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護衛任務 21

 フレディ君の魔法の習得が終わると、タカオが神父さまに聞く。


「そういえば、パーティーの変更ってどうやるんだ? 冒険者ギルドとか、教会とか、どこか特別な場所でやらなきゃいけないのか?」


「冒険者ギルドなどでもできますが、いつでも誰でも出来ますよ。パーティーリーダーが明確な宣言をして、メンバーがそれに同意すれば、パーティーは成立します」


「分った。参考になったぜ、ありがとう」


 僕らは神父さまに別れを告げる。農家さんの家へと帰り始めた。



 帰り道の途中、畑の中で農作物を(むさぼ)るように食べているジャッカロープを見つける。


「ユウリお姉ちゃん。さっき覚えた攻撃魔法を使ってみたいんだけど?」


「そうだね。さっそく使ってみようか。とりあえず『石の矢』あたりを使ってみる?」


「うん。じゃあ使うよ。大地の精霊よ、我が敵を穿(うが)て『石の矢(ストーンアロー)』」


 フレディ君の詠唱が終わると、ピンポン球くらいの石の(かたまり)が、ジャッカロープに向って飛んで行く。次の瞬間、ゴッっという音がして、ジャッカロープが倒れた。



 タカオが(かたな)を抜いて言う。


「あれで死んだかな? 確認してみよう」


 近づいてみると、ジャッカロープは頭に直撃を受け、気絶をしていたが、まだ息をしていて死んではいないようだ。


「トドメをさずぜ、うりゃあ!」


 タカオはそのまま刀を振り上げ、留めを刺した。死骸は僕の魔法倉庫にしまう。


「やったな、フレディ。なかなかの威力だ」


「そうかな、えへへ」


 ちょっと照れるフレディ君。この魔法があれば、ジャッカロープあたりのモンスターなら、1人で退治できるかもしれない。



 その後は、田舎道を歩き続け、農家さんの家に戻ってきた。時刻は夕方くらいだろうか、けっこう時間が過ぎている。

 僕らの姿を見ると、親方が近づいて来て、声を掛けてきた。


「帰ってきたばかりですまねぇが、晩飯を作くってくれねぇか? お嬢ちゃん達がいない昼飯は、うちの若手が飯を作ったんだが、これがまた酷い味でよ、晩飯ぐらいは美味い物が食べてぇんだ」


 そのリクエストに僕が答える。


「いいですよ、僕が作ります。任せて下さい」



 何にしようかメニューを考えていると、親方から、こう言われた。


「前に食べた『カレー』ってヤツは作れるかい?」


「ええ、良いですよ。あっ、そういえばジャッカロープを狩ってきたので、解体をお願いします」


 そう言って、僕は倉庫魔法からジャッカロープを取り出す。


「おう、それなら任せてくれ。じゃあ、ちょっくら解体するか」


 親方は、ガッチリとタカオの腕をつかんだ。


「えっ、また俺も解体するの?」


「うん、頼んだよタカオ」


「ちょ、ちょっとまってくれ~」


 タカオは親方に連れられて行った。タカオの解体のスキルがどんどん上がりそうだ。



 僕は、農家の奥さんに声を掛け、2人で料理に取りかかる。

 野菜を切り、炒めて下ごしらえを終えると、僕は食材を二つに分ける。


 カレーには、様々な種類がある。今回は2種類のカレーを作ろうと思う。


 一つは、前にジャッカロープを使って作った、インド風のチキンカレーもどき。

 もう一つは、洋風のポークカレー。フレディ君が居るので、辛さを抑えた、甘口のヤツを作る。


 僕は神器の鍋、『エルビルト・シオール』を取り出すと、彼の指示に従い、カレーを作っていく。


 今回、インド風のカレーにはトマトを。洋風のカレーにはデミグラスソースの元を使う。デミグラスソースは街のスーパーで売っていた物だ。この世界は、便利で助かる。



 2種類のカレーを作り、ご飯を炊き終えると、辺りはすっかり暗くなっていた。

 タカオが、(さば)いたジャッカロープの肉を持ってきて言う。


「今日はカレーか。腹が減ったから、すぐに飯にしよう」


「そうだね、もう食べようか」


 裁いたジャッカロープの肉を、倉庫魔法にしまい。料理をテーブルに並べ始めると、お昼に美味しい物を食べられずに、お腹を減らした職人さん達が、匂いに釣られてゾロゾロとやってきた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] この世界観だと本当にやることなくて困る 平和そのもの [気になる点] 成り上りという点ではかなりきつそう
[一言] タカオはソロ無理だから、もう抜かれましたよ!
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