表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

109/124

遺跡とダンジョン 11

「巨大な塔を、一瞬で作ってしまったんですか?」


 エノーラさんが凄い勢いで、詰め寄ってくる。

 僕の使った『城壁』の魔法は、ちょっとだけこの世界の常識から外れていたらしい。


「あっ、ギルドカードを見たらレベルが上がってますね。新しいスキルを取れますよね?」


「……はい、そうですね。取得できるスキルを調べますか?」


「お願いします」


 レベルアップの話題をすると、エノーラさんが真面目に答えてくれる。上手く話題をそらす事ができた。



 スキルが表示される魔法道具で調べて見ると、取得できるスキル5ポイントと表示され、こんなスキルの一覧が浮かび上がって来た。


◇操縦

 ・乗馬 必要ポイント1


◇神聖魔法

 ・範囲回復(エリアヒール) 必要ポイント1

 ・範囲治癒(エリアキュア) 必要ポイント1

 ・再生(リザレクション) 必要ポイント3



『乗馬』は以前からあったので分る。『範囲回復』と『範囲治癒』も、何となく効果が分った。『再生』も意味はなんとなく分るのだが、何を再生させるのか分らない。


「エノーラさん、『再生』というのは、どんな魔法なんでしょうか?」


「聞いた事がありませんね。少々お待ちを、調べて見ます」


 エノーラさんは、辞書のように厚い本を調べ始める。そして、しらばくすると、こう言った。


「……魔法の説明が見つかりませんでした。かなり特種な魔法のようです」



「とりあえず取ってみれば? 試しに使ってみれば、効果も分ると思うぞ」


 タカオが気軽に言う。スキルポイントは限られていて、慎重に選びたいのだが……

 まあ、他に覚えたいスキルもないので取ってみよう。


「分りました。『範囲回復』と『範囲治癒』と『再生』を覚えてみます」


「では、こちらの魔法道具でスキルを与えます」


 こうして僕は未知のスキルを取得した。



「その『再生』ってスキル、さっそく使ってみようぜ」


 タカオがそう言いながら、チキンのもも肉のグリル焼きを、高くかかげた。どうやら、僕がスキルを取得している間に、隣のレストランから買ってきたようだ。


「えっ? もしかして、もも肉のグリル焼きに、魔法を使うの?」


「そうだ。ちゃんと再生するか調べる為に、まずは一口(ひとくち)


 そう言って、もも肉を少し食べる。それを見ていたマクダさんが気がついたようだ。


「なるほど、かじったチキンが再生するかどうか見るんだね? 私も一口、食べて良い?」


「マクダのあねご、どうぞ」


「じゃあ、遠慮(えんりょ)なく」


 マクダさんがチキンにがぶりとかじりついた。チキンは深くえぐられ、一口で3分の1ほどが持っていかれた。こんなに大きく無くなってしまうと、魔法で『再生』なんかできるんだろうか?



「できるかどうか分りませんが、やってみますね。鳥の肉の塊を、元のあるべき姿に戻せ『再生(リザレクション)』」


 呪文を唱えると、欠けていたチキンが復活した。マクダさんが歓喜(かんき)の声をあげる。


「すごいよユウリくん。この呪文を使い続ければ、無限(むげん)にチキンが食べられるよ!」


「それはよかったですね。おっと」


 軽いめまいと疲労感が僕を襲う。ギルドカードでステータスを確認してみると、58あるMPのうち、35ポイントを消費していた。ヒールの呪文の消費量が5だったから、これは大変な魔力を消費する大魔法だ。



 タカオが僕のギルドカードをのぞきこんで、確認をする。


「うわ、この魔法、こんなにMPを消費するのかよ」


「そうだね。チキンを復活させるのに、こんなに疲れるとは思わなかったよ」


 チキンを再生させる為に、これだけ疲れるのは割に合わない。どうやら使えない魔法を覚えてしまったらしい。


 このやり取りを聞いていたマクダさんが、残念そうに言う。


「そっか。それじゃあ、この魔法は頻繁(ひんぱん)に使えないね……」


 落ち込んでいるマクダさんに、タカオが声をかける。


「チキンはクエストをこなして、稼ぎまくれば良いんですよ。今回みたいな冒険に成功すれば、大金が入ってきますから」



「そういえば、今回、お金はいくらもらえるんだろう?」


 マクダさんがエノーラさんに聞くと、エノーラさんは、契約書を見ながら答える。


「今回は、遺跡の発見に加えて、中の詳細な調査まで終わっていますので、一人あたり、銀貨80枚の報酬ですね」


「うっわ、すごい大金。こんな大金を手にしたことないよ!」


 マクダさんの目が輝いた。銀貨80枚という報酬は、危険の無い、お手伝いだけをしている冒険者にとっては高額なのだろう。笑顔で顔が緩みっぱなしだ。



「では、先に報酬を渡しましょうか。いちおう、ギルドカードを確認させて下さい」


「はい」「あいよ」「どうぞ」


 タカオとマクダさんと僕がカードを差し出す。すると、タカオが気がついた。


「あれ、俺のレベルも上がってる。マクダのあねごもレベルが上がってませんか?」


「あがってるねぇ。報酬をもらった後で、うちらも取得できるスキルを調べてもらおうか?」


「はい、構いませんよ。では、まず、お金を渡しますね」


 タカオとマクダさんもレベルアップしていたらしい。二人は、どんなスキルを取得できるんだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 再生でリザレクションと読むか。 もっとヤバそうな効果ありそうだな。
[良い点] どこまで再生できるかで 話は違ってくる [気になる点] これ蘇生したらやばかったね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ