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世界樹転生 異世界支配とビキニアーマー開発史  作者: 藤井ことなり
帝国との触発編
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シラフのヨッパー

 世界樹製駆体四号(マリオネット4)に憑依し試作BA(ビキニアーマー)を身に着ける。アーマーの各所にある宝珠(オーブ)精霊力(ソウル)をゆっくりと注ぎ込む。


 マリオネットそのものにはなんの能力もない。ただの人形だ。オレが憑依することによってようやく能力が付加される。


 [世界樹の森]に生えている草木の能力を、駆体から出すことができる。さらに精霊力(ソウル)を凝縮して込めた[世界樹の実]を口から取り込むことによって一時的に限界突破の能力を引き出せる。


 そして試作BAを身に着けることによって、精霊力(ソウル)を水飴細工のように具現化することができ、それをイメージ加工。


切れ味バツグンの両刃剣 精霊力剣(ソウルソード)

さらに切れ味をあげた片刃剣 精霊力青龍刀(ソウルブレード)

宝珠からビームシールド形にでる 精霊力盾(ソウル・シールド)

そして

基礎運動能力を上げる 精霊力装備(ソウル・コート)


以上の能力を[祝福の呪文(ブレスパスワード)]で具現化して装備することができる。


 おかげで昨日の決闘ではほぼ無敵状態。横綱相撲というかナメプというか、とにかくいつでも勝てるので、戦士、はぐれ騎士、ヴァイキング、バーサーカー、闘士、武闘家、モンクなどなどと闘いつづけて彼らの技術を覚えた。


※ ※ ※ ※ ※


 草城壁(グリーン・ウォール)を触手ツタを使って越え、闘技場に降りる。今日の1番相手は……。


「待ちかねたぞ精霊戦士。今日こそは倒してやるからな」


 見覚えのあるボサボサの黒長髪、無精髭に赤ら顔、筋骨隆々の上半身、下はズボンにブーツ。赤ら顔は地肌だったか。


「ライナー・ヨッパー。お前はもう負けただろうが」


「挑戦は1回だけとは決まってないぞ。勝つまでやるのは決まってるがな」


大物戦斧使い(ビッグ・トマホーク)のライナー・ヨッパー。だがトレードマークでもある大きな双刀の戦斧(トマホーク)は持ってない。オレが切ってしまったからな。


「そんじゃまあ相手するけどエモノは無しか? 素手でやるのか」


 ライナーはふふんと笑うと背に隠し持ってた小振りの双刀の戦斧(トマホーク)をふたつ、それぞれの手に持つ。


「もっとも得意なエモノはキサマに切られてしまったが、もともと戦斧使いが俺様の二つ名だ。当然戦斧は他にもある。しかも自由自在に操ることができるのだ、今度こそキサマを倒してやるからな」


 どうやら本気らしい。昨日と違って酔ってない。


「わかった。ルールは昨日と同じ、相手が戦闘不能になるか負けを認めるまで。場外に出ても負け。それでいいな」


「無論。ではいくぞ」


「応」


 精霊力装備(ソウル・コート)を薄く纏い、精霊力剣(ソウルソード)を具現化させる。ライナーは戦斧を構えつつじりじりと間を詰めてくる。

 間合いに入った刹那、左右同時にエックスを描くような軌道で戦斧を振るう。それを下がって避けるが、ライナーは反動を利用してくるりと一回転すると今度は縦横の十文字の軌道で斬りかかる。


「ソウルブレード」


 間一髪、ふたつの戦斧が重なるポイントで強化剣である精霊力青龍刀で受けとめる。いや、受け止めれた。


「ふふん、よくぞ止めたな」


 あれほどの動きをしたのに息が乱れていない。力も技もスピードも昨日とは段違いだ。


「どうやら今日は酔ってないようだな」


「ああ。おかげさまで酔いが覚めたぜ。今度酔うのはお前を倒したあとだ」


「じゃあ、一生素面だな」


「ほざけ」


 力まかせに斬ろうとしてきたので、力を抜き勢いを利用して横に飛ぶ。間合いが遠くなったので互いに仕切り直しとなる。


 ともに円形闘技場の端にいる。北を12時とするならオレは11時、ライナーは9時の位置か。少しづつ横歩きしながら中心に戻ろうとしたとき、ライナーは双刃戦斧を投げてきた。回転しながら飛んでくる双刃戦斧はすごい勢いでこちらに飛んでくる。

 慌ててしゃがんでやり過ごす。そして立ち上がろうとしたとき、後ろから何か飛んでくる音が聞こえたので横に転がってしゃがんだままソウルブレードを構える。


「ほほう、さすがだな。この[戦斧自在投法トマホーク・ブーメラン]をよく避けた」


返ってきた双刃戦斧を受けながらライナーが感心する。戦斧自在投法トマホーク・ブーメランだと?!


「だが次はどうかな。トマホーク、ブゥゥゥメラン!!」


 今度は頭上高く投げられた双刃戦斧。あさっての方向じゃないかと思ってたら、ライナーがもうひとつの双刃戦斧を振り上げ突っ込んでくる。


 わかり易すぎてひょいと避けたが、そこに頭上から双刃戦斧が落ちてくる。


「あぶね!」


 避けたところにまたもやライナーが斬りかかってくる。身体を捻って避けることで何とか無事にすんだ。


「ふふん、これも避けたか」


 ──塚原卜伝の一の太刀というやつか。理屈を読んだときはそんな都合よくいくもんかと思ったが、ライナーのおかげで奥深さが解った。

 相手の動きを予想したり誘導したりするのがこの攻撃の正体なんだ。いつのまにか闘技場の端に追い込まれていたことにようやく気づいた。


「さて、今度は避けきれるかな」


 ライナーは両手に双刃戦斧を持つと時間差をつけて両方とも投げる。


「喰らえ、ダブルトマホーク・ブゥゥゥゥメラン」


 曲芸のように時間差でくる2本の双刃戦斧。受け止めようとするが、必ずもうひとつの方がジャマなタイミングでやってくる。避けて避けて避けまくるしかなかった。


 勝ちを確信したのか受け止めてはすぐに投げるライナーがだんだんと近寄ってくる。当然避けるタイミングがキツくなってくる。


「終わりだな、精霊戦士」


 ライナーがトドメの一撃を投げ込んだ。

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