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ワーズの森へ

私は育った町、メールから出たことがなかった。

だから、歩いて隣町、さらに隣町、と進むのが、こんなに遠くて大変だと思わなかった。


道は土を踏み固めて作られていて、コンクリートなどはない。うわさによると都市では地面もカラフルなレンガが埋められているらしいけど…、田舎道なんてこんなものだ。


馬車が走っても問題ないくらいに平らにならされた道は、もっぱら徒歩移動の人でにぎわっている。

それにしても…一つ一つの町が大きい、土地が広い。東京にもこれくらいのゆとりがほしい。切実に。


まあ、もう戻れないんだけど。

町田の方のお父さんお母さん、元気かな…私が死んでからどうしてるんだろう。

お兄がいるから、きっと大丈夫だと思うけど…


なんて考えながら歩いていると、徐々に日が傾き、日差しが目に痛くなる時間帯になっていた。

このままのペースだとまずい。いきなりの野宿は避けたい。最初の一泊はとまろうと思っていたのに。

なにせ寝袋もないし、まだ浄化魔法も覚えてない。なにもないんだから宿代と食費はあきらめるしかない。

なんとか次の町までは歩きたいところだけど、間に合うんだろうか…


と、後ろからガタガタと音が聞こえてきた。

振り返ると、荷馬車が走っている音だったようで、壮年の男性が荷馬車を動かしていた。


「すみませーん、この先の町まであとどれくらいだかわかりますかー?」


大声で問いかけると、


「あー?この先の町ってタルブのことか?徒歩なら日中に着くのは厳しいぞー」


という返答がくる。


「ありがとうございまーーーす…」


おっと。日中に着くのは厳しい、それはつまりほぼ野宿確定では…?

宿は大抵日中に押さえないと、夜に新規契約はできないという場所が多い。

取れたとしても、夜に宿を取ると高くつくところが多いのだ。

さっそく予定が狂った。こんなに遠いなんて…。


町田瑠音の頃は楽だったなあ。地図はちゃんとした縮尺で書かれていたし、望めばすぐ手に入った。いやそもそもスマホで地図アプリで解決だった。っていうかもっと言えば移動手段が徒歩じゃないし。今すぐこの場所にバスとか欲しい。無理だけど。


そうこうしているうちに馬車も行ってしまった。しまった乗せてって駄々こねればよかった。

まずい。非常にまずい。

野宿するならとりあえず、道の真ん中は避けないと…。人目のつかないところにしないと。

いくら男装しても、女だと見抜かれたら危ない。いや、そもそも少年一人旅だって十分危ない。見るからに未成年なのだ。


連れ去り、人身売買…

悪い想像をして身を震わせながら、なんとか人目につかない場所を探すことを考えた。

もうこの状態は魔物より人が怖い。


「ん?魔物より人が怖いなら、魔物が出るから避けられがちな夜の森に入れば逆に安全なんじゃ…?」


ふと思いついたことを声に出した。

人が襲ってきたら魔法で対応するしかない。私は体力もないし、体術も培ってきていないのだ。筋肉量もイマイチ、そもそも武器を持った人相手だったらもう魔法使うしかない。というか相手が魔力持ちだったら更に魔法で応戦するしか道はない。

でも、魔力使った時点で魔力色を見られてしまう。そうなると、その場を乗りきれたところで、加害者として扱われてしまうだろう。

つかまったら最後、犯罪者のレッテルを頂戴することになる。

そもそも魔法を使う勉強、訓練をしていないのだ。手加減ができず、殺めてしまうかもしれない。それは勘弁してほしい。なんで人殺しのリスクを負わないといけないのだ。


しかし魔物なら、もう襲ってきたものは容赦なくぶっ飛ばせばいいのだ。

倒せそうにない大型の魔物でも、抵抗できるだけまだマシでは…?


魔物より人が怖いといっている時点で人間らしいと言えるか怪しいが、そのへんは考えないことにして、視線を森へ移した。

ちょうど道沿いに大きな森がある。


森は夜になると魔物が出ることが多々あるため、普通は夜の森には入らない。

魔物はそもそも夜行性が多いのだ。

なら、今から森へ入って寝床を探して、木の洞なんかを見つけたらそこで一晩過ごせば、なんとか明日町へ行くことができるんじゃないかな?


え、私天才では…?


完璧な案だ、そう思って森に方向転換した。

けれど、そのとき忘れていたのだ。そもそも魔物と戦ったことなんて一度もないことを。

実戦経験0の人間に危険が迫ったとき、とっさに動ける者のほうが少ない、ということを。


最低限の登場人物が揃うまでまとめて投稿します!

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