戦闘後2
全員の食事が終わり食堂を出たところで、若い士官に呼び止められる。
「今日はお疲れさん。≪タロス≫の戦闘はスゴかったな」
日に焼けた厳つい顔に笑みを浮かべ、直也を見下ろす士官。年齢は二十代後半から三十代前半くらいだろう。先程の戦闘で、グリフォン中隊に随伴していたケルベロス大隊の一人と気付いた。
「そうでしたか。ありがとうございます」
直也は小さく笑みを浮かべて答えると、相手の襟章を確認していく。話をしている士官は直也と同じ中尉、後ろに控えている三人は下士官だった。
直也の視線に気付いた士官は、ハッと気付いて頭をかく。
「すまん、自己紹介がまだだったな。ケルベロス大隊、第一中隊の英川遥中尉だ。後ろにいるのは俺の部下達だ。今日はお前さん達の後を追っかけて、森林浴をしてきた」
ケルベロス大隊の兵士が敵を前にした時には既に降伏した後で、一発の弾丸も撃っていない。だからこそ自らを揶揄したのだろう。
迷彩柄の作業服の上からでも分かるマッチョ体型。部下達も同様だ。陸軍空挺部隊や海軍特殊部隊から統合機動部隊に移ってきた人員もいると聞いていたので、元はそうだったのだろうと推測する。
身長は直也より五センチほど高く、龍一と同じくらいだろう。
「グリフォン中隊、神威直也中尉です」
姿勢を正す直也。後ろにいた隊員達も倣う。
「まあ、そう改まらなくても良い。明日から三日間は待機と聞いたのだが、予定はあるだろうか?」
「いえ……、明日の午後からは特に。“アレ”の件ですか?」
ケルベロス大隊に配備される≪アトラス≫の話かと判断するが、人の行き交う場所のため、言葉を濁す。
「ああ、それもあるのだが……。もしそちらの気が向いたらで構わんのだが、うちの隊と合同で訓練をしないか? 親交を深めるには良い機会と思うのだが……?」
遥の茶色の瞳に、好奇の光を感じ取る。
(あれだけの戦果を挙げれば、興味を持たれるのも当たり前か)
隊員の年齢が若く、特殊な兵器を扱う部隊のため、他の隊からは遠巻きにして見られている。それだけでは無く、一部からは“人形”を前線で戦わせ、自分たちは「後方から高みの見物をする意気地無しな奴ら」と陰口を囁かれている。
直也の意思は決まっていたが、念のため後ろを振り返る。他の面々も異論は無いようだ。
「こちらも助かります。明日の午後からで良ければ、是非ご一緒させてください」
直也の返答に、遥は少し安心したようだ。
「では、明日一三:〇〇に第二グラウンドに来てくれ」
遥はそう言うと食堂に入っていく。部下達は彩華達女性陣に目を奪われており、遥が食堂に入っていったことにも気付かない。三奈がジェスチャーで遥が先に行った事を伝えると、数秒遅れてから慌てて後を追って食堂の入り口に向かっていった。
遥達を見送ると、直也は他の隊員と別れ、あけみと二人でグリフォン中隊の格納庫へと足を向けていた。彩華も当然ついて来ようとしたが、直也からしっかりと休むように言い含められた上に、エイミーと三奈を付けられては、渋々部屋に戻るしか無かった。
「彩華ちゃんって、本当に直也君にベッタリよね」
並んで歩く直也を見上げ、悪戯っぽく笑うあけみ。切れ長の瞳に意味深な光を湛えている。その視線に気付かない振りをして、前を見たまま微笑む。
「そろそろ兄離れした方が良いと思うんですけどね」
「あら? 本当に良いのかしら? でも、もし彩華ちゃんが彼氏を連れてきても、心穏やかでいられるのかしら?」
「……しっかりした奴なら、大丈夫だと思います」
「レックス君、とか?」
「まだまだですね」
「ふふっ。凄くハードルが高そうね……」
小さく横に首を振る直也に、含み笑いを漏らすあけみ。
話の内容に居心地が悪くなった直也は、話題を変える。
「それは置いといて、先程の英川中尉の中隊って、≪アトラス≫が最初に配備される予定でしたよね?」
「そうね。初めは配備数が少ないから、機体は小隊の持ち回りにするらしいけど。今は私たちが使っていた試作機で訓練しているはずよ」
「三ヶ月後の反攻作戦では俺たちと連携するから、彼らの能力を確認しないといけませんね」
パワードスーツの≪アトラス≫が普通の歩兵より優れている点は、力や装甲、機動力だけでは無い。高性能なセンサーや優れた情報解析能力に依るところも大きい。生身よりも圧倒的に戦況把握や相互連携が容易である。しかしそれを活かすには搭乗者の能力が求められる。「低い能力をシステムで補う」のではなく、「高い能力をシステムで伸ばす」のだ。
「演習をやることになるわね。あまり苛めない方が良いかしら?」
「いや、強敵と当たって生き残る力が無いと、彼らのためにならないでしょう」
「そうだけれど……」
命に関わるのだから、手を抜くべきでは無いと直也は断言する。しかしあけみは、相手の自信を叩き潰す事で、心を折ってしまう可能性を懸念していた。何せ父からは「連隊の中で、能力のある者達を集めた中隊だ」と聞いていたからだ。本人達もそう自負している事は疑いない。
(何かあったら……。まあ、父に任せましょうか)
ともあれ直也の弁は最もなので、問題が発生した時の対処は、上官である父に丸投げする事にしたのだった。
話をしているうちに、格納庫に到着する。入り口にいる歩哨の敬礼に答えて中に入ると、喧騒が辺りに響き渡っていた。整備員と研究所の開発者が忙しなく動き回り、クレーンや工具の音がそこかしこで響き渡る。
装甲板が外された≪タロス≫の足回りを確認する者、ノートパソコンからマニピュレータを操作している者、≪バーロウ≫に部品や工具を載せて動き回っている者。その中に、整備班長を見つけると、直也は声をかける。
「巻口大尉。お疲れ様です」
「……おお、神威の坊主か。初陣ご苦労だったな」
タブレットを見ていた巻口大尉は、日に焼けた顔を上げると直也達を見る。口ひげを蓄えた強面は近寄り難い雰囲気を与えるが、面倒見の良さから部下達から慕われていた。
「≪タロス≫の調子はどうですか?」
「全く問題ないぞ。今回は一方的な戦いだったんだろ」
予想通りの回答に「何も無くて良かったです」と答える。今まで研究所ではより過酷な試験をしてきたので、問題がないとは思っている。しかし実戦は初めてだった事もあり、念のため確認をしたのだ。
「≪タロス≫よりもオペレータの方に問題があるぞ」
そう言うと、巻口大尉はタブレットに表示していた情報を近くのスクリーンに映し出す。戦闘中の全員のバイタルサインやリンク状態が表示されていた。その状態が、作戦時間の経過に伴って見たことが無いほど悪化していた。
「戦闘中にも見て、あまり良くないなと思っていましたが、想像以上ですね……。実戦はここまで違うのか……」
訓練では長時間の作戦にも耐えられるように半日以上連続でコントロールし続けるような事もやっていた。だが今回は六時間程度の作戦時間で限界近い隊員が多く、訓練と同等の状態を保っていたのは直也、あけみ、龍一の三人だけだ。複数のロボットをコントロールするには、かなりの集中力を要する。
集中力が高ければ直接操作モードが可能になる。また、自動モード中でも手に嵌めたグローブを使わず意思だけでロボットやドローンのコントロールが可能だ。この状態になる事で、初めて「意のままに操る」事が出来る。
しかし精神的な負荷が多ければ、それだけ集中力が低下しやすくなってしまう。一定以下になると、グローブを使った補助入力が必要で、「意のままに操る」事は出来なくなり、全体として戦闘力も低下するのだ。
「経験を重ねれば改善するはずだけれど、……今後の課題ね」
あけみの言葉に、直也も同意する。
「と言う訳だ。明日の朝にはデータまとめておく。だから、今日はしっかり休んどけ」
「ええ、そうします」
「そうだ忘れてた。出雲の嬢ちゃん、ちょっと良いか?」
「はい?」
大人しく隊舎に戻ろうとした直也とあけみだったが、再び巻口大尉に呼び止められ、揃って振り返る。
「高周波ブレード、どうだった?」
「どうだった、とは……? 扱いやすくて良く切れます、としか言いようがないですけど……」
頭に疑問符を浮かべながら、あけみは小首を傾げる。その仕草に、数人の整備員が手を止め、目を奪われていた。
「いや、その感想を聞きたかっただけだ。後日で構わんが、改善点があれば是非教えてくれ」
手をパタパタと振り、もう帰っても良いと合図をすると、作業に戻っていった。
腑に落ちない様子のあけみを見ながら、意図を理解した直也は、内心で苦笑していた。巻口大尉も「ロマン」が分かる人だと言うことに。しかしそれを、刀の有効性を疑っているあけみに告げてしまうと、“ロマンの実験台”にされていることに憤慨する事は疑いない。だから黙っている事にした。
格納庫を出ると、来た道を引き返し隊舎へ戻る。昼間はトレーニングする兵士達で賑わっていたが、今は静かだった。とは言え前線基地のため、歩哨と思われる人影がいくつも見えた。
途中、雲の切れ間から月が姿を見せた。何気なく傍らに視線を向けた直也は、月光に照らされたあけみの顔に目を奪われる。ショートカットの髪、凜とした瞳にすっと通った鼻筋、一級の工芸品のように見事なバランスの顔立ちは、人々の目を引き付ける磁力を持っていた。
視線に気付いたあけみが直也を見上げる。上目遣いの瞳に、直也の心臓がドクンと大きく脈打つ。
「どうしたの?」
狼狽える直也の様子に、あけみはからかう口調で問いかける。
「……あけみさんの美しさに、見とれていただけですよ」
直也は視線を正面に逃がすと、(良いものを見られた)と微笑を浮かべる。
正直に返されると思っていなかったあけみは、一瞬キョトンとした表情を見せるが、すぐに微笑へと変える。その頬はほんのりと染まっていたが、直也は気付くことは無かった。
「そう……。褒められるのは嬉しいけれど、彩華ちゃんに叱られるわよ」
「彩華は関係ないですよ。ただ思ったことを言っただけです」
「直也君は、そうやって色々な女性を口説いているのね」
「口説くって……。俺はそんなつもり無いですよ」
からかうあけみに、少し困惑した顔で直也は返す。
「それに、そういう事は戦争が終わってからと考えているので」
「そう、ね……」
会話が途絶え、隊舎へと向かう数分間を無言で歩く。それでも並んで歩く二人の間隔は、先程よりも少し近くなっていた。
女子棟前であけみと別れ自室に戻った直也は、ノートパソコンで軽く書類仕事を片付けると、いつもより早く眠りについた。
翌日、直也が朝食のため食堂に向かうと、彩華が待ち構えていた。周囲に漂うピリピリした雰囲気に、他の兵士達は微妙に迂回しながら早足で通り抜けている。
「兄様、おはようございます。昨日はあけみさんと何していたのですか?」
ジト目を義兄に投げつける。
「……ただ格納庫に行って、≪タロス≫の調子を見てきただけだぞ」
「それなら、私も付いて行って良かったじゃないですか」
頬を膨らませる彩華。
(同年代の女性と出かけると、すぐにふて腐れる……)
「彩は昨日、あんな状態になっていただろ? だから早く休ませたかったんだよ」
「あんな状態」とは、基地に戻ってきてから直也に抱きついていた事だ。子供の頃から酷く落ち込んだり、耐えられないほど辛い時に、そうやって気分を落ち着けてきていた彩華の「習慣」であった。
「むう……」
そう言われると反論出来ない。彩華から張り詰めた緊張感が霧散する様子に、直也は内心で胸をなで下ろす。
「さあ、朝食に行こうか」
直也はやさしく声をかけ、食堂へと歩を進める。彩華も大人しく直也の後を追う。
食後、直也と彩華がデブリーフィングの為に会議室に入ると、三奈、レックス、亮輔、義晴がすでに席についていた。
「みんな、よく眠れたか?」
直也の問いに、頷く者とそうでない者。
「寝付くまでに時間がかかりました。眠りも浅かったですし……」
「俺はすぐ眠れたのですが、変な夢を見て夜中に何度か目が覚めました」
少し眠そうなレックスと、出かかった欠伸をかみ殺す亮輔。
「僕は、いつも通りグッスリでした」
三奈は元気いっぱいという様子だ。
他愛も無い話をしているうちに残りの隊員や研究所の職員もやってくる。全員が揃った事を確認すると、直也はデブリーフィングを始めた。
「昨日はご苦労だった。作戦は成功したが、初陣と言うことで課題もあったはずだ。意見を出して欲しい。昨夜はよく眠れなかった者もいるので、短めに終わらせよう」
続いて研究所の職員が、作戦のハイライトをスクリーンに表示しながら解説する。
作戦区域の部隊の動きと共に、所々≪カワセミ≫や≪タロス≫のカメラで撮影した動画が流れる。彩華が狙撃した大隊長の頭が、まるでスイカのように爆発した動画が流れる。
「狙撃距離は千四百六十七メートル、さすが神威少尉ですね」
研究所の職員が感嘆混じりに解説をする中、彩華は狙撃したときの事を思い出して、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
映像は更に続く。三奈とレックスが息の合った遊撃戦で敵の迫撃砲陣地を破壊し、敵を追い立てていく。反撃手段を奪われ、態勢を立て直す時間も与えられなかった敵は、装備の大部分を放棄して逃走していく。
続いて、道路上に陣取っていた車両部隊への攻撃の様子が映される。崖上からの奇襲によって、国道上の戦車や装輪装甲車が次々と数を減らしていく。山中で≪タロス≫が歩兵を翻弄し撃ち倒していく。あけみの駆る≪タロス≫二号機が、兵士が隠れている木ごと切り倒す。国道側に残っていた敵兵士達が、我先にと車両に乗り込み撤退する。
十分にも満たない映像が終了すると、直也達と研究所の職員とで意見交換が始まる。内容は昨日の格納庫でも話題になったものだ。
「作戦の最後の方は、集中力が切れかかってヤバかったです」
「やはり、訓練とは緊張感が違いましたね」
義晴と久子の感想だ。この対策については、実戦経験を積んで慣れていくしかないとの結論に至った。
続いて装備の話に移る。
「あけみさんの使っていた刀って、量産する予定はあるんですか?」
「あの刀は……、技術的なデータ取りのため、出雲中尉に使用してもらっています。今の所は予定していません。
しかし軽装甲の車両や、今後交戦が予想される敵の装甲歩兵やロボットには有効と考えていますので、ナイフのサイズで生産中です」
義晴の質問に研究所の職員が答える。ナイフであれば、刀に比べると小型で持ち運びしやすい上に全員が訓練しているため使う事が出来る。
「新型ミサイルなどの専用装備は、予定通りあと一ヶ月程度かかる見込みです」
人間よりも力のあるロボットやパワードスーツ用に、高火力で大重量の武器を造れば良いという単純な発想の元、特殊武器が開発中となっている。
「研究所も大変でしょうから……。引き続き、よろしくお願いします」
あけみの言葉に、他の隊員も「お願いします」と言葉をかける。元々研究所に所属していたこともあり、職員達が多忙である事を理解しているのだ。
「万全の状態でお渡しできるよう、全力を尽くします」
デブリーフィングが終了すると、直也は改めて合同訓練の話を始める。
「知っての通り、十三:〇〇からケルベロス大隊との合同訓練があるので作業服に着替えておくように。今日は参加したい者だけで構わない。明日からの予定は追って連絡する。では解散」
午後の訓練には、亮輔と久子を除く隊員が参加する事になった。
―――――
同じ頃、別室ではリントブルム大隊、ケルベロス大隊の士官が集まり、グリフォン中隊の戦闘を収めた映像――直也達が見ていた物のロングバージョン――が映し出されていた。
三十分ほどの映像が終了すると、会議室は沈黙に包まれる。初めて見たロボットの戦闘は、戦闘と言うよりも蹂躙と言うべきものだったと言う事が大きい。
「一体、あの子達は何者なのだ?」
リントブルム大隊長は、研究所の代表として参加している一彰に問いかける。
直也達が統合機動部隊に配属後、鈴谷基地には≪タロス≫の簡易シミュレータが三台設置され、興味を持った多くの士官や兵士が操作を体験した。だが、経験者を除けば誰一人として複数の機体を長時間操作出来た者はいなかった。一番良くて、三機を十五分操作するのが限界だった。
研究所の代表者として参加している一彰は、出雲大佐に目配せをして了承を確認すると口を開いた。
「機密のため詳細は控えますが、彼らは子供の頃に資質を認められ、特別な訓練を続けてきた者達です。
……ああ。人道的に問題のある事は行っていません」
さらに出雲大佐からの説明が続く。
「思考を読み取ってコントロールすると言う研究の被験者に過ぎない。脳みそをいじったわけでも、薬漬けにしたわけでもない。ここにいる何名かの子供達も、研究所で訓練中だ」
(戦闘訓練を始めた年齢は、お前達より若いがな……)
続いて、パワードスーツの≪アトラス≫について、ケルベロス大隊の大隊長から質問が飛ぶ。
「我々の大隊に配備予定の≪アトラス≫だが、量産機は海上輸送中だったな?」
「はい。五十体がエトリオから輸送中です。到着してからこちらで調整後に引き渡しますので、一ヶ月弱はかかるかと」
「承知した。宜しく頼む」
大隊長は、小さく頷く。
「同時期に≪タロス≫と≪アトラス≫用の特殊武器も到着予定です」
スクリーンに特殊武器の一部が表示される。一例を示すと、十二・七ミリガトリングガン、二十ミリ対物ライフル、新型対空ミサイル、新型対戦車ミサイル、等々……。基本的に人間では扱えない重量や反動を持つ武器である。
「“歩兵”と言って良いのか疑問だが、これだけの武器を装備したら、戦車の立つ瀬が無いな……」
戦車大隊であるリントブルム大隊の大隊長が不満を持つのも仕方ないだろう。陸上兵力の花形である戦車が、機動力と武器が大幅に強化された歩兵に翻弄されることになるのだから。とは言え、戦車が不要かというと否と言える。
「戦車の強化は、まずは防御やデータリンク周りになりますね……。山岳戦用に多脚戦車も製造中ですが、現状の戦車に比べて欠点が多いので、限定配備となります」
多脚型であれば、無限軌道では進入出来ない場所に入ることは可能だ。しかし利点はそれくらいで、欠点の方が圧倒的に多い。車高が高くなるうえに、弱点である脚部に被弾しやすい。さらに舗装路面では現行車両より速度が劣り、照準の精度が低下する。正直、優先度は低かった。
発言が収まったところで、出雲大佐が前に出る。
「敵も≪アトラス≫のような装甲歩兵や車両型の戦闘ロボットを実戦配備したという情報がある。今後は人間同士が撃ち合う戦争は減っていくかもしれないな。
ともあれ、我々のやる事は変わらん。
近々、砲兵大隊と高射砲大隊が到着予定となっている。準備が整うまであと三ヶ月だ。引き続き敵に備えてもらいたい。以上だ」