目覚め
ふわふわする。
水中から水面に浮かんでいくように意識が浮上していくーー。
ルアが目を開けると、そこは見知らぬ天上だった。
辺りを見回すと、白い壁にシンプルだが高級感漂う木製の棚や机がある。
どうやら、ベッドに寝かせられているようだ。
服も着替えさせられていて、着心地最高。
もしかして、昔絵本で読んだ天蓋ベッドというやつかな。
うわあ、人生初ベッドだ。こんなふわふわで、中には何が入っているんだろ。
あれ、ていうかわたしはなんでこんなところで寝てるんだっけ?
えーと……
「あら、起きた?体は大丈夫?」
ぼんやりとした記憶を探っていると、声をかけられた。声のした方を向くと、横に、薄い撫子色の髪と瞳を持つ優しい笑みをこちらに向けた美少女がカーテンの隙間から顔を覗かせている。
……天使?
え?わたし、死んだ?やっぱりここ天国だった?
慌てて体を起こそうとしたけど、上手く力が入らず倒れてしまう。
「ああ、急に体を起こさないほうがいいわ。貴女、丸3日も眠っていたから。まあ、あんな目にあったら無理もないわ。アンナ、お医者様を読んできて頂戴。」
「はい。」
明るい茶髪を後ろで纏めた細身の女性に医者を呼ぶように言いつけ、こちらを見て目をきゅっと細めて微笑む。
ふわっ。
彼女が微笑む度に彼女の周りに小さな花が咲いているような気がする。
だが、3日眠っていたということはここはどうやら現実世界のようだ。
ルアは生きていた。
「初めまして。私の名前はシェーラ。」
サイドの撫子の髪を耳にかける。後ろはひとつのゆるふわ三つ編みにしているらしく、腰ぐらいまでの長さがあった。
服も、絵本でしか見たことないような床まで裾がある綺麗なドレスだ。
どうやら、天使の名はシェーラというらしい。
「貴女の名前を教えてもらえるかしら。」
「えっと、ルアです。」
「ルアちゃんね。年はいくつ?」
「11歳……」
……あれ、違う。そう……
「じゃない、もう12歳……。」
リアード!!!
最後に見た映像がどっと頭の中に流れ込んできて、思わず隣の少女にすがりつく。
「あの、リアード、リアードはっ!?」
ルアの混乱ぶりに驚いたのか、シェーラは、落ち着いて、とルアの肩を叩いた。
「リアード……山の中の家に、倒れていた人がいたはずなんですけど」
「彼女は………残念だけど」
目を伏せるように彼女は言った。
頭が真っ白になった。
最後まで言われなくても分かった。
彼女ーーリアードは、死んでしまったのだと。
「あ、う、あ、うわあああああっっ」
ごめん。ごめん。
わたしが、わたしがもっと早く帰っていれば。あの時もっと早く助けられていたらっ!
後悔の渦が頭と体を切り刻んでくる。
枕に顔を埋めて泣きじゃくった。
「ひっく、ひっく、」
「ごめんなさい。もっと早くに私たちが貴方たちに気づいていれば助けられたのに」
ぽん、ぽん、と優しく背中をさする手が優しくて、余計にたまらなくなった。
ああ、ごめん、ごめんリアード。
その後喉が枯れるまで、ルアは泣き続けた。
*******
少し落ち着いてくると、香りの良いハーブティーを勧められた。
美味しい……
「落ち着いたかしら」
シェーラと名乗った少女は優しい声でゆっくりとルアに語りかける。
「ここは安全よ。安心していいわ。」
彼女の微笑みにはきっと心を癒す効果があるのだろう。
「……っ、」
ルアはお礼を言おうとしたが、声が出ない。
「あんなに山道を走っていたんだもの。ゆっくりでいいからね」
マジで天使。
続きます。
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