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世界樹転生─目的は異世界支配とビキニアーマー開発─  作者: 藤井ことなり
帝国との触発編
111/120

ともに王国を守るため

「無論、王国と国教である女神教の存続だ。そしてエルザ女王に復活してもらい女王の座を返す」


「その言葉に偽りはないか」


「女神フレイヤの名にかけて誓おう」


「ふむ……、よかろう。では具体的にはどのようにするつもりなのだね」


 ユーリは先程ゾフィ達に説明したことと同じことを話す。だがひとつだけ内容を変えた。


「マリカ司祭長も神託を受けたが、エルザ女王の復活には条件がある。それはあと女神教徒を20万人増やすことなのだ」


「に、20万人だと。我が国の人口の倍ではないか。それは本当なのか、マリカ、どうなんだ」


 いつもは分別をつけて、人前では司祭長と呼ぶのに、よほど動揺したのか娘の名前で問いかける。


「その通りですブラパン伯爵。ユーリ様と同じくして私も神託を受けました」


 ブラパン伯爵は渋い顔をし、ブラン男爵はさらに悲嘆にくれる。他の貴族達はブラパンの発言を待っていた。どうやらかなり影響力があるようだ。


「女王代行、それに対しての具体的な案は?」


「今のところ無い。だがまず最初にやることは決まっている」


「──帝国との和平」


「そのとおりだ。そしてその交渉をブラパン伯爵、そなたに頼みたい」


「私にだと?! 正気か」


「もちろん正気だとも。それとも他に適任はいるのか? 推薦する者がいるならその任を代わってもらうが」


 ブラパン伯爵は黙って考える。


 ──たしかに帝国に太いパイプをもってるのは私しかいない。商売上の取引、何度か顔繋ぎもしている、さらに私の母方は帝国本国に近い国の出身。ざっと考えても私以外は無理だろうな。とはいえかなりの難問だ、さてどうするべきか─


 ちらりと娘のマリカを見ると、小さく頷いていた。


 ──なるほど、お前の入れ知恵か。ならば腹をくくるしか無いな──


「わかりました、その任を受けましょう。ただし条件がある」


「わかってる。尋問を終え次第そちらに引き渡そう」


「その尋問も同席させてもらおうか」


「……そうだな。では明朝より尋問をするので、対処について考えておいてくれ。それと臨時任命で貴族議会の議長も兼任してもらう」


「拝命します」


「コーサク・ノブル・コットン伯爵の処分は明日伝える。それまでは爵位と領地は保留。ただし議会からは廃席とする」


「承りました。それでは本日の議会を閉会とする。各自対応策を考えてもらいたい」


 ブラパン伯爵はユーリにうやうやしく礼をすると、さっさと自分の屋敷へと帰っていき、他の貴族も足取り重く出ていく。誰も彼もどうしていいか分からないのだろう。


 見送るユーリとゾフィにマリカは、全員が出ていったのを確認すると、ようやく緊張が解ける。


「っふぁあ、なんとかなったな」


 大きくため息をつくユーリにゾフィが感心する。


「お見事ですユーリ様。こんな短時間にまとめて方針を定めるとは」


「まだ完全に決まったわけじゃないさ。時が経てば色々と変わってくる、エルザを復活させるまで程々に緊張してやっていくしかないな」


 手で顔を煽ぎながらそう言うと、エルザのことはマリカに任せて、ゾフィとともに王宮へと向う。

 王宮に入った途端、ヒトハから連絡が入る。


 ──ユーリ様、ああよかった、ようやく繋がった──


──ヒトハか。どうした──


──お父様がお会いしたいと連絡が入ってます──


──クッキーが? ああ、今日の戦線報告か──


──いえ、その、アンナ王女の帰国命令についてだそうです──


「なんだと」


 思わず口に出して答えたのでゾフィが驚く。


「どうなされました」


「クッキー、いやクチキ国王がアンナ王女帰国命令について問うてきてると、……私の使い魔から連絡があった。まだ知らないはずなのにどうして知っているのだろう」


「ああ、おそらく伝令のハヤウマが着いたのでしょう。親衛隊にエリスという者がいまして、魔術士(ウィザード)でもあります。彼の者が伝令のウマに最速で走れる魔法をかけてましたから」


「それにしても早くないか」


発光樹(イルミネーション)のせいでしょう。とても通りやすかったですから」


「ふーむ、早くても明日の昼あたりとふんでいたから予想がずれたな。まあいい。ヒトハ、謁見の間に樹液モニターとマイクツタにスピーカーツタを生やせ。そこで話す」


 ヒトハはクッキーとの対応をしながら作業にかかる。その間にユーリは女王らしい格好に着替え、ゾフィと打ち合わせをし、指示を授ける。そしてようやくクッキーと対面した。


 事情を話したあと、アンナ王女と同行している親衛隊のシンシアと話すため出ていってもらい、見張りとしてヒトハにクッキーの動向を伝えるように指示。それから別室で待機していたゾフィを招き入れた。


「アンナ王女、心してきいてほしい」


 ユーリは今日一日おきた出来事を伝えると、アンナ王女は最悪の事態である女王崩御ではないと知って一旦安堵したが、[時の棺(クロノス・コフィン)]封印されていると知り動揺する。

 さらに父、コーサクが帝国と内通していたと知らされ、齢16歳の少女はかつて無い衝撃に色を失った……。

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