだなと内心苦笑した。

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