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導きの神、ユウリ 2

 念話でマグノリアス様からメッセージが届く。


「二つ目のスキルを決める前に、その魂の新たな体と、初期ステータスを決めてあげて下さい。あなたは初めてなので、容姿をゼロから創造するのは難しいと思います。カタログのサンプルリストから選ぶようにすれば、あなたでも簡単に作り出せますよ」


 神託スクリーンを見ると、そこには、戦士、盗賊、魔法使い、僧侶。ゲームのキャラクター紹介のように、いくつかサンプルが表示されている。神託スクリーンは神様にしか見えないので、僕は『佐藤(さとう)タカオ』に言葉で説明をする。



「残り、二つの『ユニークスキル』を決める前に、容姿を決めましょう。まず、生前の姿で再び転生するか、新たな姿で転生するか決めて下さい」


「あんな不細工(ぶさいく)な顔には戻りたくないな、新しい姿が良い」


「そうですか、ではこれから僕が代表的なスタイルを言うので、どういった容姿になりたいか、教えて下さい」


 神託スクリーンを見ながら、僕は説明文をそのまま読み上げる。



「これから選ぶスタイルによっては、ステータスにボーナスが入る場合があります。例えば『屈強(くっきょう)闘士(とうし)』というスタイルでは、筋力と体力にボーナスが入ります。『英知(えいち)の賢者』では、知力と知恵と魔力にボーナスが入ります。『漆黒(しっこく)堕天使(だてんし)』では……」


「それだ! 漆黒の堕天使! それに決まりだ!」


 すべてのスタイルを説明する前に、『漆黒の堕天使』という名前だけで食いついてきた。

 はっきりいって、このスタイルはボーナスがほとんど付かないので『外れ』だと思う。戦士になるなら戦士に適したスタイルを、魔法使い系ならそれに適したスタイルを選ぶべきだ。ここでちゃんと説明しておかないと、僕が後で恨まれるだろう。


「すいません、『漆黒の堕天使』では、ステータスのボーナスがほとんど付きません、初歩的な一部の魔法が使えるのと、初期装備に黒っぽい服になるだけなので、とりあえず他の説明を一通り聞いてから決めた方が……」


「いや、『漆黒の堕天使』で構わない。俺の(たましい)がその容姿が最高だと告げている!」



 ……なんか、ちゃんと説明するのが面倒になってきたな。もう、これで良いか。


「では新たな姿を与えます。『佐藤(さとう)タカオ』に新たなる体を!『魂魄(こんぱく)受肉(じゅにく)』」


 僕が手をかざし、神託スクリーンに出てきた呪文を唱えると、新たな体が創造される。そして佐藤タカオの人魂(ひとだま)は、その中へ吸い込まれていった。


『漆黒の堕天使』という体は、すらりとした体型で、黒いロングコートのような服を着ていた。顔はかなり整っていて、黒髪のロングヘアーをしている。片目が前髪で隠れていて、あとはエレキギターでも持たせれば、ビジュアル系ロックバンドのメンバーになれるだろう。



 佐藤タカオは、しばらくボーッと突っ立っていたが、やがて自分の手をジッと見つめ、顔の輪郭を確認し始めた。


 すると、念話でマグノリアス様から、こんな説明を受ける。


「ユウリ、あなたは『倉庫魔法(そうこまほう)』を使えます。物を亜空間(あくうかん)に収納したり、取り出したりする魔法ですね。あなたの倉庫に鏡を入れておきました。取り出したい物を考えて、空間に戸棚の扉を思い浮かべてください」


 言われるがままに想像すると、空間に扉が現われる。その扉を開けると、中に鏡が入っている。これは便利だ。


 僕は出てきた鏡を佐藤タカオに渡す。


「このような姿になりました。いかがでしょうか?」


「うん、なかなか……、いや、かなり良いな。気に入ったぜ!」


 顔を確認したあとは、ロングコートの服をひらひらとさせて、衣装も入念に確認していたが、この確認の作業中は、ずっとニヤけっぱなしだった。

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