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世界樹転生─目的は異世界支配とビキニアーマー開発─  作者: 藤井ことなり
帝国との触発編
100/120

三日目終了

「ぐあぁぁぁぁぁぁ」


 触手ツタが遠慮なくノーケンを締めつける、そして振りかぶって(?)投げようとするがそれを止める。


「アディ、まだだぞ。ノーケンには用がある」


──えー、いいじゃん、コイツはズルしたんでしょ。おもいっきり投げちゃえばいーじゃん──


「最終的にはそうするけど、ひと仕事してもらう。アディ、そいつをなるだけ高く上げてくれ」 


──こう? ──


 頭上五メートルくらいまで上げさせると、マイクツタを使って順番待ちの傭兵たちに告げる。


「あー、あー、順番待ちの者達に告げる。このホクトウ・ノーケンは負けたくない一心で闘技場から出てしまった。戦闘不能もしくは降参で決着と伝えたが、闘技場から出るのも決着とする。念の為、飛べるものがいた場合は闘技場外に着地した時点で決着とする。これらを守らない場合は問答無用で触手ツタの餌食となるからこゝろするように──アディ、もういいぞ」


──はーい♪ ──


 意図をくみ取ってくれたのか、さっきまでの遠投目的のオーバースローからサイドスローに投げ方を変えてノーケンを投げる。

 草原すれすれで飛んでいくノーケンは、いい見せしめとなっただろう。


「さて、お次はどいつだ」


 今日一日は決闘による経験値稼ぎにしようと決めたので落ち着いてきた。次の相手を迎えようとしたところペッターから連絡が入る。


──クッキー、精霊力装備(ソウル・コート)のままだけど|男性型世界樹製躯体四号《マリオネット4》に負担かけてないか──


 そういや超サイヤ人や竜闘気みたいな状態のまんまだった。負担をかけてるようではないが、ノーケンがビビる状態では後続がこない。

 帝国軍は撤退してもらいたいが、この経験値稼ぎはしたくもある。我ながら勝手なもんだな。

 精霊力装備(ソウル・コート)の勢いを抑えてほぼ使ってないようにみせて、ニスを塗ったようなレベルでまとわせた。これならいいだろう。


──負担はかけてないと思うぞ。けどとりあえず抑えてみた──


──ふん、問題ないならいいけど、あとでチェックするからな──


──はいよ──


「さぁて、はじめるか!!」


※ ※ ※ ※ ※


 帝国軍陣地の東方は小高い丘で荒れ地となっている。

 そこの岩石に身を隠すようにしてふたりの男がクチキの戦いを観ていた。


「どうだガンズ、見えるか」


「ああ。索敵特化の魔法拡大(トツレン)を二つ使っているからな。そっちはどうだ」


「よく聴こえているよ聴音(キキミミ)を二つ使って傭兵と精霊戦士の言葉が聴こえる」


「しかしあの精霊戦士、なかなかやるな。動きは素人だが潜在能力が高いという感じか」


「ああ。やはり木製憑依型人形(ドール)より上位機種のようだ。誰が造ったんだろう」


「姐さんはなんと言ってる」


「百年前のことだからうろ覚えだが、あの時殺したユニオンの若い男が構想として上位機種があるようなことを言ってたような気がすると」


「じゃあそれなのか。殺したつもりで生きてたとか」


「いや、とどめを刺したあと証拠隠滅のため砂海用船舶(サンドクルーザー)ごと燃やしたから、それはないだろうと言ってる」


ガンズと会話しながらもフタミミはクチキの決闘にも聴き耳を立てている。


「ああ、また傭兵が負けたな。デカい蔦がまた放り投げたよ」


「投げられた奴らはどうなったんだ」


 キキミミに訊かれてガンズは投げられた方に拡大(トツレン)を向ける。そこは帝国軍陣地のぎりぎりのところで、何故か幕が張られていた。


「あれ? なんだあれ」


 ガンズの指差す方にキキミミが聴音(キキミミ)を向ける。


「……ああ、三人とも同じところに投げられているから、総司令官が陣幕を張るように指示したらしいぞ。……ははあ、助けた代わりに投げられた連中から相手のこと訊き取ってる」


「ふふん、抜け目のない総司令官殿だな。こっちの思惑で決闘するようにもっていったのに、それを利用するか」


 ガンズもキキミミもふたたび決闘場に意識を向け、クチキの能力を細大漏らさず得ようと集中した。


※ ※ ※ ※ ※


「で、どうだったのだ精霊戦士の能力は」


 三日目の夜遅く、いつもの場所にガンズとキキミミそれに姐さんの呼ばれる三人が集まっていた。


「強いですね。動きこそ素人丸出しでしたが、たくさんの傭兵を相手にして負け知らず。日が暮れなかったら全員倒してたかもしれません」


ガンズの報告に頷いたあとキキミミが言葉を続ける。


「傭兵が名乗る、精霊戦士が名乗る、傭兵が仕掛けそれを躱したり受けたりしてから反撃、たいてい負けを認めないから傭兵の気を失わせると、デカい蔦に投げさせる。だいたいそんな感じです」


「なにか気づいたことは」


「とにかく精霊力(ソウル)が尋常じゃないです、計れないくらいかもしくは無尽蔵なほどで、三人目のノーケンとかいうヤツはそれだけでビビっていました」


キキミミがそう言うと、今度はガンズが頷き話を続ける。


「その精霊力(ソウル)なんですが、どうも妙な(アーマー)のせいみたいなんです。ところどころに宝珠(オーブ)がほどこされていて、そこから圧縮された精霊力(ソウル)を出していました。通常魔法剣(マジックソード)などは道具(アイテム)に魔法を纏わせて発現させるものなんですが、アレは純粋に精霊力(ソウル)のみで具現化させてました」


「冗談だろ」


さすがの姐さんも疑わしかった。精霊力(ソウル)を具現化するというのは、いわば気体を固体にするようなものなのだから。

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