表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

捏造の王国

捏造の王国 その42 第99代首相 ガース総理誕生!支持率爆上げの割には前途多難の短命予想

作者: 天城冴

ついに総理となったガース氏、おつきの副長官も総理補佐と出世したものの、多大なる不安が…

彼岸もすぎて猛暑から超巨大台風シーズンに突入したニホン国だが、政治的にも新時代?に入りつつあった。ここ官邸でも新総理誕生に慌ただしく、のはずだったが。

「えっと、僕ら副長官ら、総理補佐官になったんだよね、シモシモダ君」

「まあ、そうだ。俺たち三人、一緒に同じポストになれてよかったよ、ニシニシムラ君」

ガース長官が長官から総理になったのと同時に、副長官三人組も揃って総理補佐官に昇進したのである。

「そうだね、なんかバラバラの職に就かされるとか、新長官の下で副長官のままだったら、どうしようかと思ったけど。タニタニダ君はアトウダ大臣の補佐とかに変わるかと思ったけどかわらないんだね。大臣が留任だからだけど」

「ま、結構留任は多いし。実質アベノ総理の路線のまま、というかアベノ路線はガース長官、いや新総理がかかわった部分がだいぶ多いから、同じことだが」

「僕たちのやることも、それほど変わってないような気がするけど。なんかやたらポストとか増えたし。IT庁とか新設だそうだし」

「IT庁は、実際はネットのアレだよ。ガース総理が長官時代からネットに、その介入とか、やらせてた、アレを格上げ、というか表に出せる奴等にポストを与えたというか」

「え、マイマイナンバーの管理とかもやるんでしょ、大丈夫かなあ。リテラシーとか」

「まあバレないように上手くやるとはおもうけどな。前のセキュリティ担当大臣よりはまともな対応はすると思うが。だが国外の反応がなあ」

「ガース新総理との初対談って、相手国のメディアはほとんど取り上げてくれてないんでしょう?いつでも話せる!って先進国のトップ同士はホットラインがあるから話せるのは当たり前だし、わざわざそんなこと記事にするなんて…」

「何も書かないわけにはいかないだろ、ニホンのマスコミどもも。ガース長官が総理になったから、質疑応答は予定調和で、それをそのまま記事にすりゃいいだけで、スクープとか裏をとったりしなくていいからってホッとしてるとはいえ」

「カナガワン新聞も結構ガース総理に好意的になってきたけど、地元だからかなあ」

「一応ご祝儀ってやつだろう。地元で世話になったとかいう人間もいるわけだし、読者には。ただ、地元のドンはガース総理のすすめるカジノ誘致に大反対、裏切り者と言われてるらしいから、どうなることやら」

「そうだね、カジノ誘致の企業からの献金問題とか、実はお父さんの商売がらみの知人が多いところから出馬とか、単に地元が嫌で東京に出てきたが夜学にしか受からなかっただけとか、徐々にバレてるみたいだし」

「それは皆前からいわれてることだよ、ニシニシムラ君。アベノ前総理の言動があんまりハチャメチャだったから、そっちのほうが目立っただけで」

「アキエコ夫人も個性つよすぎだよね。ガース総理の夫人は真逆の控え目できちんとした人って話だよ」

「話題性はないけどな、政治的な後ろ盾もないし。逆にアベノ総理よりはるかに任期は短いかもしれないな」

深いため息をつくシモシモダ総理補佐に同僚のニシニシムラ総理補佐は不思議そうに尋ねた。

「なんで、そんなに憂鬱そうなのシモシモダ君?それにガース新総理が短命だなんて、支持率は高いのに」

「あのな、ニシニシムラ君。特に波乱もないし、ほぼ確定の新総理のご祝儀相場ってやつだろう。アベノ路線継承ってことは、さっきもいったようにマスコミはガース総理の言うことに従って発言をまるごと記事にすればいいだけ。会食などが今まで通りかどうかしらないが、海外のマスコミのように緊張感あふれる記者会見やって頭使うなんてことしなくてもいいわけ。頭も心も弱い昨今の記者モドキどもにとっては大歓迎なわけだ。楽してジャーナリストのフリができるからな。ホットケーキだのカイゲンオジサンだのの、軽いイメージ振りまいての支持率だよ。本当に政治的刷新なんて期待しれるわけじゃないだろ」

「まあ路線継承っていうか。アベノ前総理も最近はガース長官じゃない総理のいうこと素直に聞いてくれなくなっただけで、前はそっくりそのまま聞いてたし。ってことは元のまんまだよね」

「そういうことだ。なんか新しそうってだけでタピオカだの、なんだのに食いつく新し物好きの国民性に訴えたから人気がでただけだ。経済回復とか新型肺炎ウイルス封じ込めに失敗なら早々に駄目になる」

「今月すぎるとかなり倒産とか廃業がでて、失業者とかも数万、数十万になるかもって話あったよね。支援金とか予算がちょっと。旅行と外食のキャンペーンやったって、中小の多くは何もならないって」

「あれは大手旅行会社とか大手外食チェーンぐらいしか潤わないよ。しかもその潤いもかなり少ないだろうし。世界的な株安傾向だし、失業率が高くなるだろうから経済がさらに悪化するかもしれない」

「それに新型肺炎ウイルスって冬に流行するんでしょう。この前の連休もかなり人が移動してたけど大丈夫かな」

「二週間後、感染者数がすごいことになるかもな。外食キャンペーンもはじめる予定だからキンキュー事態宣言は無理だし」

「検査増やすのも大変だしね。っていうか病院は既に赤字で、看護士さんも給与が減って大変とかもあるのに医療崩壊とか大丈夫かなあ。高齢者の方は病院行きたがらなくて病状が悪化したり、認知機能とか身体機能おちて介護度がひどくなったりしてるんでしょう?」

「マスコミが記事にしないだけで、結構酷いところは酷いようだ。あんまりに暗い未来予測からの現実逃避なのかもな、この支持率。新総理になったら何か変化するかもって期待だけで。変化もあったけど、ジコウ党派閥連立政権だからポストも増えたし」

「そうか、ガース新総理は世襲じゃないし、有力派閥ないから、サンカイさんとかアトウダさんとかの寄せ集めというか。それでポスト配分のために新しい役職つくったんだ」

「功労賞というかねえ。ただ敵対派閥のイシババさんとか冷遇してるけど、あとが怖いかもな。誰かいろいろと暴露とかありえるしな。一応気をつけてはいるけど。それに政策は、ほぼ一緒だからな。不妊治療とかなんとかいったって、いかんせん配る金が少なすぎる、セコイとか言われても仕方ない」

「路線一緒ってことは新型ウイルス対策も経済も、目立った政策ないってことなんだよね。実は希望の持てることは少ないんだね」

「そのうえ、前からの疑惑とかはそのまま引き継ぎモリモリカケカケとかの問題もそのまま。それに桜を愛でる会で前総理が呼んだ人は逮捕だし、ガワイ夫妻の裁判もあるし、両方ともガース総理は結構かかわってるからな。嫌な問題は、そっくりそのまま引き継ぎってわけだ。アベノ総理の尻ぬぐいのほか諸問題は山積みなんだよな」

「頼みの綱のワクチンも試験がはじまったばかりで安全性も製品化もまだわからないよね。来年の初めまでに治療薬もワクチンも製品化できなければ、延期した国際大運動大会だってできないかもしれないよね」

「海外の大会のお偉いさん同士も言うことが違うしな。まあ開催したいって人は“ウイルス関係なく開催するけど、開催したらウイルスに勝ったことになる”とか矛盾したこといってるしな。アベノ前総理とかかわると、どうも言語矛盾を気にしなくなるらしいな。ガース新総理も最近ちょっとな」

「え、シモシモダ君、新総理の頭が回らなくなって、諸問題どころの解決どころか、まともに執務もできないって意味になっちゃうよ、それ。そんなこといっていいの?僕ら新総理についてるんだけど」

「そうだが、ほら」

シモシモダ総理補佐は、そっと隣の部屋の扉を開けた。ガース長官もとい新総理が鏡に向かって一人つぶやいていた。

“奪衣婆の次は地獄の書記官が挨拶にきただと!そんな妖怪モドキが八つ裂き運命以外の残酷未来選択肢が増えてよかったね、などといい加減なことを言いおって。だいたい私の将来の選択肢が増えたといっても、冷遇した人間、使えなくなって切り捨てたネトキョクウだの、メイジの党のハシゲンだの恨みを買って呪い殺されるとか、派閥人事やら財界やら外交やらで要らぬ気を使いすぎて一家そろってストレス死にとか、どれもロクなものではないではないか!しかも諸外国からもバカ後継者、アベノのオマケ扱いで冷遇だと!いや、解散して総理の座を確実にするんだ!99代総理なんて不吉な数字ではなく100代目を目指すのだ!”

ブツブツいうガース新総理の後ろ姿に多大なる不安を覚える総理補佐二人であった。


どこぞの国では新総理が誕生したようですが、国会は3日しか開かず、タイトルの割には中身が貧弱政策乱発しているようですね。支持率だけは高いようですが、タピオカ、ココミルのようなイメージ先行の新し物好き国民に一時的にウケてるだけ、ではないとよいですがねえ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ